とうとう・・・…亜耶
翌日。
学校に登校してる途中で、悠磨くんを見かけた。
声をかけようと思ったけど、やめた。
何て言えばいいのかわからなかった。
同じ学校に通ってるのに、クラス違うから会うこともなくて、どう接すればいいのかわからなくなってたから…。
それから、教室に入れば。
「亜耶ちゃん、おはよう。来て早々なんだけどさ、文化祭の役割分担決めないと不味い」
って、龍哉くんが声をかけてきた。
あっ、そうだった。
文化祭は、二日間あって、一日目は生徒だけの二日目は、一般・父兄が参加できるとあって、結構大変だって、お兄ちゃんに聞いたことある(実際にきたことあるけど…)。
「おはよう、龍哉くん。そうだね。当日の当番は、時間帯を区切ってクラス全員でやる事にして、装飾、備品作り、買い出しに分けた方がいいよね」
私は、自分の席に着きメモ用紙を取り出した。
「そうだな。早めに決めて動いた方がいいな」
龍哉くんと会話しながら、メモ帳に。
"例の件、梨花ちゃんに話して良いって許可が下りたよ"
と書いて、龍哉くんに見せる。
"ホント。ありがとう。これで、梨花に秘密にしなくてもすむ"
って、ホッとした様子だ。
「おはよう、龍哉。亜耶」
調度良いタイミングで梨花ちゃんが登校してきた。
「おはよう、梨花」
「おはよう、梨花ちゃん」
龍哉くんが、顔を綻ばす。
梨花ちゃんの事、ホント好きだね。
何て見ていたら。
「二人で、何の相談?」
梨花ちゃんが、私に鋭い視線を向けてきた。
"梨花ちゃん、それって嫉妬ですか?"って聞きたくなるくらい鋭いんですけど…。
「ん?あぁ、文化祭の事だよ。ほら、やること決まったのに、細かいこと決めてないだろ?それでその相談な」
龍哉くんが、梨花ちゃんを宥めるように言う。
「梨花も、何案出してくれるか?」
龍哉くんが、梨花ちゃんに言う。
「じゃあさ、法被作らない?屋台なんだしさ、法被着て接待しようよ」
って、梨花ちゃんが、はしゃぎながら言う。
法被か…。それいいかも…。
「それ、いいね。亜耶ちゃん。高橋先生と買い出しお願いできないか?」
龍哉くんが言い出す。
ん?
あぁ、確かに遥さんなら色々と知ってそうだしね。
「亜耶だけ?ずるくない」
口を尖らせて言う梨花ちゃん。
梨花ちゃんの意見はごもっともなんだけど、私以外あの席に座って欲しくないので、お断りしたいです。
「遥さん、一緒に行ってくれるかなぁ…」
って、つい名前で呼んでしまった。
そう、龍哉くんと話してる時は何時も名前呼びしてるから…。
気が緩んでる証拠だよね。いくら、梨花ちゃんに話すって決まってるって言っても、話してないのにその目の前で、名前呼びするなんて…。
自分でも、軽率だったと思う。
「今、"遥さん"って言った。しかも、極自然に…。何で、亜耶だけが遥さん呼びなの!」
と、梨花が大きな声で言うから、クラス中が私の方を向く。
龍哉くんが、焦った顔をして梨花ちゃんを見る。
「えっ…、あっ…」
私も焦ってしまって、何て言ったらいいかわからず、あたふたしてしまう。
気付けば、周りにクラスの子(女子)が集まっていた。
うわー、どうしよう…。
「こら、ホールルーム始めるぞ。席に着け!」
って、タイミング悪く遥さんが入ってきた。
「高橋先生。鞠山さんとの関係はなんなんですか?」
梨花ちゃんが、遥さんの方に質問をしに行った。
それに続くように、他の女子も遥さんの方に近寄る。
あー、もうダメだ。
遥さんが、私の方を見てくる。
ちょっと、困った顔をしながらも笑顔の遥さん。
私は、遥さんに向かって、手を合わせて"ごめんなさい"って謝った。
「わかった。話すから、取り合えず席に着け」
遥さんは、そう言って皆を席に着かせると、私に向かって手招きし。
「亜耶。おいで」
って、甘い声音と笑顔で呼ぶ。
周りでは、信じられないと声とざわめきが起きる。
そちゃあ、そうだろう。
遥さんの笑顔物凄く優しいもの。
私は、遥さんのところに行く。
私と目を合わせた後。
「俺と亜耶は、夫婦だ」
と、堂々と宣言した。




