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聖女たるもの見過ごす訳には参りません  作者: 櫻木サヱ
聖女が真の意味で自分の拳を受け入れ、国と民に影響を与える

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聖女のその後

戦いから数週間が経った。

 街には日常が戻り、商人は笑顔で品物を売り、子どもたちは通りで駆け回る。

 しかし、民の目には、あの日の聖女の拳の記憶がしっかりと刻まれていた。


 私は城の庭で、民と兵と共に過ごしていた。

 守るための拳は、もう振るう必要はない。

 でも握った手の感覚は、私に安心を与え、同時に民にも伝わる。


「聖女様!」

 市場の子どもたちが駆け寄る。

 元気な声で叫びながら、私の手袋に触れ、拳の真似をする。


「見て! 僕も守る人だ!」

 無邪気な笑顔に、思わず肩をすくめて笑う。

 戦いの記憶はまだ生々しいけれど、未来は確かに明るい。


 街のあちこちでは、小さな騒動も起きる。

 喧嘩や口論、商人同士の些細な衝突。

 その度に、私は拳を握る――でも、殴る必要はない。

 言葉と存在だけで、秩序を守ることができるようになった。


 王城では、日々の政務の合間に、民の相談を聞くことも増えた。

 些細なトラブルから大きな問題まで、拳を振るうよりも先に、話し合いで解決できることが多い。

 でも、必要な時には、私の拳はいつでも盾となる。


 ある日のこと。

 市場で、元気な少年が走ってきて、冗談めかして叫ぶ。


「聖女様、今日も誰か叩きますか?」


 私は思わず笑う。

 子どもたちも大笑い。

 暴力ではなく、笑いで制す力も、また私の拳の一部だと知る瞬間だった。


 夜。

 城の塔の上から、街を見下ろす。

 明かりが揺れ、生活が戻る光景。

 戦いの痕跡はまだ残るが、それ以上に人々の笑顔が勝っていた。


「守るために選んだ拳は、未来を照らす光」

 そっと呟く。


 深呼吸して拳を開く。

 空に星が瞬き、風が頬を撫でる。

 戦いの日々は終わった。

 でも、守る意思は永遠に続く。

 民の安心を守る盾として、私の拳は今日も存在する。


 静かに微笑む。

 街も民も、そして未来も、私の拳と共にある。

 誰一人見過ごさない――

 それが、聖女として選んだ道。


 拳は暴力の象徴ではなく、希望の象徴となった。

 そして、私はそれを誇りに思う。


 星空の下、夜風が吹く。

 聖女の拳は、これからも、誰かを守り続ける。

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