表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

思い出話の後悔

「あれ…そう、なんて言ったんだっけ?」


「たしか、その頃やっていた映画の話をしたんだよ。それで今度見に行こうって」


マンション12階、2005号室、3LDK。広いリビングには42型のテレビに、食事用のダイニングテーブルと、普通の雑魚座りができる高さのテーブル。そのテーブルに2人の男女の会話が響いていた。


テーブルの角、いわゆるパーティー席に座る男性、東西南北 (よもひろ みかど)。その斜め向かいに座る女性、春夏秋冬(ひととせ) 美影(みかげ)

2人はほんの2ヶ月前の話をしていた。


「美影が友達2人に両脇を掴まれながら来た時は、何事かと思ったよ」


「ああ。全力で逃げようと思ったよ…だって、仕事終わって帰ろうとしたら出入り口の所で、急に両脇をホールドされたんだよ!本当に怖かったよ」


今ではそれが笑い話しになっていた。


友人に拉致された後、何処かのレストランに連れて行かれた。急に連れて来られた彼女にとって内装など覚えていない。ただ、唯一覚えていることといえば、アンティークの柱時計が自分の趣味にマッチしたことくらいだった。


席は向かい合った感じに椅子があり片方の列には男5名。席に着いてからも、自分の置かれている状況を理解できていない美影は、ポーカーフェースの言葉なんて皆無かのように、不安の表情を浮かべていれば、帝にとってはそれが怯えた子犬に見えていたよだ。

あれは偶々だったのか、彼の目の前の席についたのが美影であった。



「自己紹介のとき、お互い珍しい名前と苗字だったからか、自然と話し合えたよな」


帝は黒縁眼鏡を磨きながら、遠い目をしながら語る。

東西南北と書き、よもひろ。春夏秋冬と書き、ひととせ。あまり聞かない、それも2人も居て、合コンで会うなんて事は、人生において‘奇跡’と言える言葉が似合うくらいだ。



「…ねえ、その眼鏡って度入ってる?」


「話し急に変えたな。まあ、入ってるよ。授業中や朝会がある時だな」


彼の職業は小学校の教師。若く、ルックスもよく、人当たりも良いからか、生徒からだけではなく他の教師からも評判がいい。


ーまるで、絵に描いたような完璧さだー


磨き終えた眼鏡を帝は彼女にかけてみる。

元から目の悪い彼女は普段からコンタクトレンズをしている為、度の入った眼鏡をかけられても逆に見えなくなるだけだった。


「かっこいい人って、眼鏡きけると倍増するよね」


「ハハハ!なんだよそれ」


自分はルックスも、人当たりも良い訳ではない、寧ろ彼の逆に近い。そんな彼が何故自分と?

それが毎日の疑問であった。

レベルの低い自分の前に現れた彼は、叶うはずもない理想の男性そのものであった。


1、180cmのイケメン

2、公務員(教師)


たった2つ。だが、居るわけがない。居ても自分には不釣り合いだ。…だが、それが笑える程容易に叶ったのだった。



「ああ、あと女装する時にも使うな」



ー…ああ。聞くんじゃなかったー


聞いて後悔した姿を出さまいと、俯きながら眼鏡を外した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ