美味しいと…亜耶
遥さんが支払いを済ますのを店の外で茉って居ると、先程の遥さんの食べっぷりを思い出していた。
悪戦苦闘しながらもお腹を満腹にさせた私は、残りの料理を申し訳無さ気に見ていたら。
「もう限界か?」
と遥さんに聞かれて頷くと、遥さんは自分の前に私が残した料理を持っていきそして、店員さんを呼んで食後の飲み物を持ってきて貰うように頼み、料理を食べ出した。
私はそれを呆気に取られながら、見ていた。
暫くして、食後の飲み物が届いて店員さんにお礼を言ってそれを口にし。
「美味しい…。」
と口に出していた。
「この店の料理はどれもお薦めだから……。」
私の呟きが聞こえたからのか、そう言葉が返ってきた。
見れば、お皿に有った料理が無くなっていた。
えっ、何時の間に……。
遥さんの顔を見れば、満足そうな笑みを浮かべていた。
「どうした? 俺の顔に何か付いてるか?」
凝視して見ていたからなのか、そんな質問が返ってきた。
私は首を横に振って。
「何でも無い。」
それだけ言って、カップに口を付けた。
「亜耶、どうした? 難しい顔をして」
って声かかったのでその方を見ると、遥さんが店から出て来た所だった。
「ううん、何でも無いよ。」
って答えると。
「そっか。じゃあ行くか。」
遥さんが右手を差し出してきたので、私は左手をその手に重ねた。
「遥さんが大食いだとは思わなかった。」
駐車場に向かう中そう口にすれば。
「大食いではないな、ここの料理が旨すぎるからつい食べ過ぎるんだ。」
と断言されてついクスッと笑みを溢してしまう。
「嘘じゃないぞ。ほら、この腹見てみろよ。普段よりポッコリ出てるだろ。」
遥さんはそう言うと自分のお腹に繋いでいた手を外して、私の手首を掴むと掌をお腹に充てて上下に動かした。
アワワ……。
確かにポッコリと出てはいるけど……。
ちょっと、恥ずかしい。
道端でまさか旦那様とはいえお腹を擦るなんて……。
「あれ、亜耶の顔、真っ赤だぞ。熱でも出たか?」
って、揶揄様な言い種で言ってくるから、遥さんの胸元をポンポンと叩き。
「だって……。」
口にしながら、睨み付ける。
「俺が悪かったって。」
遥さんが慌てて謝ってくる。
「さっ、気を取り直して、この手土産を家に一度置きに行ってから、買い物に行きますか。」
遥さんが手を繋ぎ直してそう口にしたので、未だ赤くなってるだろう顔を遥さんに向け。
「はーい。」
と返事を返すのであった。




