謎の古代文字
「世界の一つを知ると、新たに10の知らなかった事が現れる。」
内見したダンジョンのすぐ近くの村
そんなに大きくないが、小さくもない
この一帯は、モンスターや魔物が弱いため 冒険者や旅人が最初に訓練する場として
重宝されているのだ。
広大な草原、澄んだ小川、程よい森
退屈ではあるが、安全で平和な暮らしが約束されていた。
…まあ、まだ現時点ではという意味だが
宿屋兼酒場に仲間を待たせていた
仲間…というか、途中でたまたま一緒になったというか
「かーっ!うんめぇぇええーーーーーーーー!!!!!」
長身、長髪に筋骨隆々の肉体
褐色の肌に、浅かったり深かったりする生傷がいくつも刻まれている
同行の女戦士がそこで酒盛りをしていた。
まだ昼間だというのに…
そこに積まれた、おびただしい皿の数や転がる酒瓶から
10人以上で盛大な酒盛りをしたように見える。
が、全てはこの女戦士が喰い散らかしたのだ。
「よぉ、ダンジョンはどうだった?」
「うん サビれていたけど、素朴で良さそうなところだった…ただ」
ボクは考え込む
女戦士は、また酒のジョッキを一気に飲み干す。
「なんだぁ、ハズレか?じゃあ別のダンジョンを探しに…」
「いや、ダンジョンはもう権利もろもろまとめて買い上げて来た、しっかりした書面で契約も完了したいから不動産屋さんには準備して貰ってる」
「おいおい、マジかよ・・・・あっ!この豚肉の料理おかわり!!」
ダンジョンを案内してくれていた人もそうだが、その日の内に即断即決はやっぱりみんな
驚くよな
ボクも、今日は軽く見て終わろうと思っていたし…
「それで、いくらよ? お値段は」
「金貨50枚」
ぶーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!
戦士の酒しぶきが掛かりそうだったので、近くの皿で受け止めた
「お前それ!?国によったら親子三代遊んで暮らせる額じゃねえか!!? どっからそんなに出てくるんだよ!!」
金貨、金は国が変わっても通用する貨幣価値がある。
(※現在の日本円に換算すると約10億円の価値)
「絶対ボラれてるぞ、ダンジョン丸ごとって言ってもこんなとこの浅い遺跡、いっても、金貨2枚だろ それでもオレは買わないが~」
そもそもダンジョンの購入するといのが、稀
興味のない人間からしたら意味のわからない世界だろう
「多少吹っ掛けられてもいいよ、ボクの覚悟、ある程度の資産っていうのも示したかった。」
「か~~!金持ちの買い物は意味がわからねぇぜ! ここもお前に払って貰うから遠慮してたってのに、損した! お姉さん!お酒ジャンジャン追加で!!!!」
これで遠慮してたのか…
ボクが奢るのが当たり前のこの現状こそ、ボラれているようなモノだが
しかし、相談相手も欲しかったし、彼女のような突き抜けた明るさは気も紛れる
「問題があって、古代文字が書かれていたんだけど…」
「あ?壁の模様だろ?? そんなの遺跡系の建物には大抵入ってるぜ」
その通りだ、だから世界中の数少ない学者たちが必死に研究している訳だが
「以前の仲間から、最近解明されたばかりの古代文字、呪文があるんだけど それと似たモノを見つけた 最近過ぎるから、まだ誰も気付いていないけど…」
「あのダンジョンは、まだ未探索の空間が封印されている。 しかも、かなりの規模だ…」
ボクの予測でしかない部分もあるが
「へぇー、良かったじゃん つまり掘り出し物のダンジョンって訳だ! まあ、それでも金貨を出す価値があるとは思えないが~」
グビグビと追加の酒を飲み干していく、顔が多少赤くなった程度で、普段と全く変わらないのが恐ろしい…
「考古学とか、そういう視点でいえば金貨で測れる価値なんかじゃないよ、だけど問題は」
ボクは思い詰めながら彼女の目を見た
「この村の人達の生活を壊してしまう可能性がある…。」