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外見も中身も遠い存在

完璧。ではなかったのか、それとも女装が彼の魅力をたたせているのか。

少し猫っ毛の髪にキリッとした目、肌も綺麗で、やはり、分類で言えば‘かっこいい’だろう。

‘ただのイケメンはつまらない’と言う人がいるのなら、問いたい。なら、女装するイケメンならつまらなくないのかと。


美影は小さい頃から、人一倍周りの目を気にするタイプであったため、口では彼のすることを認めているとは言っても、心では距離を置き、そして、奥底では‘羨ましかった’

誰の目も気にしない。自分は自分だという気持ちを維持し続ける彼が外見のルックスだけではなく、心まで遠い存在に見えた。



「でも、ムカつく」


「えっ、急にどうしたの?」


「腹が立つ!マジ、腹が立つ!」


「いや、待て!本当に何が」


「男の姿でイケメンならまだしも…女装して普通の女よりも可愛くなるって、この詐欺師‼︎」


そう言うと美影は抱きしめていたクッションを帝の顔に押し付けた。

彼は、彼女の最初に付いた‘でも’の継続語がついたのに疑問を持った。



「何言ってるんだよ!女の美影の方が良いに決まっているだろ‼︎けど、美影は素材が良いのにメイクや手入が雑なんだよ、もっとやればー」


「黙れー‼︎」


最終アタック、頭突きを食らわした。が、自分も力尽き2人一緒に倒れた。


「…痛い」



「俺の方がダメージ大きいんだけど。…明日、メイクしてもいい?」


頭突きをされたところを摩りながら、自分のお腹の上で顔を埋めている美影の頭を撫でながら問う。


「自分が惨めに思えてくる」


「なら、しない?」


「…やって」


多分、彼の方が自分よりも、化粧歴もファッション歴も長い。年齢事態、5歳離れてはいるが、彼には学生からの女装歴がある。美影は化粧という化粧をするようになったのは高校を卒業し就活を始めた頃からだ。友達と遊んでも、ただつけまつ毛を付けて終わる程度。一方、帝は足の指の先から天辺まで徹底的にやっていた。

化粧だけではなく、肌の手入れをやるためエステにまで行っていた。だが、教師になるとそれも行かなくなり、男でいる時間の方が長くなった。今では女装をするのはあまりない。

だがー


「もしかして、帝の方が女子歴長いのかな」



なんて呟けば、また吹き出し笑をしたので、デコピンを食らわした。


彼は自分が女装をする事を隠したりはしなかった。

初めて彼の家に遊びに言った時、女物の服が洗濯されてあるのを見た時、彼は平然とそれは自分のものであると言った。

馬鹿が付くぐらい正直で、真面目なもの程、間に受けやすいと言うがその通りである。彼女の脳では【疑い】の前に【本当である】と思っていた。愕然と受け止めていると、冷静になってきた頭は5秒後に、ようやく疑いをかけた。


だが、疑いの言葉をかける前に彼は懐かしがって携帯の写真を見せると、そこにはスラリと背の高いロングのワンピースをきた女性が写っていた。整った顔に伴うスタイルの良さ、綺麗とも言えれば可愛いとも呼べる姿。よく見なければ、誰も男だと気づかないくらであった。

実際、美影が彼の女装姿に気づくのに10秒近くかかった。


「どうして、隠そうとかしないの?」


「隠し続ける自身がなかったのと、美影を試す為」



最初の答えは置いといて、2番目の答えは意外であった。


「もしバレて別れるとなったら、美影は俺の外見を見ていただけの他の子たちと一緒。バレるまでの間に、美影との思い出を作る前に、とっととバラしてどうなるかを知りたかった」


「下手に楽しい思い出を作る前に、早く言ってしまって、別れるなら分かれてしまいたかった…ってことか」


「でも、美影は受け入れてくれた!」




「…いら、タイミングを失っただけかも」


なんて、冗談ぽく呟けば、漫画の登場人物が落ち込んだ時に付く効果音が聞こえてきそうなくらいの落ち込みぶりをしたので、今度は美影が吹いてしまった。


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