第12話 タイチ、ユーリの正体を知る!!③
---挑戦を受けたユーリ、余裕を見せるショート先輩。
放課後のグラウンドで始まる――“本気”と“悪戯”の真剣勝負
ショート先輩は髪をかき上げ、悪戯っぽく笑った。
「判断が早いのは悪くないけどね。……まあ、だーめ♡
一度“受けた”って言っちゃったからには、ちゃんと守ってもらうよ」
「うわあぁぁ……ボク、なんでいつもこうなんだぁぁ……」
泣きそうなユーリを見て、ショート先輩は楽しそうに笑う。
グラウンドに移動し、夕陽が赤く傾く中で勝負が始まった。
ユーリの守備は軽やかだった。
打球をすばやくさばき、正確な送球。ーータイム2.3秒。
「すごい!」思わず声が出る。
だがショート先輩は、イレギュラーした打球をまるで舞うように正面で処理し、
矢のような送球を放った。ーー2.2秒。
その一瞬に宿る技術と経験。
オレはただ、見惚れるしかなかった。
「惜しかったね、ユーリ君。これからよろしくね〜♡」
ショート先輩が爽やかに笑う。
ユーリは「うわあああ!」とその場に崩れ落ちた。
ピピッ。
乾いたシャッター音。
「……え、今の音、何ですか?」
見ると、グラウンドの隅で小型カメラが赤く点滅していた。
「ショート先輩……まさか!?」
「だって監督にも見せないとね♡
“才能のある一年生”ってやつを」
「やめてぇぇぇ! 消してぇぇぇぇ!!」
三輪は隣でプロテインバーを食べながら肩をぽん。
「……ドンマイ、ユーリ」
笑いと悲鳴が混じるグラウンドの夕暮れ。
オレは空を見上げながら、静かに思っていた。
(――この二人、最強の“二遊間”になるかもしれない)
笑いながらも確かに感じた“チームの風”。
それは、新たな守備の鼓動――
ショートとユーリ、ここから本当の「絆の二遊間」が始まる。