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「◎すいたい」衰退しちゃった高校野球。堕ちた名門野球部を甲子園まで  作者: 末次 緋夏
甲子園編

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42/80

番外編 ……煌桜学園の日常?




ーーーピピピッ。

 時計のアラームが鳴り、オレは目を覚ます。


 午前5時。外はすでに明るい。

 今日は試合の休養日だ。オレは軽く自主トレを済ませ、7時半に朝食を食べた。


 朝食を食べながら、ユーリとヒロと他愛もない話をする。

 

 今日のメニューは、ごはん・焼き鮭・小松菜ともやしのナムル・味噌汁・牛乳。

 ボリューム満点、幸せ満点。

 食べ終えたあとは軽く調整練習をしていたその時ーー。




 ミーティングルームの扉を開けた瞬間、

 オレの脳はスライダーを空振りしたバッターみたいにフリーズした。


 

「…………は?」



 そこにいたのは、オレたちの頼れる主将・ヒカル先輩。

 ーーの、はずだった。


 漆黒と純白のコントラスト。

 胸元と袖には繊細なレース。

 ふわりと広がるスカートの裾、揺れるモカブラウンのロングウィッグ。


 ヒカル先輩は、完璧なクラシカルメイド服に完全武装していた。


 部員全員、呼吸を停止。





「……あ、あの、ヒカル先輩? それって演劇部の衣装……ですか?」


 オレの声が裏返る。ユーリもヒロも、ぽかーん。


 当の本人は頬を赤らめ、目を伏せてーー



「……見ないで下さい」


 心臓がスライディングキャッチ。

 破壊力、フルスイング級。



 「やあ、タイチ君。おはよう」



「ショート先輩、一体なんですかこれは!?」


オレは思わず声を張り上げた。



「ヒカルがこの前、俺たちに隠し事してたから罰ゲーム♡ーーって言いたいとこだけど、オレの趣味♡」



その声の源ーーショート先輩が腕を組み、にやりと笑う。


「開き直ったぁぁぁ!?」


 

 部室の温度が一気に5度上昇。

 誰も突っ込めない沈黙の中、ショート先輩がさらに一言。



「ヒカルちゃん、紅茶いれて♡」



「……か、かしこまりました……ご主人様」


 ポットを手に取る仕草も完璧。

 スカートがふわりと広がり、紅茶の香りとともに場が静まり返る。


 普段の無骨な主将像が、優雅なメイド姿に上書きされていく。





「おい……オレ、ちょっと外の空気吸ってくるわ」


 誰より早く異変を察したリュウジ先輩が、すっと立ち上がった。

 扉の前で一瞬だけ振り返り、静かに言い残す。



「……マグロ漁船に乗ってくる」



「えぇぇぇ!? 何その逃げ方ーー!?」



 残されたのは足跡と、遠ざかる波の音(※幻聴)。

 逃げ足、エース級。




 背筋を這う、得体の知れない破壊的色気。



(今日、休養日……だよな?)


 目を逸らそうとしても、逆に吸い寄せられる。

 気づけばユーリとヒロが呟いていた。



「……似合いすぎて怖いよぅ」


「……俺、ちょっと目覚めそう」



 やめろ、変な方向に目覚めるな。






「よし、次はユーリ君だ♡」



「ええええええ!? なんでボクまでぇぇぇ!?」



 抵抗むなしく、ショート先輩の手によって数分後ーー


 ピンクのフリルに身を包んだユーリが誕生していた。



「ひゃあああ!? 動くたびスカートがヒラヒラするよぅ〜!」


 「かわいいじゃん、似合ってる♡」



  「やめてぇぇぇぇぇ!」


 耳まで真っ赤。

 男子たちの理性、ストライクゾーンを完全に突破。


オレは完全に混乱していた。なんだこれは。

  


 や め ろ、ユーリが破壊される。




ーーそんな中、ヒロの姿が見当たらない。

 部屋の隅から“もぐもぐもぐ……”という音がする。



「ヒロ、お前何食ってんだ!?」



「ん? 厨房にあったカレーとパンとケーキと……あとプリンと唐揚げ」


 振り返った瞬間ーー

 ヒロが巨大化していた。



「おい待て!! 成長の方向おかしいだろ!!」


「うまい……止まらねぇ……もっと……!」



 床が悲鳴を上げる。

 部室の柱がミシッと鳴る。

 誰か止めてぇぇぇ!!


「ヒロ、やめろ! 部室が沈むっ!」


「食欲は青春だァァァ!!」





 騒然とする中、ショート先輩が両手を広げた。



「我が名はショート=セイト!! 世界を支配する悪のラスボスだ!」



「いきなり設定が雑ぅぅ!?」


 黒マントに王冠、完全ラスボスモード。

 光のエフェクト(なぜか自然発生)まで完備。



「ヒカル! ユーリ! その姿で俺に仕えるのだ!!」



「ご、ご主人様ぁ!?」


「やだよぅぅぅぅ!!」


 そしてオレたちはーー謎の剣を手に、なぜか戦っていた。





「いけっ、ヒロ!! ビッグサイズパワースイング!!」


「うおおおおおおっしゃああああ!!!」


 巨大ヒロの一撃で、ショート先輩は光の彼方へ。



「ぐあああ!! だが、俺は四天王の中でも最弱……!」



 爆煙の中から現れたのは、レンとトウリ。


「真のラスボスは俺様だ!」


「そして副ボスは俺!!」


 校舎をビームで破壊。

 監督が司令官みたいな顔で現れる。


「タイチ、このロボで奴らを倒せ!」



「監督、どこから出したんすかその予算!?」





 戦いの最中、空から光が差した。

 ヒカル先輩は、うさぎマスコットに変身。


「タイチ君、君は魔法少女になって世界を救うんだ!」


「いやだぁぁぁぁぁ!?」


 気づけばオレもレンも、フリフリ衣装で空を飛んでいた。


「ファイナルアルティメットシンクロビーム!!」


 2人の光線が合わさり、隕石を粉砕。

 地球に平和が戻った。



---


 仲間たちは涙ながらに「ありがとう」と口々に言う。

 そこへーー

 海の向こうからマグロ漁船が帰還。


 デッキに立つ男の姿。

 太陽を背に受け、輝くその顔は……!


「今日の晩飯はこれだーーッ!!」


 リュウジ先輩だった。


 新鮮なマグロを豪快にさばき、宴が始まる。

 笑い声と夕焼け。

 平和って、いいな……いや、何か忘れてーー。





 ピピピッ、ピピピッ。

 目覚まし時計の音。


 オレは目をこすりながら起き上がった。


(……変な夢を見てたような?)


 思い出そうとしても、霧のように消えていく。

 まあいいか。今日も一日が始まる。


 机の上には、なぜかメイド服のリボンが


 ーーそっと置かれていた。



※ギャグです。

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