第12話 タイチ ユーリの正体を知る!!①
紅白戦の熱が冷めやらぬ中、煌桜学園にまた新たな風が吹く。
その中心に立つのはーー誰もが振り向く“あの先輩”。
タイチたち一年に、まさかの「スカウト宣言」!?
練習試合の予定が決まった翌日。
いつものようにホームルームを終えて個人練習の準備をしていたオレは、廊下のざわめきに首をひねった。
「……なんだ? やけに女子の声が多いな」
ガヤガヤと響く黄色い歓声。
窓の外をのぞくとーーいた。
煌桜学園二年、水城 聖斗。
野球部遊撃手。185センチの長身に、柔らかく流れる髪。
女子人気ナンバーワン。笑顔ひとつで空気が変わる。
そのショート先輩が、軽やかに人だかりを抜けて教室に入ってきた。
「やあ、タイチ君。今日はユーリ君に用があるんだ。いるかな?」
「え、ユーリ? 職員室に行きましたけど、伝言ならオレがーー」
そう言いかけた瞬間、笑顔がスッと消える。
「いや、これは直接本人に伝えたい。大事な話だから」
(……え、なんか告白みたいな雰囲気!?)
タイミングよく、職員室からユーリが戻ってきた。
相変わらず控えめな足取り。
その瞬間、ショート先輩が微笑み、教室の空気が止まった。
「ユーリ君、待っていたよ」
そしてーー
「突然なんだけどさ……俺とーー二遊間を組んでほしいんだ♡」
「えっ!?」「キャーーーッ!!」
教室が爆発した。
(……やっぱり、告白じゃないか!!)
教室騒然、青春ど真ん中。
モテる男はいつでも自然体ーーそして本気のスカウト。
次回、波乱必至の“校舎裏会議”が幕を開ける。