違和感…遥
亜耶をエスコートしながら母屋の居間に足を向ける。
居間では、お義母さんがテレビを観て寛いでる振りを見せていた(忙しくしてる所を見せたくないのだろう)。
「お母さん、出掛けてきますね。」
亜耶の言葉に違和感が沸く。
普段そんな畏まった言葉遣いしないのに……。
その言い回しは、何処で覚えてきたんだろうとふと思った。
お義母さんは此方を振り返り。
「行ってらっしゃい。気を付けてね。」
ニコニコしながら答える。
亜耶が家に帰って来た事を喜んでるようだ。
俺はちょっとおどけるように。
「では、お嬢さんをお預かりしますね。」
と声をかける。
「夕飯までには帰って来てね。」
と返された。
「わかりました。」
俺はそう返すと亜耶に目線を向け。
「行こう。」
玄関に向かって歩き出した。
玄関を出て車まで行くと助手席のドアを開け、亜耶に乗るように促す。
その時小声だが。
「ありがとう。」
と亜耶が言ってきた。
座席に座った亜耶をシートベルトで固定してからドアを閉めて、運転席側に乗り込む。
シートベルトをしてから。
「さて、亜耶はどっちに行きたい?」
と問い掛ければ、質問の意図がわからなかったのか首を傾げる。
「何時ものファミレスか、学校近くのフレンチか?」
二択の選択肢を上げると暫く考えた後。
「学校近くのフレンチ。」
と答えた。
まぁ、今日は落ち着いて食べたいのだろうと思い当たり。
「了解。」
と返して、車を出した。




