過保護?…亜耶
今回は短めです。
気付けば、あっという間にお昼の時間になっていた。
私は、財布を手にして席を立つ。
「あれ?財布なんか出してどうしたの?」
こちらを振り返り不思議そうな顔をして聞いてきた。
まぁ、普段からお弁当の私だからかもしれないが……。
「ん?今日、寝坊しちゃったから、お弁当作る時間がなかったの。だから学食に行こうと思って……」
そう答えれば。
「珍しいね。気を付けて行っておいで」
龍哉くんが、笑顔で送り出してくれる。
「うん。ありがとう」
お礼を行ってから廊下に足を向ける。
「亜耶、どこに行くの?」
梨花ちゃんが声を掛けてきた。
「えっ、学食に……」
そう答えると少し考えてから。
「一人で行っちゃダメ。ユキ、一緒に行ってあげて」
梨花ちゃんがユキちゃんに声を掛ける。
過保護だなぁ。
なんて思いながら。
「一人で大丈夫よ」
私の言葉に。
「大丈夫じゃないから言ってるの!」
心配そうな顔をして言う梨花ちゃん。
「亜耶ちゃん。一緒に行こう。私も学食で買うから……」
ユキちゃんが、横から声を掛けてきた。
「いいの?」
「うん。私は、毎日学食だからね。それに行き馴れた人と行った方が、安全だしね」
ユキちゃんが、寂しそうな顔をして言う。
「ありがとう。じゃあ、今日はユキちゃんのオススメを食べてみようかな」
おどけるように笑顔で言えば。
「私のオススメは人気が在るから、直ぐに無くなっちゃうの。だから、早く行こ」
ユキちゃんが私の手をとって歩き出す。
私は、促されるまま歩き出した。




