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チョコレート・ハウス3  作者: 猫又


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18/25

復讐18

「ギャッ!」

 と小男が叫んだ。

 携帯用のドライバーは短く、持ち手の部分まで入り込んで行きそうになった。

 小男の頭が後ろへ下がったので、ずぽっとドライバーが抜けた。

 小男は目の部分を押さえて、何かを叫んだ。

「駄目よ。もうしゃべっちゃ駄目」

 と私は言った。

「あなたはもう謝罪の言葉しか言っちゃだめなの」

 と言うとアキラがぷっと吹き出した。

「ア、アキラ君……」

 小男は床に膝をついて、アキラに助け求めるように手を出した。

「ぎゃっ」

 その手をアキラに踏まれて、悲鳴を上げた。

「何人、殺したの?」

 私はもう一度、シーツをめくった。

 少女の顔は傷一つない綺麗な顔で、下は裸だった。

 おっぱいもふくらんでいない、毛も生えていないような少女だ。

 裸で青白い肌だった。死後、かなりの時間がたっているとも思われる。

 ナイフのような物で酷く深く切っている。

 どれも血で汚れて変色していて、白濁したぬめっとした何かがあちらこちらの傷に被っている。殺しながら犯し、死後もいたずらしたのだろう。

「え、え」

 と小男が言った。片目を押さえて、怯えたような表情だ。

「ア、アキラ君、理解あるんじゃなかったの……趣味があうねって……友達だろ?」

「気持ちは分かるよ。でも俺、今、お姉ちゃんちに居候しててさ、逆らったら追い出されちゃう」

「ちょ、何それ」

 小男はアキラに手を踏まれて身動きが出来ない。

 私は力をこめて、ドライバーを小男の頭のてっぺんに突き刺した。

「しゃべんなって言ってるでしょ」

「ギャーーーーーー!!!」

「あんたはもう世界中のどこにも息をする場所がないの」

 そう言って、頭に突き刺さっているドライバーを何回もざくざくざくと突いてやった。

 頭蓋骨を貫通し、ドライバーの先はやわらかい脳まで達したらしい。

「ちょ…ちょ…やへて…やら…」

 ろれつが怪しくなってきた。

「余計な世話かもしんないけど、脳へのダメージはすぐに壊れちゃうから面白くない」

「こんな奴、どうしたってお楽しみになんかならないわ。気持ち悪い! 何が美少女専門のプロよ。馬鹿なの? 自分みたいな不細工なクズが美少女って言葉を使ったりしてごめんなさいって謝りなさいよ! 生まれてきてすみませんって這いつくばって美少女達に詫びなさいよ! むかつくわ!」

「そこまで言う?」

 私はドライバーから手を離した。

 意識が混濁してきている小男はゆらっと揺れて床に倒れこんだ。

「こういうクズとどこで知り合うのよ? 気持ち悪い」

「まあ、いろんなことでね。思ったよりすぐ終わっちゃったな。せっかくの」

「何がせっかくよ。こいつも笹本さんに売るつもり?」

 小男の身体はぴくぴくと痙攣している。

「皮を剥いだらただの肉塊さ。こいつけっこうグルメだったから、美味いんじゃないの」

 アキラの言葉に私は頭を振った。

 信じられないわ。

「手伝わないわよ。こんな奴、触るのも気持ち悪いから」

「はいはい。ご苦労さん」


 アキラは何をさせてもそつがない。

 用意していた青いシートに器用に小男をくるみ、

「ディナーを食い損なったな。腹が減った」

 と言ってからシートを担いで地下室を出て行った。

 残されたのはストレッチャーの上の少女と私。

「ごめんなさいね」

 と私は言った。

 そして少女の上にかかっている白いシーツにライターで火をつけた。

「少し熱いかもしれないけど、この火であなたを送るわ」

 白いシーツはすぐに火がついてめらめらと燃え始めた。

 すぐに傷だらけの少女の遺体をも焼き尽くしてくれるだろう。

 少女がクズ男に蹂躙された事はこの先、誰も知らない。

 クズ男も誰かの餌になるのだから。

ああ、もっとあのクズな男に自分をクズだと認識させればよかった。

 あの男に恐怖を植え付ければよかった。

 壊しても少しも楽しくない夜だった。

 ディナーの予定も冷めて固くなったハンバーガーだし。

オーナーは飲みに出かけて留守だし。

 頭のイカレタ弟だけが儲かった夜だった。


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