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準備

 翌日目が覚めると、情報屋はいなかった。居間のテレビでも見ようと向かっていたところ。台所から物音がする。

「なんだい、ここ最近の若者は早起きなのかい?まだできないから着替えてゆっくりしてな」おばあさんはそう言って朝食の準備をしているようだった。居間に着くと運外鏡がテレビを見ていた。

「おはよう。」「なんだ、お前さんも早いんだな。さっきの嬢ちゃんはどっか出かけて行ったぞ。お、最近の掃除道具はいろんな機能があるんだな。」寝ぼけた頭で運外鏡と朝早くからテレビショッピングを見た。

 六時半頃になると岡田も起きてきた。「おはよう。どうだ少しは落ち着いたか?」

「おはよう。いや、別に昨日は粗ぶってないぞ。」なんて会話をしていたら情報屋が帰ってきた。それを知っていたかのようにおばあさんが朝食をもってきた。

「待たせたね。ほら、お食べ。そしたら、あっちの世界に行く準備をするよ。」食事中はただテレビの音だけが流れた。

 朝ご飯を食べ終わると情報屋が袋包みを出してきた。「君たちが起きる前に運外鏡から昨日のこと聞いて買ってきた。一般的な階級は鏡か水らしいからとりあえずだれがどの階級にするか決めるか」情報屋が持ってきた鏡は二つ水は三つ。「私は行かないよ。あそこに行ってもお前さんたちの役にはたてないからね。それにあっちに行ったら私のドッペルゲンガーがいるからね」運外鏡はそもそも鏡だからいらない。それに家には小さい手鏡がいくつかあったので買いに行く必要がなかったという。朝っぱらから情報屋だけが恥をかくという事態があった。

 そんなこんなで俺たちは運外鏡を通してあちら側の世界に行った。そう思った。

 運外鏡やおばあさんの説明だと俺達の世界とあまり変わらないと言っていたがどう見たってなにもない真っ白な世界に俺は飛ばされた。ここはどこだ?情報屋も岡田もいない。とりあえず歩くことにした。

頭の中でいろいろ考えが巡る。ここはどこなのか。二人は大丈夫なのか。ここから元の世界に戻れるのか。なんてことを考えていると、遠くに神社らしき建物が見えた。この神社はどこかで見たような気がするな。ここは初めて来たはずだけどなぜか既視感を覚えている。

 「お、ようやく来たね。待ってたよ。」神社の中に入ってかけられる声は初めて聴くはずなのに何度も聞いたことのあるような安心感を感じる。「あなたは?」「それはまた今度教えてあげよう。今はそんなこと言っている場合じゃないはずだよ。彼女を探しに行くんだろ?そのためには、知らなくちゃいけないことと身につけなきゃいけないものがたくさんあるからね。ちょっと修行するよ。その前に、ここでの記憶はここから出たら消えるということとあっちでの時間は進んでいないから安心してね。」

何を言ってんだ?と思ったが確かに見知らぬ世界に行くから何があるかわからないからここで力をつけることは間違いじゃない。しかし、こんな誰かもわからない奴の言葉を信じていいのか?二つの思いが頭の中でぐるぐる回る。

「なんか難しいことでも考えていそうだけどここで修業しないとあっちに行けないからあんまり考えないほうがいいよ」なんてこった。仕方ないと思い俺は二つ返事をした。

 それからはどれくらいたったかわからない。ただ、名前も知らない男(師匠)この何も世界であっちの世界で身につけなくてはいけない力を学んだ。具体的には、鏡の世界は物を反射することだ。

 例えば、ボールが飛んで来たらそれを反射すると相手の方まで飛ばすことができる、という感じだ。

 まぁ、俺はこの師匠に剛速球の球を投げられてボコられまくるのが修行だった。終始師匠にボコボコにされた。けれど、力はついたと思う。あっちの世界はそんなに過酷なのか?なんて思っていたある時。

 突然師匠に、鳥居の外まで振り返らずに歩いて出たらゆっくり目をつぶりながら戻って来いと言われた。こんなことを言うのはちょくちょくあったから不思議でもなんでもなかったから言われたとおりに歩いた。師匠の「よし」の言葉と同時に目を開けるとおばあさんの家の中にいた。

 

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