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第9話~戦い、終結~

今回は三人称視点となっております。

「くッはははははははははははは!! これは傑作だなァ! まさか戦っている間に死ぬとは!」


 グリフィーが腹を抱えて笑っている間にも、翔の頭から流れ出ている赤い液体が地面を染めている。


 翔はピクリとも動かない。


「これは貴様の試合続行不能ということで俺の勝ちだよなァ! 小僧!」


「いつ我の負けだと決まった?」


「何ィ!」


 信じられないことに、翔が事も無げに立ち上がった。


 だが、今の翔から発せられる雰囲気やしゃべり方はさっきまでの物とは明らかに違う。


 気高い王者の雰囲気だ。


「全く、奴にも困ったものだ。たかが、こめかみに一撃貰った位で簡単に瀕死になりおって」


 と翔はさっきまでの自分を、まるで別人のように肩をすくめて語り始める。


「どういう……ことだ……」


 余りの超展開っぷりにグリフィーも動揺せざるを得なかった。


「おっと。我のターンだったな。我のターン。ドロー!」


 ドローしたカードを見て、翔は不敵な笑みを浮かべる。


 たが、翔のフィールドのモンスターで総攻撃を仕掛けても、グリフィーのライフを0にすることは出来ない。


「我はスタンドフェイズで全てのモンスターを活動(スタンド)状態に、ムーブフェイズでマッハイーグルを前衛に!」


 翔を心配そうに見つめてくれていたマッハイーグルも、名残惜しそうに前へ飛んで行った。


「なんだと!」


「貴様。何故ゆえに我がモンスターを三体動かさなかったかわかるか?それは、貴様を倒すのにモンスターを動かす必要性がないからだ! コールフェイズ。我はランク1『炎獄覇龍(えんごくはりゅう)の巫女』を召喚(コール)!」


 翔のフィールドに一人の女の子が現れる。

 炎のような赤い髪と瞳を持った女の子だ。

 しかし、その目からは涙が流れ、彼女が着ている白い質素なワンピースを濡らす。


「見る目麗しき乙女の祈りは、王者を呼び覚ます!我は炎獄覇龍の巫女の効果(エフェクト)発動!我のライフが三以下でこのカードの召喚(コール)に成功した時、このカードと、我のフィールドに存在するモンスターのランクの合計が10になるように生け贄として墓地に送る!

 我が墓地に送るのはランク3のワイルドベアー、マグマザウルス、リザードランサーの三体と、ランク1の炎獄覇龍の巫女を墓地に送り、手札及びデッキから、『炎獄覇龍(えんごくはりゅう)パージ』を前衛に効果召喚(エフェクトコール)する!」


 炎獄覇龍の巫女と、ワイルドベアー、マグマザウルス、リザードランサーが突如吹き上がる火柱の中に消えていった。


「灼熱の世界を統べし龍よ。その炎で、汚れたる世界を焼き尽くせ! ランク10『炎獄覇龍(えんごくはりゅう)パージ』!」


 四体のモンスターが火柱に消えた後、更に巨大な一本の火柱が吹き上げ、その中から


「ドラゴン……だと!」


 出てきたのは、真紅に輝く巨大な体と一対の翼を持つ龍だったのだ。


 パージが雄叫びをあげると、グリフィーのモンスターは萎縮してし、中には、気絶するモンスターも居た。


「まだだ、パージの効果(エフェクト)発動!

 このカードが炎獄覇龍の巫女の効果(エフェクト)によって効果召喚(エフェクトコール)に成功した時、コイツのBPは、四から我のライフを引いた数×5000ポイント上昇する! 我の残りライフは一。よってパージの元々のBP10000に、15000を追加する!」


「BP25000だと!」


 翔から三つの光の玉が発せられ、パージに吸収されると、パージは立ち上がり、天に向かって吠える。


「更に、パージは、四から我のライフを引いた数だけ攻撃することが出来る! つまり、パージは三回攻撃が可能となる!」


 パージのすさまじい効果に恐怖したグリフィーは、思わず尻餅を付いてしまう。


 無理も無い。トリプレットブレイク持ちの三回攻撃モンスター。しかも、BP25000のモンスターに勝てる道理が無いのだ。


「行くぞ、アタックフェイズ! 炎獄覇龍パージで攻撃!『断罪の煉獄火炎弾(プルガトリオバースト)』!」


 パージが大きく息を吸い、吐いたのは、全てを燃やし尽くす断罪の炎。


「俺は死屍者カプリシオの効果(エフェクト)発動! 手札を二枚墓地に送り、墓地からスケルトンナイトと、ガーゴイルの魔像を復活させる。

 更に古代魔法(エンシェントマジック)『ヒーリングポーション』を発動! このカードは相手ターンにのみ発動でき、その効果は、自分の前衛に休息(レスト)状態で存在するモンスター一体を活動(スタンド)状態にする! 俺は死屍者カプリシオを回復。

 俺はこの三体でブロックだ!」


 黒の指揮者が淡い光を受けて立ち上がり、指揮棒を振る。すると、地面から二体のモンスターが這い上がる。

 三体のモンスターたちが、グリフィーを守るように、立ち塞がり、やがて炎の中に消滅していった。


 これで、グリフィーを守るモンスターも魔法も無い。


「追撃せよ! 二体の月下狼と、フレイムサーペント、マッハイーグルで相手を攻撃!」


 月下狼が、グリフィーの太股にかぶり付き、フレイムサーペントが頭へ登り、マッハイーグルが肩に突撃する。


 これでグリフィーのライフは残り三つとなった。


 しかし、さっきまで腰を抜かしていたグリフィーはまた笑い出した。


「はははははははははははは!残念だったな! 俺のライフは三つ。たとえ、お前が龍騎士ハルペーで攻撃しても俺ライフは一つ残る!」


「貴様のつまらん道化っぷりに付き合う暇は無い。我は龍騎士ハルペーの効果(エフェクト)発動。活動(スタンド)状態のこのカードを休息(レスト)発動にすることで、休息(レスト)状態で自分フィールドに存在する種族がドラゴンのモンスター一体を活動(スタンド)状態にする! 勿論、我はパージを選択する」


 ハルペーが、パージに乗っかり、パージを操っている。


 そして、パージはトリプレットブレイク。つまり、グリフィーのライフを丁度ゼロにすることが出来る。


「そ……そんな。俺が……この俺が!」


「覚悟は決まったか? 行け、パージ。断罪の煉獄火炎弾(プルガトリオバースト)!!」


 巨大な火の球がグリフィーを飲み込んで行く。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 グリフィーのライフがゼロになり、デッキに自動でカードが戻ってくる。


 この瞬間。この戦いの勝利者が決定した。


「おっと。時間切れのようだな。今回は助けてやったが、次は無いからな、覚えておけ、少年」


 最後にそう言い残し、翔は再び、倒れ付した。

やっと終わりました。

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