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第7話~戦い②~

「俺のターン。ドロー!」


 続く俺の第六ターン。

 さっきは意気揚々とお前を倒すとか言ったけど、その為にまずは、場を固める!


「スタンドェイズでマッハイーグルを活動スタンド状態に。ムーブフェイズでマッハイーグルを後衛へ!」


 再び俺の肩にマッハイーグルが舞い戻る。

 そのもふもふした赤い羽が、俺のイライラを少し抑えてくれている。


「コールフェイズ。俺はランク2『月下狼』を召喚(コール)!」


 俺の足元に、白い毛並みを持つ巨大な狼が現れた。

 狼は俺になついているようで、俺の足に体を擦りつけている。


「俺は月下狼の効果(エフェクト)発動! デッキを上から三枚公開し、その中にランク3以下の炎属性のモンスターがいれば、そのモンスター一体を休息(レスト)状態で効果召喚(エフェクトコール)することが出来る!」


 月下狼の遠吠えと共に、デッキの上から三枚が浮いて、勝手に公開される。

デッキ上の三枚は、いずれもランク3以下のモンスターだった。

その中で俺が選ぶのは


「俺はもう一体の月下狼を休息(レスト)状態で効果召喚(エフェクトコール)!」


 二匹の月下狼が俺の足元を巡って火花を散らしている。

 仲良くしてくれよな……。


「更に、さっき効果召喚(エフェクトコール)された月下狼の効果(エフェクト)発動! デッキの上から三枚を公開!」


 そう、月下狼の効果は召喚(コール)追加召喚(エクストラコール)効果召喚(エフェクトコール)された際に発動されるものだ。


 つまり、この月下狼の効果でもう一回月下狼を出せば、もう一回月下狼の効果を使えると言うことだ。

 だが、デッキの上の三枚の中に、三枚目の月下狼は無かった。


「俺はランク1『フレイムサーペント』を休息(レスト)状態で後衛に効果召喚(エフェクトコール)!」


 炎を纏ったヘビがとぐろを巻いて俺の頭に落ちてきた。


「俺はフレイムサー熱つつつつつつつつッッッ!」


 俺はフレイムサーペントの効果を使おうとおもったのだが、その前に俺の頭から熱を感じる。

 当然のことだが、フレイムサーペントの炎が俺の髪に移ったのだ。

 禿げる、禿げてしまうッ!

 髪が燃え尽きる前に、なんとかフレイムサーペントに下へ降りてもらい、改めて、フレイムサーペントの効果を使わせてもらう。


「フレイムサーペントの効果(エフェクト)発動! このカードが効果召喚(エフェクトコール)された場合、デッキからカードを一枚ドロー出来る!」


 引いたカードは古代魔法(エンシェントマジック)だ。


「俺はカードを一枚、セットゾーンにセットしてターンエンド」


 すげぇな。このターン、俺は月下狼一枚だけで、後衛にモンスターを三体、カードを一枚ドローできた。

 向こうの手札は四枚、こちらは五枚。

 そして、グリフィーにターンが回る。


「俺のターンドロー!」


 奴は手札を一瞥し、顎に手を当て、思案に暮れていた。

 早く進めろよ。


「スタンドフェイズでモンスターを回復。ムーブフェイズで三枚目のガーゴイルの魔像を前衛へ」


 これで、三体のガーゴイルの魔像が前衛へ上がってきた。

 それにしても、一体ずつ、ポージングが違うのが気になるが、放っておこう。


「コールフェイズ。俺はランク2『闇夜の亡霊』を召喚(コール)! 更に、闇夜の亡霊を休息(レスト)状態にし、ランク4『冥府の番犬』を追加召喚(エクストラコール)!」


 奴のフィールドに、黒いローブと仮面を着けた男とも女ともわからない亡霊と、地球の神話に登場するケルベロスとそっくりな三首の巨大な犬が現れる。


 ついに来たなランク4……!


 本当にガーゴイルの魔像のコスト軽減能力は厄介だ。

 できれば、すぐに潰したいんだが、生憎ガーゴイルの魔像のBPは、デーモンズサンクチュアリの効果を受けて5000となっている。俺の手札にも、フィールドにもこのBPを越えるモンスターは存在しない。


「そして、俺はデーモンズサンクチュアリの効果で、ガーゴイルの魔像一体を休息(レスト)状態にし、カードを一枚ドロー。更に、アタックフェイズ!ガーゴイルの魔像二体で、貴様を攻撃だ!」


 悔しいが、このアタックを防ぐ術が俺には無い。


「ライフで受ける!」


 ガーゴイルの魔像が俺に襲いかかり、両肩に、殴られたような激痛が走る。


「ぐッ!」


 これで、俺のライフは一気に二つ削られ、8になってしまった。


 それにしても、肩が酷く痛む。これが真のコントラクトモンスターズの痛みなのか。


「さっきの言葉は口先だけだったな小僧! 俺はセットゾーンにカードを一枚セットし、ターンエンドだ!」


 一々グリフィーが煽ってくるので少しイラつくんだがな。


 しかし、奴の手札はモンスターを二体召喚し、カードをセットしてやっと三枚だ。


 このままじゃマズイ。


「俺のターン。ドロー!」


 このカードは……!


「スタンドフェイズで俺のモンスター全てを活動(スタンド)状態に。ムーブフェイズをスキップ」


 俺の後衛のモンスターは四体だ。なのに何故ムーブフェイズでモンスターを動かさなかったのかというと。


「そして、コールフェイズ!俺はもう一体のマグマザウルスを召喚(コール)! 更に、俺は後衛にいる全てのモンスターを休息(レスト)状態にし、ランク5『龍騎士ハルペー』を追加召喚(エクストラコール)!」


 俺のフィールドにマグマザウルスと、龍を模した赤い重鎧に身を包み、手には長めのレイピアを携えた騎士が現れる。


 そう、さっきのドローでこのカードを引いたのだ。


「俺は龍騎士ハルペーの効果(エフェクト)発動! 速攻。ハルペーを前衛へ!」


 ハルペーのBPは同ランクのモンスターに比べると少し高い6000だ。

 つまり、これでガーゴイルの魔像を倒せる。


「アタックフェイズ!ハルペーでガーゴイルの魔像を攻撃!」


 ハルペーのレイピアがガーゴイルの魔像に突き刺さるかに見えた。


 しかし、突如ハルペーが狙いを変え、グリフィーにレイピアが当たる。


「何ぃ!」


 とんでもない事態に俺は、驚きを隠せなかった。


「甘い! 俺は古代魔法(エンシェントマジック)『身代わり』を発動していた。このカードの効果で、貴様のモンスターの攻撃対象をガーゴイルの魔像から俺へ移し変える!」


 などと、グリフィーが、痛みを堪えながらどや顔をしている。


 だったら発動を宣言しろよ!


「だが、ハルペーはツインブレイクを持っている。よってお前のライフを二つ削るぜ!」


 そう、このカードは速攻とツインブレイクを持っているという、かなりお得なモンスターなのだ。その分ランクが高めだが。


 ともあれ、奴のライフは七つだ。


「俺はこのままターンエンドだ」


 手札は四枚、いずれもモンスターカードだ。できれば、このカードを大量に展開して攻撃をしたいんだがな。


「俺のターン。ドロー!

 スタンドフェイズをスキップ。ムーブフェイズ。俺は三体のガーゴイルの魔像を後衛に下げる!」


 どうしたことだろうか。いきなり奴が、全てのモンスターを後衛に下げた。これでは、デーモンズサンクチュアリの効果が受けられないのだが、何かしらの意図があるのだろう。


「行くぞ小僧! 俺は、後衛に存在する五体のモンスター全てを休息(レスト)状態にする!」


 ガーゴイルの魔像のコスト軽減効果で追加召喚(エクストラコール)するモンスターのランクは召喚時のみ、三つ下がっている。

 つまり、奴は、ランク8のモンスターを出そうとしているのだ。


「現れよランク8!

 悪魔操りし者。冥府より出でて、破滅の曲を響かせろ! 『死屍者(しきしゃ)カプリシオ』!」


 グリフィーの痛々しい口上の後。どこからともなくクラシックが流れだし、虚空から黒い燕尾服を着こなした壮年の男が現れた。


「これがランク8……」


 今まで見たことのない高いランクのモンスターを目の当たりにし、思わず驚きの言葉が漏れてしまう。


「どうだ! これが俺の切り札だ!貴様では及ぶまい!」


 グリフィーが両手を広げ、恍惚の表情を浮かべる。


 実際問題、コイツがどんな効果を持っているかで、奴の切り札が雑魚か、最悪のモンスターになるかが変わってくる。


「俺はカードを一枚セットしてターンエンドだ。精々、最後のターンを楽しむんだな小僧!」


 などとグリフィーが死亡フラグを建てながら煽ってくる。


 奴の手札は四枚と、まだまだ余裕があり、手札にどんな手を持っているかわからない。


 恐らく、奴は次の自分のターンから仕掛けてくるはずだ。


 しかし、ムーブフェイズで前衛へ出せるモンスターの上限は三体までだ。


 つまり、次のターン、三体のモンスターを前衛に出して置けば、俺の負けはないはずだ。


「俺のターン。ドロー! スタンドフェイズで龍騎士ハルペーを活動(スタンド)状態に。ムーブフェイズでフレイムサーペントと、二体の月下狼を前衛へ!」


 俺の命令を受け、二体の月下狼と、フレイムサーペントが前へ出る。


 こいつらには、次のターンで犠牲になってもらう。


 可哀想だけど、仕方ない。


「コールフェイズ。俺はランク3『ワイルドベアー』を召喚(コール)! 更に、俺の後衛に存在する二体のモンスターを休息(レスト)状態にし、ランク3『リザードランサー』を追加召喚(エクストラコール)!」


 俺のフィールドに現れたのは、額にバッテン型の傷を持つ、グリズリーと二足歩行のトカゲだ。


 グリズリーの方は確かに見た目はワイルドだ。……コイツが俺に、子熊のように甘えていなければな!


 しかも、かなりの巨体なので、これ以上激しく甘えられると、マジでキツイ。


 仕方がないので、おすわり! って言ったらその場にちょこんと座ってくれた。


 トカゲの方は礼儀正しく、俺に敬礼をしてくれた。


 コイツら……初めて見る奴を、ここまで慕ってくれるか普通?


 などど考えていては、いつまで経ってもバトルが進まない。


 ここは突っ込ませてもらおう!


「アタックフェイズ!俺は、龍騎士ハルペーでお前を攻撃!」


 このアタックで、奴のライフは五つになる――


「かかったな!古代魔法(エンシェントマジック)発動!」


 ――瞬間。俺の視界は、光で埋めつくされた。




















新出TCG用語

活動状態スタンド休息状態レストの逆

アド損:アドバンテージの損失。主にカードの取引において不利となる場合


第7話終了時点での両者のフィールド

ライフ:8

手札:3枚

フィールド:セットカード1枚

(後衛)

ランク3 リザードランサー

ワイルドベア

マッハイーグル

マグマザウルス

(前衛)

ランク5 龍騎士ハルペー

ランク1 フレイムサーペント

ランク2 月下狼×2

デッキ:22枚


グリフィー

ライフ:7

手札:3枚

フィールド:セットカード1枚

デーモンズサンクチュアリ(世界魔法)

(前衛)

なし

(後衛)

ランク3 ガーゴイルの魔像×3

ランク4 冥府の番犬

ランク2 闇夜の亡霊

ランク8 死屍者カプリシオ

デッキ:27枚


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