グッド・モーニング・コール
ただの暇つぶしに書いた話です。
のんびり40分ぐらいで完成したかな?
「お兄ちゃん、朝だよ♪ 起~き~て~♪ 起きないと、ほっぺにチューしちゃうぞ♪」
そんな妹のセリフに、俺は寝てるふりをする。
さっき目覚まし時計がけたたましく鳴り響いていたから、今は午前8時を5分ほど過ぎた頃だろうか。
確かに妹の言うように、今すぐ起きなければ学校に遅刻してしまう時刻である……が、それと妹のキスが目前に迫っていることは別問題だろう。
え? 学校のほうが大事? この優等生め、失せろ!
というわけで実妹とのキスである――俺はうっすら目を開けて妹の様子を伺う。
おっ、困った表情してるぞ。俺があと数秒、寝たふりを続けていれば……ほら、きた!!!!
頬をほんのり薄紅に染めた、実妹の端整なかんばせが、ゆっくりと寄ってくる。
唇はすでに唾液で湿らせたのか、しっとりと濡れていた。
やばい、エロい。
まだ妹には気付かれてないが、下半身がちょっと゛生理現象゛では誤魔化せないぐらいに元気になってしまってる。
カーテンの隙間から差し込む朝日に照らされて、それが俺の頬に至上の感触をもたらすべく……。
今の俺のこの気持ちを、いったい誰が理解してくれるだろう――いや、誰も理解できまい。
妹がさらに俺に顔を接近させてくる。
もう二人のあいだの距離は10cmにも満たないだろう。
唇の隙間から漏れる吐息が、キスの下準備のように俺の頬を撫で、くすぐったくも心地良い感触を与えてきた。
髪から漂ってくる、鼻腔を刺激するふんわり甘い匂いに、俺の思考は段々と麻痺していく。
なんてことだ! どうやらお楽しみはキスの前から始まっていたらしい。
さらに妹が顔を近付けてくる――もう彼我の距離は2cmにまで縮まっていた。
わずかに潤んでいる瞳がエロい!!
まったく、お兄ちゃんはお前をそんなエロい娘に育てた覚えはありません! これは後でお仕置きだな!!
「…………お兄ちゃん……」
実妹のモノとは思えないほど艶っぽい声が、そう俺の耳元で興奮させるように囁く。
ああ、可愛いぞ、××××(妹の本名である)!
思わず、そう叫び出しそうになるが、何とか精神力でそれを堪える。
妹は俺が寝ていると思ってキスしようとしているのだ、無事にキスをGETするためにも余計な行動は慎まなければ……。
と、俺はふと妹の動作がとてもゆっくりしていることに気付いた。いや、これは俺の思考が加速してるのだろうか……。ハッ、まさか、これがゾーンか(違います)!!
しかし、どれほど俺の思考が加速していようと、大した差はなかった。
もはや妹の唇はそれほど俺の頬に――それこそ触れ合うくらいに接近していた……
なんてことでしょう、お兄ちゃんは、ついに妹からキスされるのです!!!!
もう彼我の距離は0に等しくなっていた――あと一瞬、あと、ほんの刹那の後には――――!!!!
そして妹の唇が、俺の頬に…………
「このっ、バカ兄貴! 気持ち悪いニヤニヤ笑い、浮かべてないでっ、さっさと起きろ――!!」
ドガッ、バガッ、バキッ
「ぐはっ!?」
そうして俺は甘い夢からようやく目覚めた。
バッド・モーニング、わが妹よ。
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