夜中の出来事
ベッドの上で目覚めるが知らない天井。
小さなオレンジ色の電気がついた暗い部屋の中、夜なのだろうか。
「きゃはははは」
カーテンが閉まっていて外の様子はわからないが、子供が走り回っているようだ。
起き上がろうと体を動かすが、腰や足が痛く起き上がれない。
遠くでオルゴールのような音楽が聞こえる。
私は怖くなって、声を上げた。
「誰か!だれかいない?」
「どうしました?」
扉が開いて女の人が顔を見せた。
「外で子供が走っているの。」
女の人は怪訝そうな顔をしてた。
「こんな遅い時間に心配ですね。見てきて帰るように伝えておきますね。ほかに何かありますか?」
この人は私をここに連れてきた人だろうか?
しかし今は、この人しか頼れない。
「足が痛くて起き上がれないんです。家に帰りたいんだけど」
女の人は心配そうな顔をして痛みの部分を聞いてきた。
「足のどのあたりが痛いですか?・・・腫れてはないみたいですね。湿布を張っておきましょう。」
手当てをしてくれるということは、危害を加えるつもりはないようだ。
「ありがとう。あの、私、家に帰りたいの」
「坂江さん。今は夜の12時で外も真っ暗です。今日はこちらで休んで明るくなったら相談しましょう?」
私は愕然とした。
「そんな時間だったの。私、時間がわからなくて・・・ごめんなさい」
おかしくなったのだろうか。
夜中の12時?ここはどこ?私はいつからここにいる?
不安が次々に浮かび上がり混乱して眠れる気がしない。 その気持ちが伝わったのだろう。
「坂江さん、大丈夫ですよ。不安で眠れないようなら、温かいお茶を少し飲みますか?」
そう言って温かいお茶をも用意し、体を起こしてくれる。
「熱いかもしれないので気を付けて飲んでくださいね。」
湯気の上がるお茶を少しづつ口に運ぶ。
少し落ち着いて眠たくなってきた。
「ありがとう、もういいわ。」
そう言うと、私を横にして布団をかける。
「じゃあ坂江さん、明日の朝、起こしに来ますのでゆっくりお休みください。」
そう言って出ていく女の人を後目に私はゆっくりと眠りについた。