炎剣士ヘイムダルの人生哲学【1】
俺が魔剣を一振りするとエルフ達はあっけないほど簡単に燃え尽きていく。
ここは、帝都ハルトラインから遠く離れたエルフの森。
帝国に逆らう愚かなエルフに鉄槌を下すべく、俺は皇帝の命令により、この地に派遣された。
【黒の騎士団 第三位階 炎剣士】ヘイムダル・ストラゴス。
帝国における絶対的な強者の一人である。俺とまともに戦えるのは、おそらく同じ【黒の騎士団】の人間しかいないだろう。これは客観的な事実に基づいた推測であり、おそらく、間違いはないのだろう。一人一人が万の兵士に匹敵する実力者ぞろい。俺らのことを魔人と呼ぶ人間もいるが、決してそれは、誇張ではない。最強の剣を持った最強の剣士。個にして無敵の俺たち黒の騎士団に正直敵はいない。
だからそう、今現在、エルフ達の精霊魔術のまっただ中にいたとしても、正直戦っているという実感はまるでない。
風の精霊シルフを使った、人を切り裂く、かまいたち。
水の精霊ウンディーネを使った、鉄さえ穿つ水弾。
木の精霊ドライアドを使った、逃げ場を封じる無数の蔓の鞭。
だが、それも俺のたった一振りですべてが無とかす。
剣を振るたびに、目の前にある森もエルフも地形すらも神聖なる破滅の炎によって溶けて消えていく。
この絶対的な力ですら、この【炎滅剣レーヴァテイン】のほんの僅かな力を使っているに過ぎない。
「この、化け物が 。」
最後までセリフを言わせるまでもなく、俺の力ない一振りでまた一人、炎に溶けて消えていく。
北のエルフどもは骨があると聞いていたが、どうやらそれは誇張表現だったようだ。
だから、狩りのつもりで来たのだが、これではまるでただの虐殺だ。
ああ、つまらない。どこかに俺が本気を出せる敵はいないものだろうか。
「ふん、狼藉もそこまでだ。いでよっ!!汝、盟約にしたがいあらわれたまえ、風の精霊王イスカルよっ!!」
その言葉とともに、巨大な竜巻が俺を目がけて襲い掛かってくる。
「おうおうおうおう、珍しいものをみせてくれるねぇ。おい、珍しいものをみせてくれた礼に、最後にもう一度きいてやる。降参しろよ。正直、殺すのに飽きてきたところなんだよ。なあ、どうだ?」
「う、うるさい、我らエルフの敵、命乞いなら、受けぬ。竜巻に巻き込まれて死ねっ。」
「ああ、本当につまらないなっ。」
すーっと体温が下がっていく。俺は楽しければ楽しいほど体温が、上昇するという特徴がある。反対に身体が内側から寒くなればなるほど、何事に対しても興味が持てなくなる。そう俺は飽きたのだ、この虐殺に。これ以上は楽しめそうにない。
「【炎滅剣】よ、もういい、全てを焼き尽くせっ」
俺は、右手に込める力を強くする。
「はぁぁああああああああ!!」
俺は剣をふるい、力を解き放つ。
見えない力の力場が周囲をなぎ倒す。
次の瞬間、
赤、赤、赤。鮮やかな赤という赤が辺り一面を覆い尽くす。目の前の竜巻ですら、必殺の炎の前には一瞬で、消え去ってしまう。
北のエルフが住んでいた森は跡形もなく、消滅した。
否、消し去ったはずであった。
「あ、いたたたっ。ってここ何処だよっ!!って日本じゃないじゃねーかよ!!」