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授業中なのに・・・…遥

担任の宮原先生は、ああ言ってるが少し気にはなる。

「遥くん。会社、何処に勤めてるんだ?」

俺の事を良く知ってる先生が聞いてきた。

「あぁ。亜耶の鞠山財閥ですよ」

俺の言葉に周りがざわめく。

「へぇ。凄いなぁ。一流企業の社員とはな」

他の先生が口を出す。

あぁ、俺の事知らないからか…。

「社員じゃなくて、上役ですよ」

俺の言葉周りが驚く。

「はっ?上役!」

まあ、驚くよな。こんな若造が、上役だもんな。

「俺、教師ここを引き受ける前に鞠山財閥で、研修行ってたんですよ。しかも海外の終わって帰ってきたらポストも用意されてたんですがね、伯父のSOSじゃ断れなくて、こっちに来たんですよ」

俺は、苦笑しながら答える。

嘘は、ついて無い。

「それは凄いな。じゃあ、見つかり次第ここを辞めて会社復帰か?」

感心する先生に。

「そう言うことになりますね。暫くの間ですが、宜しくお願いします」

俺は、そう言うと驚いた顔をして。

「遥くんが、柔らかくなったのは、彼女のお陰かな」

って、にこやかな顔で言う。

そうかもしれないですね。

亜耶が居なかったら、まだ尖っていたかもしれない。

最近、周りに丸くなったって言われることが多いからな。

「高橋先生。クラスの様子、見てきてもらってもいいですか?」

宮原先生が絶妙なタイミングで声を掛けてきた。

そう、周りの先生方のやっかみの視線が、痛いなと思ってたところだった。

「はい」

俺は、そう返事を返して職員室を後にした。


廊下を歩いてるとあっちこっちから、文化祭に行う出し物の話合いや、体育祭の選手決めで白熱していた。

懐かしいなこの感じ。

卒業して七年経ってるもんなぁー。


さてさて、うちのクラスはどうなってるんだ?

そっと廊下から中を伺えば、黒板に亜耶の字が書かれていて、一ヶ所に丸が付いていた。

射的&輪投げ(景品駄菓子)と…。

なるほど。

流行り物じゃなくて、夜店にある物できたか。

妥当な線だろう。

「亜耶」

俺は、廊下から亜耶を呼び出した。

河合は、居ないのか。

亜耶は、俺に気付くと用紙を持ってきた。

「高橋先生。ここなんですが、これでいいですか?」

亜耶にそう言って用紙を見せてきた。

流石に亜耶に"高橋先生"って呼ばれるとちょっと寂しいけど、亜耶なりのけじめだろう思い用紙を覗き見た。

「あ、うん。それで大丈夫だよ。俺、亜耶不足。充電」

そう言って、亜耶を抱き締めた。

が、亜耶が俺から逃れようと両腕で、胸を押してきた。

何で?

他の奴なんて見てないのに…。

「遥さん。ここは学校だから、それは家でね」

顔を赤くして言う亜耶。

学校では、"遥さん"って呼ばないって言ってたのに…。もう、可愛いな。

「あれ、亜耶ちゃんどうしたの?」

突然声をかけられて、亜耶が慌てて離れた。

ちっ、邪魔物がきた。

俺は、奴を睨んだ。

奴は、苦笑してる。

そんな俺達のやり取りに気付かずに。

「あ、うん。ここを高橋先生に聞いてたの」

亜耶が、さっきの用紙を奴に見せる。

「こんな項目があったんだね。俺もそれでいいと思うよ。よく思い付いたね」

笑顔でそう言うそいつが。

「高橋先生。結婚おめでとうございます。亜耶ちゃんには、先ほど伝えたので」

小声で伝えてきた。

おっ、こいつは知ってたんだ。

知らない奴の方が多いから、こいつのこの対応は、正解なんだろう。

「お、知ってたのか、龍哉。ありがとうな。籍だけは入れたんだけどな。まだ、式してないんだ。お前、クラスの代表で式に呼んでやるよ」

俺は、声を潜めてそう伝える。

「本当ですか?だったら、アイツもいいですか?このクラスで一番亜耶ちゃんと仲が良いんですが」

龍哉の声のトーンが少し高くなり、真顔で聞いてきた。

アイツって、もしかして彼女の事か?

「ん。亜耶の仲良しならね。あっ、でも今は内緒にしておいてな。式の予定は、まだ先だから」

誰にも話すなと意味合いで、口許に指を立てた。

「わかりました。男子リレーのメンバー勝手に決めてきたから、それ伝えてくるな」

龍哉が、クラスに戻りリレーのメンバーを告げてる。

「頑張れよ」とか「お前達なら出来る」

と激励の言葉とエールが聞こえてきた。

「仲が良いんだな」

俺は、率直の意見を言う。

「うん。クラスが纏まってるから、やりやすいよ」

それは、龍哉や亜耶を信頼してるからだ。

「亜耶。無理するなよ。お前は直ぐに溜め込むからな」

俺は、そう言うと亜耶の頭を撫でた。

顔を赤くして嬉しそうな顔をする亜耶。

可愛い。でも、その顔、誰にも見せたくないから、亜耶の後頭部に手をやり自分の胸に押し当てた。

「その顔、誰にも見せたくないから、暫くこのままな」

亜耶の耳元で囁いた。


見られたのが、龍哉でよかったと安堵してる俺が居た。



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