表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/183

甘やかし…遥

お昼頃に雅斗と沢口あねが顔を出した。


ちょうどその少し前に亜耶の昼食が届き、食べさせていた。


「先輩ー。ラブラブですね。」

揶揄する声がしたが、無視し。

「あぁ、いいだろう。ほら、亜耶、あ~ん。」

冷淡に返し、亜耶の口を開けるように促せば、恥ずかしそうに顔を赤らめて。

「あ~ん。」

素直に口お開けるから、可愛くて仕方ない。そこにスプーンで掬ったご飯を入れてやる。

この時の俺は、目許も口許も緩みぱなしだった。

「何か、面白くないです。」

沢口改め、義姉が言い出す。

面白くなくて結構。

「由華、その辺にしておけよ。……で、体調はどうだ? 亜耶。」

雅斗が義姉を諫めて亜耶に問いだす。

「ん? ……モグモグ……ごっくん。右腕が動かせないだけだから、それ以外は問題ないよ。……後、お兄ちゃんが聞きたそうなことだと "覚えてない" かな。」

亜耶は、口の中の物をしっかり飲み込んでから、雅斗の質問に答える。

雅斗が聞きたそうな事もしっかりと口にする

「覚えてない? 何かあるだろう? 例えば、背中を押された感覚とか……。」

雅斗が、亜耶に詰め寄るが。

「うん。何も覚えていないの。あるのは、気がついたら浮遊感があっただけで、何も解らない。あの時、他の事を考え事してたから、周りの警戒し損ねてた。」

申し訳なさそうな顔をして言う亜耶。

「そうか……。で、何が気になったんだ?」

雅斗の落胆した声。

そんな中。

「亜耶、あ~ん。」

って俺が口にすれば。

「あ~ん。」

口を開けて、答えてくれる亜耶。

あーもう、何て可愛いんだ、俺の嫁。

モグモグ租借し、飲み込むと。

「うんとね。龍哉くんたちが、遥さんの表情かおが変わるところが見たいって話になって、二人が押し掛けて行った時、遥さんはどんな顔をしてるのかなぁ……。何て思いながら歩いてたから、辺りを気にしていなかったんだよね。」

淡々とした口調で言う亜耶。

ある意味、俺のせいな訳ね。

「何だそれ。彼奴等はそんな事の為に俺のとこに来たのかよ。」

理由が可笑しいだろう?

俺の普通の顔が見たいとか……。

まぁ、亜耶が階段から突き落とされて、それどころじゃなくなったがな。

「まぁ、そのお陰で早く連絡がとれたから、今回は多めに見てやるか。」

そう、龍哉が彼奴等に携帯を持ち歩かせていたから、木村から一早く連絡を受けることが出来たんだよなぁ。

それも、俺の目も前だったしな。

「おい、それじゃあ犯人は、わかっていないのか?」

声を荒気ながら言う雅斗。

「その事だが、後で話すから待ってくれるか? ほら、亜耶最後の一口、あ~ん。」

俺は、雅斗にそう告げ、亜耶には口を開けるように促す。

「あ~ん。」

亜耶の口にスプーンを差し込み口を閉じたときにスプーンを引き抜く。

亜耶の怪訝そうな顔に気付いたが、敢えてスルーした。

「ここでは、話せない事なんだな。」

雅斗が事情を察して口にする。

「ちょっとな。亜耶には、関わって欲しくないかな。」

俺は、言葉を濁すように言う。

「わかった。外で話すか……。」

雅斗が、眉間にシワを寄せてこちらを伺ってくる。

「後は、お茶と牛乳だけだ。義姉さん、亜耶が飲み終えたらトレーを外にあるワゴンに戻しておいて。」

俺がそう口にすれば。

「えっ……」

義姉が眼を大きく見開き、口をパクパクさせてる。

「俺、何か不味いこと言ったか?」

雅斗の嫁だし、俺は妹の夫ってことで "義姉" で可笑しくないはずだが?

俺が怪訝に思ってると。

「イヤ……、あの……。先輩が "義姉さん" なんて言うから、驚いただけ……。」

しどろもどろで答える義姉。

「亜耶の "義姉" なんだから、俺からだってそうなるだろう……。」

何で、こんな何でもないことで議論しないといけないんだ?

「まぁ、そうなんだけど……。何か背中に変な汗が……。」

義姉が落ち着き無さげに雅斗を見ている。

「何、言ってるんだ。義姉さん、後宜しく。亜耶、牛乳もちゃんと飲めよ。」

亜耶が、確実に残すと踏んで強めに言う。

「うぇ……。飲みたくない。他のなら飲む。」

朝と同じことを言う亜耶。

困ったヤツだ。

「仕方がない。いちごミルクで良いか?」

雅斗が、口にする。

おいおい、妹に甘すぎだぞ雅斗。

「うん、それでお願いします。」

って、とても良い笑顔で答える亜耶。

はぁ~。

「雅斗、亜耶に甘すぎ。」

俺が呆れた様に言えば。

「そんな事無いだろ? 俺よりも甘やかす#男__やつ__#が言う言葉か。」

容赦ない言葉が雅斗から返ってくる。

まぁ、確かに雅斗以上に甘やかしてるが、な。

「二人ともです!!」

義姉が横から口を出す。

「だと思った。とういう事で、後宜しく。」

俺は、雅斗と一緒に病室を出た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ