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百面相の真相…遥

本日五話目です。

雅斗たちが病室を出て行ってから、数分後に亜耶が百面相をしだした。

その顔は見てても飽きないんだが、何処と無くソワソワしてる。

「亜耶? さっきから、何百面相してるんだ? もしかして、何か悩み事でもあるのか?」

気になり過ぎてそう声をかければ、ビクリと肩が微かに揺れ、ゆっくりと俺の方を見る。まるで、壊れたブリキの玩具みたいだ。

俺からすれば、心配顔を張り付けていたんだが、明らかな動揺を見せながら首を横に振り。

「ん? 悩みなんて無いよ。たださっきお義姉さんが報告してきた事が嬉しくて、ね。その反面にちょっと複雑な心境に陥っただけだよ。」

と返してきた。

沢口ぎしからの報告で、そこまで嬉しい事と嬉しくない事だと……。

それって、さっきの "内緒" ってヤツと被るのか?

「もしかして何だが、"おめでた"とか?」

何気に思い付いた言葉を口にすれば、亜耶が驚いた顔をして。

「な、何で分かったの?」

口をパクパクさせて、聞いてきた。

「ん? あぁ、亜耶の浮かれてニコニコ顔から、急に眉間にシワを寄せて複雑そうな顔をしたかと思ったら、やっぱり嬉しいって顔になった事と、さっきの "内緒です" って言葉でな。」

俺は、淡々と口にした。

まぁ、新しい家族が増えるのは嬉しいだろうなぁ。複雑なのは、高校生にして "叔母" になるから……。

亜耶の気持ちも分からなくもないが……。

俺自身も、高校生の時に "伯父" の立場になった身だし……。

「遥さん。お兄ちゃんには言わないでよ。お義姉さんと約束してるから。」

亜耶が慌てて釘を刺してきた。

「言うわけないだろ。それにしても、雅斗が父親とはな……」

結婚してから、半年か……。

沢口あいつが何か企んでるのも分からんでもないな。

それこそ、俺たちのパーティーで報告しそうだな。

まぁ、丁度いいのかもしれないが……。


「あの。遥さん。」

突然改まった声音で亜耶が、話しかけてきた。

不思議に思いながら。

「ん?」

と返す。

「遥さんも子ども欲しい?」

って消え入りそうな声で聞いてきた。

その唐突すぎる質問に狼狽える俺。

何も答えないのも亜耶が不安がるだろう。

「ん、そうだな。いずれは亜耶との子どもは欲しいと思うよ。でも、今じゃない。今は、亜耶と二人の時間を大切にしたいんだ」

俺は、言葉を選びながら答える。

今、この瞬間だって、俺にとっては大切な時間に変わりないのだから……。

亜耶の顔を見れば、ホッとした顔をしてるから、何があったのか気になり。

「急にどうしたんだ?」

質問してみれば。

「あのね。お義姉さんの話を聞いてて、そう言う話をしたこと無いなって思って……。」

上目遣いで、俺を見る亜耶の言葉に。

「そういえば、そうかも。今の生活の事で一杯一杯で、そう言う話一度もしなかったな。」

って口にしていた。

亜耶に話さなかった事で、不安にさせてたんだな。

「俺はさぁ。今、隣に亜耶が居てくれることがとても嬉しくて仕方ないんだ。浮き足立ってると言われればそうなのかもしれない。だけど、今、この時を無くしたくないと思ってる。」

俺は、今の本心を口にした。

「それにさ、亜耶とまだ色々と二人でやりたいことがあるからな。」

俺たちは、まだ始まったばかりの関係。

一様にカップルがする様な事をやっていきたいし、旅行も二人で行きたいと思ってるんだからな。

亜耶が、不思議そうな顔で俺をジッと見てくる。

そんなに見られたら、俺だって照れるぞ。

「楽しみは、とっておく方がいいでしょ。」

亜耶には内緒で色々企むのも楽しそうだ。


何て思いながら、笑みを浮かべるのだった。




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