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第4話~チュートリアルその②~

追加召喚(エクストラコール)ってなんですか?」


 俺は新たに出てきた単語をマルクさんに質問した。


追加召喚(エクストラコール)とは、後衛のモンスターを、追加召喚(エクストラコール)したいモンスターのランクの数だけ休息(レスト)状態にして、モンスターを召喚(コール)する召喚方法だよ。これならランク4以上のモンスターを出せるようになるんだ」


 つまり、後衛のモンスターというのは、前衛の控えでもあり、新たなモンスターを召喚するためのコストでもあるってことか。


 早速試してみよう。


「えっと。俺は後衛のリザードウォリアーを休息(レスト)状態にして、手札からランク1の《プチドラゴン》を追加召喚(エクストラコール)します」


 流石に休息(レスト)状態の意味は知っているので、俺はリザードウォリアーを横向きにして、手札からプチドラゴンをテーブルの上に置いた。


 「俺は《プチドラゴン》の効果エフェクトを発動します。このカードが追加召喚エクストラコールに成功した時、デッキからカードを一枚ドローします」


「おぉ。後衛にモンスターを召喚しただけでは無く、ドローしたか。いいコンボだ」


「俺はこのままターンエンドです」


 そうして、俺はターンの終わりを宣言する。

 もうこれ以上打つ手もないんでな。


 そして、ジークさんのターンへと移り変わる。


「俺のターン、ドロー!」


 ジークさんの手札は五枚、場には、ランク3のゴブリンライダーが前衛にいるだけだ。


「俺はスタンドフェイズ、ムーブフェイズをスキップ。そして、コールフェイズ! 俺は、ランク2《ウィザードゴブリン》を召喚(コール)

 更に、《ウィザードゴブリン》の効果(エフェクト)発動。

 このモンスターの召喚(コール)時、デッキの上から三枚を公開し、その中にランク3以下のゴブリンと名の付くモンスターがいれば、そのゴブリン一体を後衛に休息(レスト)状態で効果召喚(エフェクトコール)することが出来る!」


 と言うとジークさんはデッキの上からカードを三枚捲り、俺に見せる。


 その中にはランク3以下のゴブリンが一枚だけあった。


「よし! 俺はランク2の《プリーストゴブリン》を効果召喚エフェクトコール! 残りのカードを墓地へ。そして、プリーストゴブリンの永続効果エターナルエフェクトにより俺の場のゴブリンはBPプラス2000される!」


 BPというのは地球のカードゲームにも存在していたので知っている。他のカードゲームだと攻撃力だとか、パワーだとかで表される、モンスターの力を示す目安となる表記のことだ。


 とにかく、《プリーストゴブリン》の効果で、ジークさんの場にいる《ライダーゴブリン》のBPは3000から5000へ、《ウィザードゴブリン》と《プリーストゴブリン》のBPは2000から4000へ上昇した。


「さっきも言ったが、先行は最初の二ターン攻撃することができないので、俺はこのままターンエンドだ」


 ここで再び俺にターンが回ってきた。


「俺のターン。ドロー!」


 ドローしたのはモンスターカードではなかった。


 俺の手札にあるモンスターカードの地の色は全て赤色なのだが、ドローしたカードは地の色が黒なのだ。


 俺の手札を見ていたマルクさんが


「お、現代魔法モダンマジックをドローしたね。コールフェイズで使ってみよう。魔法マジックカードは後衛のモンスターを休息レスト状態にしなくても使えるから」


 と言ってきた。


 まぁ、それはさておき、スタンドフェイズは飛ばして、ムーブフェイズだ。


「ムーブフェイズで、後衛の《リザードウォリアー》と《プチドラゴン》を前衛へ!」


 このターンでは出せるモンスターがいないから全モンスターを前衛に出す。


「そして、コールフェイズ! えっと……手札から現代魔法モダンマジック《ツインドロー》を発動。デッキからカードを二枚ドロー!」


 テキストをよく見てみると、このカードはかなり強力な魔法だった。

 コントラクトモンスターズの手札消費が大体どれくらいの物かまだわからないけど、ノーコストで二枚ドローというのは、とあるカードゲームだと禁止カードの部類に入るぐらいチートカードなのだ。


「それにしてもよく引き当てたね。本来なら同じ名前のカードは三枚まで入れることができるんだけど、このカードは強力すぎてデッキに一枚しか入れられない制限カードなのに」


 流石にコントラクトモンスターズでも、同名カードの枚数制限と、制限カードの存在はあったか。


 ともあれ、デッキからカードを二枚ドローする。


 引いたカードは地の色が黒である現代魔法モダンマジックのカードと、地の色が白いカードだった。


「マルクさん。これ、なんですか。」


 そういってマルクさんに白いカードを見せる。


「それは、古代魔法エンシェントマジックのカードだよ。

 現代魔法モダンマジックとの違いは、現代魔法モダンマジックは自分のターンに使える魔法カードで、古代魔法エンシェントマジックは自分の場にある、セットゾーンという所にセットして使うんだ。

 でも、古代魔法エンシェントマジックはセットしたターンには使うことが出来ないけど、相手のターンでも使えるから便利だよ」


 なるほど、リバースカードオープン! ができるというわけですね。


 さて、これからどうしようか……と思っていると、ジークさんが咳払いをして


「あんちゃん。このターンからアタックフェイズで攻撃ができるようになるぞ」


 と教えてくれた。


 アタックフェイズがどういうものかは察しがついていたが、ジークさんは説明してくれた。


「アタックフェイズは、攻撃させたいモンスターを休息レスト状態にして、相手自身か、相手の休息レスト状態のモンスターを攻撃することができるぞ。

 相手自身を攻撃した場合は、相手のライフを一つ削ることができる。まぁ、例外として、ツインブレイク、トリプレットブレイクっていう効果を持つモンスターがいるんだがな。ツインブレイクは相手のライフを二つ、トリプレットブレイクは相手のライフを三つ削ることができるっていう効果だ。この効果は基本的には、ランク4以上のモンスターしか持っていないぜ。

 休息レスト状態のモンスターを攻撃する場合は、互いのモンスターのBPを比べて、低い方が破壊され、墓地に送られるんだ。BPが同じ場合には相打ちとなってどちらのモンスターも墓地に送られるがな。

 また、相手が攻撃してきた場合には、自分の活動スタンド状態のモンスターで相手の攻撃をブロックすることができる訳だ。この時もBP勝負になるぞ」


 俺の前衛にはモンスターが二体いて、ジークさんの前衛にはモンスターが一体しかいない。

 ということは……


「今がチャンス! 俺は《リザードウォリアー》でジークさんを攻撃!」


「そうきたか、だが俺は《ゴブリンライダー》でブロック!」


 この場合、《リザードウォリアー》と《ゴブリンライダー》のBPを比べて、BPの低い方が墓地に行く。

 本来ならどちらのBPも3000なのだが、《ゴブリンライダー》のBPは《プリーストゴブリン》の効果で5000となっている。

 つまり、このままいけば、《リザードウォリアー》が破壊されてしまう。


 ――このままいけば・・・・・・・――


「この瞬間! 俺は、手札から現代魔法モダンマジック《フレイムアロー》を発動! このカードの効果により、《ゴブリンライダー》のBPをマイナス3000する!」


「何ぃ!」


 そう、このカードは《ツインドロー》の効果でドローしたカードだった。


 これで《リザードウォリアー》のBPが《ゴブリンライダー》のBPを上回った。


「よって、ゴブリンライダー撃破!更に、《プチドラゴン》でジークさんを攻撃!」


 ジークさんの前衛には、モンスターはいない。ライフを一ついただきだ!


「くっ!」


 これでジークさんのライフは、10から9になった。


「俺はこのままターンエンドです」


 そう、この時、俺はコントラクトモンスターズに夢中になっていた。


 そのせいで気づかなかったのだ。――


「ショウ! いつまで休憩してるつもりだい!」


 ――おばちゃんが背後に仁王立ちしていることを。


 その後、勝負は中止となり、俺は閉店まで休憩無しで働かされた。


 閉店後は、おばちゃんが酒場の二階にある部屋と風呂を貸してくれた。

 へとへとに疲れ切った俺は、すぐに風呂に入り、ベッドで横になる。

 疲労が溜まっていたのか、すぐに意識が途切れた。


新出TCG用語

バニラモンスター:効果を持たないモンスター。

休息状態(レスト):フィールドのカードを縦から横にして「使用済み」「行動済み」等を表示する方法。

活動状態スタンド:フィールドのカードが縦向きになっている状態で「未使用」 「未行動」等を表示する方法。

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