表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/183

退院の朝…亜耶

本日二話目です。

前ページからお読みください。m(._.)m



フと目が覚めると朝になっていた。

 あれ、昨日本を読もうとしてそのまま寝ちゃったんだ。

 この困った体質は、まだ治っていないのか……。

 年を重ねる事に治るとは言われてたけど……。治る見込み無いかも……。

 このままだったら、遥さんに迷惑かけちゃうよね。

 意識改善すれば良いのかな。

 考えが纏まらずにどうすれば良いのか。

 治したいと思って治るものなら良いのだけど……。


 うだうだ考え込んでても仕方ないか、退院の準備をしよう。

 ベッドから降りるとパタンと何かが落ちた音がして、足元を見れば寝る前に読もうとしていた本だった。

 その本を拾い、枕元に置くと部屋に備え付けてあるクローゼットに行き扉を開けて、鞄を取り出す。

 鞄のファスナーと悪戦苦闘しながら開けて、中からワンピースを取り出した。

 拡げてみると、背面にファスナーがあるタイプで、一人では着るには難しそうだったので、都さんが来るのを待つことにした。

 その間に鞄の中に仕舞えるものは仕舞い込んでいった。


 コンコンコン。

 控えめのノック音が聞こえてきた。

「はい、どうぞ。」

 と返事を返す。

 ゆっくりと戸が開いて。

「おはよう、亜耶ちゃん。」

 都さんが何時もの笑顔で入ってきた。

「おはようございます、都さん。」

 私も挨拶を返す。

「朝の検温しましょう。」

 都さんが体温計を差し出してきたから、私はそれを受け取り脇に挟む。その間に、都さんは私の手首で脈を測り出した。

 そんな都さんに。

「都さん。」

 声をかける。

「何、亜耶ちゃん?」

「あのね。着替えを手伝って貰えませんか?」

 緊張しながらそう訪ねると。

「良いわよ。これよね?」

 嫌な顔を一つせずにベッドの端に置いていたワンピースを指して言う。

「はい。」

 ちょっと大人っぽい(私には)ワンピースなんだけどね。

 私は、パジャマを腕に負担がかからない様にゆっくりと脱いで、ワンピースを身に纏うと。

「都さん、お願いします。」

 そう言いながら、彼女に背を向けた。

すると、ジッーーって音が聞こえてきて、弛かった所が徐々に無くなり、ピタリとまとわった。

 最後まで止めて貰うと。

「ありがとうございます。忙しい時間帯なのに…。」

 そう口にすると。

「気にしなくて良いのよ。患者さんの要望は出きる限り叶えて揚げたいと思ってるから。」

 都さんがニコニコしながら言う。

「それでもですよ。」

 感謝の気持ちは、忘れてはいけないと思う。

「亜耶ちゃん、此方こそありがとう。あなたが感謝の言葉を言ってくれるから、頑張ろうって思えるから……。」

 目に膜を張りながら言う都さんの言葉を疑問に思いながら首を傾げる。

「ウフフ……。今はわからなくても、何れわかる時が来るわよ。」

 笑みを浮かべる都さんに益々わからなくなる私。

「もう少しで朝食が届くから、それまでゆっくりしててね。って病院で言う台詞ではないわね。」

 その言葉に私も笑みを浮かべて頷いた。

「じゃあ、ね。」

 そう言って、都さんは部屋を出て行った。


 私は、朝食が来るまで本を読むことにした。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ