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「殿下はわたくしに死ねと言うのですね?」

作者: 勇樹のぞみ
掲載日:2026/08/19

「殿下は わたくしに死ね と言うのですね?」


「何で王子に『わたくしに死ね』なんて名前つけるんだよ! こうやって婚約者に名を確かめられただけで、酷いことする悪役王子になっちゃうじゃん!!」

「出落ちってやつですね。もしくは前世のゲームでキャラクターに変な名前付けて遊んだやつ」


 この王国の王族は神から名前を賜る。

 自分が王家の血を引くとはいえ、そのものではない公爵令嬢であることを神々に感謝する瞬間ですわね。

 しかし……


「でも、まさか名前を言ってはいけないあの人扱いされていた第一王子のお名前が『わたくしに死ね』だったなんて!」

「神々、王族の名前で遊び過ぎなんだよ、祖父は『I am your father』だったし!」

「ああ、それを告げられた王太后さまに「Nooooooooo!」って叫ばれたというやつ」


 聞いたとき、死ぬほど笑わせていただきました。

 王家は笑いの絶えない職場です(強制)

『絶対笑ってはいけない王家24時』とかあったら、笑い死ぬ危険がありそうですね。


「でもまぁ『名前を言ってはいけないあの人』扱いされていた第一王子の名前予想の第一位『おじぎをするのだ』よりはマシではありませんか」

「それフォローになってるの!?」


 王子、ツッコミがキレッキレですわね。


「でもこれ、王家の願いで得られた神々の祝福ですのよ」

「どこが!?」

「前世日本人の記憶持ちが王国の成立と発展に著しく有用だったため、今後も発見できるようにしたとか」


 何とも微妙な顔をする王子。


「それってあれか、私たち王族の名を聞いてツッコむやつが居たら前世日本人?」

「そうですね」

「んん? しかし私の名は前世日本人でなくともツッコむだろう?」


 そこに気付かれましたか。

 でも、


「よく考えて下さい。日本人の前世の記憶が無ければギャグ展開ではなく王子、あなたの廃嫡コース待った無しの展開ですわよ。冒頭の会話」

「それは嫌だ!」


 それに、


「王女殿下のお名前が『魔空空間に引きずり込め』だった時代の王様は、娘の名前を呼んだだけで悪の首領扱いされたとか」

「……自分の娘の名が何て付けられるか、今から心配になってきたんだが!?」


 こちらに比べればまだマシ…… いや、変わらないか。


「なお、神々から与えられた名は、神聖なものであるので愛称や略称を使ってはいけないという決まりがありますね」

「取り繕うことすらできない……っ!」


 だから殿下も第一王子殿下としか呼ばれず、長らく『名前を言ってはいけないあの人』扱いだったわけですが。

 しかし、そこで王子はがばっと顔を上げ立ち上がると、


「良かろう、神々のネタが尽きるのが先か、我々の頭皮が心労で禿げ上がるのが先か、勝負と行こうではないか!」


 と叫ぶのですが、


「ああ、だから王族男性って(ピー)」


 納得するしかありません。

 なお、


「またハゲの話してる……」

「父上!?」


 国王陛下、髪の話になるといつも忽然と現れますわね。


「若いころの自分もそう考えたのだがな、いつだったか神が夢枕に立って「ワシのネタは百八式まであるぞ」「ワシのネタは裏と合わせて216式まであるぞ」と言われてな」


 それでついに王は光り輝く存在(物理)になられたと。

 あきらめの境地に達したとも言いますが。




 そして結婚後、娘が生まれ、


「まさか『魔空空間に引きずり込め』みたいにはならないよな」

「当時の王は言っては何ですが、悪人顔だったそうで。美形の殿下なら『神よ わたしは美しい…』とか来そうですよね」

「私がただのナルシストになっちゃうじゃん!」




 なお、ヒロインが前世日本人とばれたのは、四代前の国王が、自分の名を恥ずかしがって王妃に告げられず、初夜のその時になってやけくそ気味に、


『ファイナルフュージョン、承認!!』


 と名乗ったら、王妃が、


「了解!! ファイナルフュージョン!! プログラム…ドラーイブ!!」


 と叫んで、過呼吸になるまで笑い転げたおかげで初夜が果たされなかった、という逸話を聞いて、こちらも過呼吸になるまで笑い転げたせい。


「ファイナルフュージョン承認したのに、ファイナルフュージョンできなかったって、面白過ぎでしょ!」


 という話。

 自分の初夜の時、思い出さないようにするのに必死で全然緊張しなかった、結果、それが良かったらしく、


「やはり神々の加護か……」


 と感心するヒロインと、


「そうかなぁ……」


 と複雑な表情をする王子の姿があったという。



 おしまい

 なろうの婚約破棄ものでは「未来の王妃として教育を受けた令嬢が婚約破棄されたら王家の情報を漏らさないよう毒杯を賜る(死ぬしかなくなる)よね」という、タイトルのようなお話が書かれているわけですが。

 一方で、昔からあるゲームのキャラに変な名前を付ける遊びでは、ポケモンで「わしにしね」という主人公名にすると「ふむ……わしにしね というんだな!」と、まるで主人公がオーキド博士に対して〇ねといったかのような台詞になってしまう、そんな画像がネットに流れていて。

 この二つが、ふとした拍子に悪魔合体してできあがったのがこのお話ですが、いかがでしたでしょうか?

 ご意見、ご感想等がありましたらお聞かせください。

 今後の作品作りの参考にさせていただきますので。


 それではまた。


(この作品はWeb小説投稿サイト『ハーメルン』にも掲載しております)

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― 新着の感想 ―
加護とはいえ名前…名前って大事ですよね。 何故か京大で飼われている孔雀が脳内を通り過ぎました。 オスは「サカタニ」とあっさりしたお名前なのに メスは「天空を駆ける嵐を呼ぶ虹色の不死鳥神(スカイレイン…
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