4.不機嫌
「ちょっと、どこかいくの?」
玄関で靴を履いてる途中、柚木に声を掛けられた。
スーパーで買い物をした俺たちはそのまま自宅へと帰宅し、家についたあとは、部屋の中を少し調べてから、倒れていた場所へと向かおうと玄関で靴を履いていたところ、柚木に見つかったのだ。
「あぁ……ちょっとコンビニ行ってくる。何か欲しいものはあるか??」
バカ正直に答えても信じてくれないだろうと思い適当に答えておいた。
それにしても、出掛けるとわかった途端、突然不機嫌そうな顔をしやがって、どうしたんだ一体……。
「じゃ……アイス買ってきて。」
そんな不機嫌な表情で言うなよ……
ってかこんなクソ寒いのにアイスなんて
よく食べる気になれるよな……。
「わかった。アイスな!えっと……どんなアイスが良いんだ??チョコか??」
「……任せる。……もうすぐ夕飯みたいだから、早くね……」
柚木は顔を少し赤面させながら、ボソっと答えた。
「そうか、わかったよ。夕飯食べ終わるまでには買ってくるよ。」
「はぁ!?……もういい。早く行け!!」
柚木が激怒しながら思いっきりリビングの扉を閉めた。
何なんだよ一体。でもこうして柚木と日常会話をするのも本当久しぶりで不思議な気分になる。俺のいた未来でもこんな風に妹と、もっとしっかりコミュニケーションをとっていたらなと、反省と後悔を思わせる。
家を出てから自転車で向かったので5分くらいで到着した。その頃には真冬ともあり、辺りは真っ暗だ。
倒れていた、商社ビルの通りに到着した頃には、帰宅途中のサラリーマンがまだ数人いたので、人気がなくなるのを確認してから敷地内へと入ることにした。
前はパニックで周りを見る余裕はなかったからな……ん?これは。
倒れていた近辺にどこかで見たことあるような白い腕時計を見つけた。
どこかで見たことあるような…………。
どこかでみたような……。昔こんなのもっていたような、もっていなかったような……。他に不自然なものはないし、不思議な様子もない、何か思い出すかもしれないから、とりあえず持ち帰ろう。
とりあえず拾った腕時計を左腕につけ、
この辺りをもう少し調べてから帰ることにした。