親友の困惑ぶり…亜耶
本日二話目です。
「戻った。俺たちが出てってから、誰か来たりしてないか?」
突然の遥さんの声に、夢中になる程話し込んでいたのだと思った。
その言葉に少し反応が遅れたが、首を横に振り誰も来てないと伝えた。そして、遥さんが手にしている紙袋に目にして驚いた。
その手には真由ちゃんの誕生日プレゼントを態々取りに行っていたのだと。
「これ、真由への誕生日プレゼント。当日直接渡せないと思って取りに帰ってたんだよ。後、飲み物な。亜耶にはミルクティー真由には甘いカフェオレな。」
そう言いながら、テーブルの上に各々載せる。しかも、真由ちゃんの好みもしっかり把握してるとは何とも言えない思いが募る。
自分達の分もしっかりとカって来てたみたいで、湯川くんも手にしていた。
「有り難う。丁度喉が渇いたなって思ってたところだったの。」
私がお礼を言うと真由ちゃんも同意見だったみたいで頷いていた。
早速そのミルクティーを一口飲み。
「あっ、遥さん。真由ちゃんに招待状って出してる?」
さっき話題になった事で気になって聞いてみたんだけど。
「お義父さんと雅斗が出してると思うが、それがどうかしたのか?」
不思議そうな顔をして聞き返してきた。
自分の口から言うのは恥ずかしいのだけど。
「私、パーティーって初めてだから、真由ちゃんに居て欲しいなぁ…なんて思ったの。」
今回初めてのパーティーなのに、主役でしょ。なので、真由ちゃんに色々教えてもらえたらって思ったんだけど。
決して、遥さんじゃ頼りになら無いとかじゃないよ。女性特有のがあるんじゃないかって思ったの。
「そうか。真由のパートナーは、透でいいのか?」
遥さんが直接真由ちゃんに聞いてる。
パーティーには、パートナーは付き物だもんね。
「私はいいけど、透くんは分からない。」
憂い顔で答える真由ちゃん。
確かに、湯川くんの気持ちが分からなければ無理にとは言えないよね。
そんな時。
「透。真由のパートナーだが。」
と口にする遥さんに対して。
「真由ちゃんのパートナーは、俺しか居ないでしょ!」
と啖呵を切る湯川くんの言葉に真由ちゃんの顔が心なしか明るくなった。
「透くん、いいの?」
不安そうな声音で再度問う真由ちゃん。
「うん。お祝い事だからね。それに、俺は真由の婚約者でもあるし、俺以外の男と行くと言うならその日一日中外に出してあげないから。」
答えてる湯川くんの言葉に若干引っ掛かりを覚えるが、真由ちゃんに事好きなんだと思えた。
「良かったね、真由ちゃん。その胸の内に秘めた思いも早めに言った方がいいよ。」
まぁ、湯川くんのあの話し方なら、間違いなく両思いだと思うんだよね。
だから、早めに打ち明けた方が真由ちゃんの為だと思うの。要らない心配は早めに無くしておく方がいいと思うから。
「亜耶、招待状の件は雅斗に確認しておくな。真由、今日はありがとうな。亜耶の話し相手になってくれて。それから、もし悩み事があれば何時でも相談に乗るから一人で抱え込むなよ。特に透な。一度の過ち誰しもが通るんだから、他人に話して解決した方が良い。」
遥さんの言葉に真由ちゃんが固まった。
それも、さっきの話の中で浮上してたことだったから、今の話し方だと遥さんが解決したんだと分かったから。
真由ちゃんの顔を見れば、寂しそうな顔をしている。
そうだよね、一番近くに居て何も相談されないのって寂しいし、頼りになら無いんだって、落ち込むよね。
真由ちゃんが固まったのを見て。
「どうした、真由?」
遥さんが声をかければ。
「何でもない……。」
苦しげな表情を浮かべていて、私はそれを見ていられなくて。
「遥さん、ちょっと……。」
と呼んだら、何だって顔をしながら此方に来る。
「真由ちゃんの悩みごとを遥さんが解決しちゃったから、真由ちゃん困惑してるの。」
遥さんに耳打ちした。
今度は、遥さんが怪訝そうな顔付きで私と真由ちゃんを交互に見ていた。




