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キャラメルティーのおまけ

 ツバメ色した濃紺のワンピース。こころのお気に入り!

ふわふわのパニエを履いて、ワンピースに腕を通して、桃色のキラキラブローチがついたリボンタイを結ぶ。真っ白なエプロンの背中のリボン、ちゃんと結べるようになったよ!

 髪型は崩れてないかな?メイク、変じゃないかな?

 自分の厳しいチェックが終わったら、鏡の前でくるっと一回転!心は、この裾がぶわーって広がるのが大好き!

「うんうん!」

 綺麗に決まって、大満足のはなまる笑顔。


休憩用のお家の勝手口を出て、ものすごく狭い裏路地を通るよ。ツバメの館の勝手口に近付くと、とってもいい匂いがしてきた!

今日はうるちさんと一緒のシフトだ。うるちさんが何かイイモノを作ってるに違いない!


 「なんの匂いですか!?」

 勝手口を思い切り開けた。キッチンから、奥様とうるちさんの笑い声が聞こえてきた。

「ほら、ね。うるちゃん。心ちゃんが釣れた釣れた」

「ほんまですね、可愛い獲物が引っかかりましたわ」

 二人して、くすくすと笑っている。

「こころじゃなくても、こんないい匂いしてたら釣れちゃうよ!」

 それより、と言いかけたところで、うるちさんがこころ用のお皿に、小さなケーキとたっぷりの生クリームをのせて、カウンターに座る奥様の隣に置いてくれた。

「わっ!」

「今日はね、カトルカールを作ってみてん。パウンドケーキやよ。出来たてやから味が落ち着いてへんけど……奥様も、試食をお願いします」

「じゃあ、皆で頂きましょうか」

「いただきまぁす!」

 手を合わせて、早速食べる。ほんのり温かくて、柔らかくて……。

「美味しいー!」

「うん、美味しいわ。さすがうるちゃん。シンプルだからどんな飲み物にも合いそうね」

「ありがとうございます。一日置いたらもっとしっとりして、味も良くなります。少し厚めに切って、二切れくらいを……」

 二人がお客様にどうお出しするか話してる間に、こころは一切れを食べちゃった。それに気付いたうるちさんが、

「心ちゃんがそないに喜んでくれるなら、大丈夫そうやね。もう一切れ食べる? その後は、もう少し時間が経ったケーキを試食してね」

「わーい! うるちさん大好き!」

「うちも、心ちゃんが試食してくれるから助かるわ。美味しくない時はすぐ顔に出はるからね」

「そうね、前に私が作ったクッキーの時は……」

奥様が作ったクッキー?のような物を思い出した。うるちさんも苦い顔をしている。

「奥様、あれは……心ちゃんじゃなくてもあれは……」

「お、奥様はご飯が美味しいです! 大丈夫です!」

「そ、そうですよ! 奥様はお菓子作りはアレですけど、お食事は絶品やないですか!」

「ふふ……二人とも優しいのね……」

 切ない顔をしながら、奥様がこころの頭をぽんぽんと撫でた。本当に、奥様のご飯はとっても美味しいんだよ!お菓子は……アレだけど。


 こころも、何か美味しい物が作れたらなぁ。そう思いながら、残りのケーキに生クリームをたくさん付けて食べたのでした。後で食べるカトルカールも、楽しみだなぁ!

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