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僅かな感情

移動魔法なんて、一体何年振りだろうと思いながら、自分の感覚に感謝する。

目を開けると、そこは王宮のど真ん中、王と王妃の目の前だった。


(・・・やっちゃった・・・)


一番避けたかったことをやってしまった。

案の定、周りに控える兵士は騒ぎ出すし、セイカには言葉が通じない。


「何者だ!?・・・ソルヤ・ヴィリィクス(ヴィリィクス様)!何故此処に!?」

「静かになさい!・・・遅かったわね、ヴィル」


王妃―――もとい、ジャスネミティア・フィチカリネが黒い笑みを浮かべながら言う。


(うわぁ、こりゃ怒ってるなぁ)


とりあえず、挨拶をする。


「父上、母上。只今戻りました。お騒がせして申し訳ありません」


「ヴィリィクス、あんまり、人を騒がせるな。・・・そちらは誰だ?」


王―――もといディスクロジア・フィチカリネの言葉をセイカに訳してやりながら答えようとすると、母上が遮った。


「ヴィル、少し、二人きりで話したいのだけれど。いいかしら」


母上の言葉に更にざわめきが広がる。


(ああ、もう面倒だなぁ。)


「騒がなくていい!・・・・・・母上、とりあえず彼女をフレッドに預けていいですか」


母上は微かに頷いた。





「・・・で?彼女は誰なの、ヴィル?保護したいとかそういう話がしたいんでしょう?」


二人きりの場所としては此処は広すぎる。

母上は妖艶な笑みを浮かべ、僕に問う。


「見たでしょう?あの髪と瞳。漆黒だった。魔力の最上級と言われる二つを兼ね備えている」

「でも、彼女には“生”が感じられない。矛盾してないかしら。それとも何?彼女に一目惚れしたとか?」


ぐっと言葉に詰まる。


「ふうん。そーなんだぁ」

「ちょ、母上!からかわないで下さい!それにちゃんとした理由があります!」


面白がる母上に慌てる。ああ、もう逃げ道なくなったな。


「その理由とやらを聴こうじゃないの」

「彼女――名をセイカ・ミムラと言うのですが、セイカの近くに行くと、魔力が弱い僕でも高等魔法が使えました。それともう一つ。こちらは重要です」

「なあに?」


母上が楽しそうに目を細める。


「セイカの右手に握られていたもの、何だと思います?」


母上は少し考えて、首を横に振る。


「強い力を感じたけれど。何だったかはわからないわ」

「そうですか。実は・・・・・・」


そっと耳打ちすると、母上の目は予想通り真ん丸になった。




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