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透の闇…遥

本日四話目です。



俺は、カップに口を浸けつつ透を観察する。


こいつが、此処まで落ち込むってことは、相当参ったんだろうなぁ。

だが、何時までもそんな事してられたら、俺も堪らんな。

しかも、男に優しく何てする必要あるのか?

と悶々と考えても見たが、答えなんて出る筈もなし……。

ハァ~。

溜め息一つ吐き透に。

「何時までそうしてるんだ? 真由も心配してるぞ。昨日の事を忘れろとは言わないが、それを教訓にすればいいだろうが……。」

言葉を投げ掛けた。

少しの間が有り。

「俺……。真由あいつに相応しくないんじゃないかって思うんです。」

弱々しい声でポツリと呟きが返ってきた。

フ~ン。

相応しくないねぇ。

「今回の事故けんでそう思ったなら、時期早々だと思うぞ。」

俺が言えば。

「今回だけじゃないんです。少し前にも遥さんと旅行の事で遅くなったでしょ。その時、真由に連絡いれるの忘れてて、酷く哀しませてしまって……。それに、今回の事で理事長に見放されたかと思うと……。」

何だよ。

たった一度や二度の失敗で、何を恐れてるんだ。

そんなの俺に比べたら、幾等かましなもんだ。

「あのさぁ、落ち込んでる前にやることあるだろうが。真由に "相応しくない" って誰が言ったんだ? 自分だけの思い込みでの決断なら早まるな。」

俺はそう口にしていた。

「だけど……。」

俯きながら話す透の顔は分からないが、雰囲気はどんよりと雨模様だ。

普段陽気な分落ち込みが半端ないな。

「あのさぁ。何時までそうしてるんだ?

真由がおまえの事必要ないとでも言ったのか? 俺なんか、何度も亜耶から絶交、絶縁されてるぞ。それでも俺は、亜耶が好きだし、彼女の隣にいたいって思った。他の男と一緒にいるところを想像すると嫉妬までするぐらいだ。今だって、結婚したのに安心してないんだ。年の差がある分心配で仕方ないんだ。周囲が何と言おうとも、自分は自分でしかないんだ。しかも、お前はまだ高校生で親の庇護があるんだ。失敗なんて幾らでもすればいいんだよ。って言うか、今の内にしておけ。失敗して学べばいいんだよ。観察眼が足りないと言われたら、今からでも養えばいいんだ。経験が少ないんだから、対応だって分からなくて当たり前だろ。それを何時までも引っ張るのは良くないぞ。」

伯父に聞いてた事をそのまま口にする。

まぁ、俺自身高校の時はハチャメチャ遣りましたがね。

順序良く話すなんて、現場馴れしてないと無理なことだし、遭遇した時点での状況判断は周りを良く観察すれば分かる筈だ。透はそれを怠ったって言うよりも、動揺し過ぎて出来なかっただけだと思う。

今だ項垂れてる透に。

「お前は、真由に惚れてるんじゃないのか? 真由を自分の手で護って幸せにしたいんじゃないのか? だったら、何時までもそんなみっともない姿を真由の前で晒すなよ。そんなんじゃ、真由も幻滅するぞ。」

俺の言葉に透の顔が徐々に上がってきた。

後一押しか。

「俺はな、真由はお前の悪い所も良い所も知ってて傍に居るんだと思うぞ。そうでなきゃ、同棲なんてしないだろう。それにお前は、自分の悪いと思ってる所を直そうと努力してるだろうが。そんなヤツだから伯父も婚約を……大切な一人娘との同棲も許したんじゃないのか。」

まぁ、俺の推測だがな。

二人の同棲は高校に入ってからだが、お互いの両親の思惑もあるだろうが……。

だが、これは伯父から聞いたことだが、 "二人の想いの強さに親達が折れた" って、寂しそうに言ってたのを思い出す。

「遥さん……。俺は、これからどうしたら……。」

小声で聞いてくる透。

「どうするも、自分に足りないと思うところを磨き上げるだけだろ。まずは、観察眼から始めれば良いだろう。こればかりは経験を積むしかないからな。」

俺は、自分の事のように伝える。

一つずつ克服していくしかないからな。

「観察眼……か。分かりました。俺、頑張ります。」

透が勢いよく返事をする。

「その意気だ。」

俺は、透の目を見て答えた。


「そろそろ、戻るか……。」

コーヒーを飲み干し、そう告げる。

「そうですね。」

透も同意する。

「あっ、真由へのプレゼント持って行くから、先に駐車場で待っててくれるか?」

俺は、思い出したかのように言えば。

「それなら、俺が持ちますよ。」

透が手伝うと言い出すが。

「そんなに大きいものはないから大丈夫だ。先に行っててくれ。」

俺がそう言うと透は。

「分かりました。では、先に行ってます。」

そう言って玄関に向かった。


さて、伯父からのプレゼントと亜耶が一生懸命に選んだプレゼントを俺の部屋に取りに行く。

紙袋3つを手にして玄関を出た。



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