勇者ハヤトの生涯履歴6
まあ、途中をすっとばすが、俺と佐山がとうとう日本に帰る日が来た。
日本に帰るためには、奥ノ院と呼ばれる俺らが召喚された場所に送還用の魔方陣に膨大な魔力をためないといけない。
それがようやく、昨日終わったらしい。
ここで、救国の英雄のまま一生を過ごすという選択肢もいいかとは思ったが、俺がこっちの世界にいるという選択肢を選んだとしても、どうせ、戦争の道具にされるに決まっている。
栄華との引き換えに兵器としての人生にはあまり魅力に感じない。
まぁ、全ては俺が最強なのが悪いんだけどな。
俺と一緒に日本に帰る、佐山は大きな体に似合わず感極まったのか今にも泣きそうだ。
おい、なくなよ。俺まで少し感傷的になってくるじゃないか。
「・・・おい、幸成、先いくぞ」
俺は、別れもそこそこに魔方陣の中央に位置するオーブに手をあてる。
俺はかつての仲間たちに一瞬視線を向ける。
「じゃあな、湿っぽいのはいやだから、さよならは言わないぜ」
「はは、何カッコつけてんだか、また・・・。また、いつかこっちに来なさいよ。エルフの一生は長いけど、あんたのことは、その・・・。忘れないであげる。」
「ふははっ、ああ、ありがとうな、それじゃあな、あばよっ!」
手に当てていたオーブに念じる。さぁ、麗しの地球へ、俺は帰るぞっ!!