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8/8

8.ズレ。

ジリリリリリージリリリリリー


カーテンの隙間から朝日が射し込む。

目覚ましの憎たらしい大音量が6畳間に響き渡る。



うるさいなぁ……目覚まし??

あぁ……今日はバイトか。起きなきゃ。

でも、もう少しだけ…………。


「千秋ーー起きろーー!!朝だぞーー」

親父が部屋の扉を勢いよくあけ、耳障りな声量で俺を起こしにかかる。


あれ……?親父??

あっ……そうか。今までのは全部夢だったのか。良かった……。



あれっ。重い。



体が重い。


体を動かそうとしても、動かない。


金縛りか!?



まぁいっか?このまま寝てよ。



そのまま意識は遠退いていった。



ぐはっ……。


顔面に思いっきり何か被さり息が出来なくなった。



「ちょっと、いい加減起きなさいよ!!」


目を開けると柚木がお腹に跨がり、枕で俺の顔を叩きつけていた。


「やっと起きた!!早く起きないと遅刻するよ!!朝ごはんも出来てるし早く下行くよ!!」


あれ……!?なんで柚木が俺の部屋に!!

親父は!?


そうか……さっきのが夢か。

朝から混乱するな。

どうなってるんだ、一体。俺はいつ未来へ戻れるんだ。


寝起きということもあり、頭の中は混乱していて、グチャグチャだ。

結局ここはどこなんだ。俺はこれから学校に行かなくちゃいけないのか。六年前ということは高校生か!?


「柚木。今は西暦何年だ。」


「早く朝飯食べて学校いくよ!!」


「オーケー。了解した。」


とりあえず今は過去ということがわかった。急いで朝食を食べ終え、通っていた高校へと向かった。



新しい学校へ行く気分なので、桜でも待っていたら気持ちも良いものだが、現実は街路樹も落葉してしまい、冬の季節感が全開だ。


学校へのルートは久しぶりだが、意外にもしっかりと覚えていた。家から自転車で駅まで行き、電車で学校の最寄駅まで向かい、そこから徒歩だ。


この辺りは記憶のまんまだな。

まぁ、そんなにころころ風景や人間関係が変わっていても、たまったものでない。

変わっているのは家族だけで十分だ。


 「瀬名君。おはよ!!」

 地下鉄の駅から出て、歩いているところ片山に声をかけられた。

 「瀬名君。そういえば、体調のほうはどう?よくなった?」


 「あぁ。昨日は悪かったな。頭が朦朧としていてよく覚えてないが、おかしなところを見せてしまったみたいで」


 「ううん。大丈夫だよ。やっぱり、体調悪かったんだね??変な汗すごかったしね。そんなに悪かったのに、学校なんてきちゃって大丈夫なの??」


 「あぁ。もう体調も回復したから大丈夫だよ。」


 片山とこうして並んで歩くのは違和感があるな。

こうして並んで歩くのも何年振りであろうか。


 「そうだ。片山、今日の授業ってなんだっけ??」


 「えっ!?昨日あれだけ舞ちゃんに、しつこく言われてたのにまさか忘れたの!?」


 「えっ!?ごめん体調悪かったから、昨日のことあんまり覚えていないんだよ……って舞ちゃん??」


 舞ちゃん??誰だよそれ。そんな奴いたかな。

……いや。そんな奴間違いなくいなかった。

世界線がズレると新キャラまで登場するものなのか!?

今までと違う行動を起こしていた世界ということは、ありえなくもない話なのか……

だが、学校だぞ!?今までいなかった人物が現れるのはおかしい気もする。


 「な、なぁ片山。舞ちゃんって」


 「あっ、瀬名君!!チャイムが鳴り始めたよ!!走るよ!!」



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