最悪の再会
純粋だった頃の彼女を傷つけ、人を簡単に信用出来なくなった元凶が目の前にいる。
「なんでお前がここにいるんだ。どこから入った!」
アエラは敵意むき出しで今にも噛みつきそうな勢いで言った。
「おいおい、そうカッカッすんなって。昔愛し合った仲じゃないか」
彼女の勢いに気をされることなくエイダンは臆面もなくアエラを鎮める。
「そんな昔の事覚えてないね。とっととあたしの前から消えな」
そんな余裕のある態度も彼女を苛つかせた。アエラは顔を歪ませエイダンに吐き捨てた。
「俺の名前呼んだくせに忘れてるわけねえだろ。助けに来てやったのにその態度でいいのか?」
エイダンは大袈裟に肩を竦め軽口をたたく。
「お前がなんであたしを助けるんだよ。ここにいたくもないがお前と一緒に行くのは絶対嫌だね」
「はぁ、つれないね。」
対して悲しくもないだろうに態とらしく天を仰ぎため息をつく。
エイダンの大袈裟な態度が癪に障りどんどん苛立ちが溜まっていく。不機嫌な顔を隠しもせず腕を組み彼を睨む
そんな彼女を少しの間眺めエイダンはいきなり問いかけてきた。
「お前親父さんに会いたくないか?」
「……なんでお前から父さんの話が出てくるだよ」
8年以上前に出ていったきり一度も帰ってこない父の話を急に持ち出され、驚いてしばしば彼の顔を見つめ放心してしまう。やっとの事で口を開く。
「俺とお前の親父さんのアトラスは今同じ組織で秘密裏に活動してるんだ。それはある目的を果たすためなんだ」
アトラス、久しぶりに聞く父の名だ。エイダンと出会い交流を深めたが父の事を一度も話したことはなかったはずだ。教えたことないはずの父の名前が彼の口から出てきた。ずっと疑いの目で見ていたが少し信憑性がます。
「此処では詳しく説明できない。城の警備の隙間を縫ってここまで入り込んだんだ。ばれるまで時間の問題だ。アエラ俺と一緒に来てくれ」
アエラの眼前に無骨な手が差し出す。
(本当に信用していいのか?あたしは一度こいつに裏切られたんだぞ。)
様々な思いが頭を駆け回る。彼の手をとっていいのか
葛藤した。
(いつ出れるかわからず此処でずっといるよりはマシかもしれない。別に命なんか惜しくない。けど自由がいい。)
アエラは意を決してエイダンの手を取る。彼の手がアエラの手を包み込む。武器をよく握っているのだろうか、手の平に固いたこがあり彼女の柔らかい肌にあたる。
エイダンは目尻にシワを寄せてニヤリといたずらっぽく微笑んだ。
(昔はこの微笑みを見るのがたまらなく好きだった)
彼の顔を見て恋をしていた頃の懐かしい感情を思い出した。
物思いにふけているアエラは、熱を帯びた視線に気づかない。
近くにいる彼女に聞こえないほど小声でエイダン呟いた。
「やっと会えた。もう離さない」




