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落ち込む亜耶…遥

本日2話目の投稿です。

前のページからお読みください。

今日は、簡単に作れるオムライス(これ)しか無理だったが、また何か作ってやるか…。

俺は、そう思いながらリビングに足を向ける。

「亜耶。できたぞ」

って、亜耶に声をかける。

亜耶は、ソファーの隅にクッションを抱えて小さく座っていた。

うおー。

何だよ。何で、どんよりしてるんだよ。俺、何か悪いことしたか?

不安になりながらも、亜耶に近付こうとしてた。

「う、うん」

見るからに元気がない。

亜耶は、立ち上がってダイニングに重い足取りで進む。

ダイニングの入り口で立ち止まる亜耶に。

「ほら。冷めちまう前に食べるぞ」

そう声をかけて、亜耶の肩に手をやり座るように促す。

テーブルには、亜耶が準備してくれた物と俺が作った物を並べた。

俺が作ったのは、オムライスだけだがな。

「う…うん」

亜耶が、動揺しながら、席に着く。

俺も、亜耶の向かいの席に座る。


「「いただきます」」

二人で手を合わせて、食べようと俺は箸を手にした。

…が、亜耶の反応を見たくて、じっと様子を見ていた。

亜耶は、食べにくそうにしながら、一口口に入れる。

「おいしい!」

スプーンを持っていない方の手を口許に当ててそう言う。

俺は、その言葉を聞いて。

「そっか…美味しいか。よかった、亜耶の口にあって…」

そう口に出してた。

だが、亜耶が顔を俯かせてしまった。

「どうした、亜耶?」

亜耶に声をかければ、首を横に振り。

「なんでもない…」

って言うんだ。

見るからに落ち込んでるのに、何でもないって無いだろ。

俺は、慌てた。

「ちょっ、亜耶。見るからに落ち込んでるだろうが。俺が料理できるのは、独り暮らしが長いからなんだって…」

そう言って、席を立ち亜耶の隣の椅子に座ると亜耶を強く抱き締めた。

俺は、自分の過去を少しだけ、話そうと思った。


「亜耶には、まだ話してなかったな。俺、中学の時から一人暮らししてた。親、姉兄が煩わしくて…」

あの頃は、親の期待が大きすぎて反発し、姉兄の嫉妬心剥き出しの嫌がらせが酷かったし…。

「俺さ。家の重圧に負けて、親や姉兄に反発しまくったあげく、逃げ出したんだ。自分の責任を放棄して…。それから、独り暮らしが始まったんだ」

自分にどんな責任があるかなって、わかっていなかったもんな。

「最初のうちはさ、惣菜とか買って食べてたんだけどな。味に飽きてきてさ、だったら、自分で作れば、自分の好みの味付けになるって気付いて、作り出したんだよ。だけどさ、失敗ばかりでさ。今日、亜耶が作ってくれた肉じゃがなんか、食べれた物じゃなかった。かといって、そこで諦めるなんて出来なくてさ、必死に覚えた。オムライス(これ)だって、今なら綺麗に作ること出来るけど、前は全然ダメでさ。卵を焦がしたり、破いたり、何度も失敗した事か。諺にもあるだろ"失敗は、成功のもと"って。亜耶は、主婦になって、一ヶ月しか経ってないんだ。それに俺、朝にも言ったぞ。"焦らなくていい"って。亜耶のペースで上手くなってくれれば、いいんだ」

俺は、亜耶の頭を何度も何度も撫でる。

「遥さん。ごめんなさい」

って、亜耶が謝ってくる。

「何に謝ってるの?俺たち夫婦だぞ。出来ないことがあればそれをサポートするのが俺の役目だろ。俺は、亜耶が、無理して体を壊す方が怖いんだよ」

俺は、ゆっくりと自分の思っていることを口にした。

「それに、亜耶は、俺にとって自慢の奥さんなんだからな」

俺は、笑みを浮かべてそう口にした。

「うん…。ありがとう。私も遥さんが、自慢の旦那様だよ」

亜耶から、笑顔で言われたら、動揺するだろ。

うわー、それホント反則だわ。

俺の顔、赤くなってると思う。

亜耶が、俺の顔を凝視してくる。

「ちょ、亜耶。こっち見るな」

俺は、顔を反らし、テーブルの上の物を見て、夕飯の途中だったのを思いだし。

「飯、冷めちまうから、食べちまおう」

俺はそう言うと、そそくさと自分の席に戻り、箸に手を伸ばして、食べ始めた。

亜耶が、クスリと笑みを溢して、オムライスを食べ始めた。

さっきよりも、ご機嫌になったみたいだ。


そういえば、俺、亜耶に自分の事話してない事に気付いた。

今度、時間がある時にでも話そうと思った。

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