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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第二章 色彩能力者と千面道化

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第60話 捨て身の融合

 コイツがその気になればすぐにでも融合が始まる。


 なにか手はないのか! クソ! こんな時にどこに行ってやがるんだ……あの煽りの錬金術師は!


「ん?」


 バッ! と千面道化が突然、首から手を放して後ろへ大きく下がった。入れ違うように、槍の一撃が俺のすぐ前の地面に突き刺さる。


「ヒーロー見参!」


 槍を持って現れたのは――


「フォックス!?」


「ようイロハ! どう? どう!? ドンピシャのタイミングだったろ?」


「いや、お前どうしてここに……」


「悪いな。学校から尾行させてもらった。どうしてもコイツにリベンジしたくてな……お前らが千面道化を追っていることは何となくわかってたし、お前を追っていけばたどり着けると思ったぜ」


 さっきラビィさんが察知した気配はお前かよ!

 いやでも……正直助かった。


 千面道化は不機嫌そうな顔でフォックスを見る。


「君は前にも会ったね。アレで懲りてなかったんだ」


「むしろ火が点いた! 早く勝負しよう勝負! 楽しい楽しい殺し合いだ」


 フォックスはやる気満々だ。

 だけど、そもそもコイツの槍は千面道化には効かない。助っ人としては物足りん……。


「フォックス! ここは……」


「口出し無用だぜ」


 フォックスは勢いよく飛び出す。


「さっきは反射で避けちゃったけどね、君の槍じゃ僕は貫けな――」


 フォックスが槍を突きだそうとした時、槍の矛先に炎が灯った。

 その炎を視認した瞬間、千面道化は防御をやめ、回避を選んだ。

 千面道化の腕を炎が掠める。千面道化の腕は小さく火傷した。


「やっぱりねぇ!」


 フォックスは笑みを浮かべる。


「斬撃は効かなかった癖に、爆弾の熱波にはダメージを受けてたからな。お前、熱に弱いんだろ?」


「……ブレイズメタルか」


 ブレイズメタル、マナを込めることで熱を発生させる金属か。〈モデルファクトリー〉で見たモノより鮮やかな色をしている。新鮮なブレイズメタルはああいう色なのか。


「お前対策にベルモンドに作ってもらった特注品だ。これで条件は五分だぜ」


「本当に五分かな?」


 今度は千面道化から仕掛ける。

 千面道化を迎え討とうとフォックスは槍の連続突きを繰り出す。しかし千面道化は軽いフットワークで槍撃を躱し、自身の手の間合いまで距離を詰めた。


 千面道化は両手の合成陣を押し付けようと掌底による連打を出す。フォックスは槍の柄で防御したり、避けることで連打を捌き切る。


「ぐっ!」


 だが、千面道化の両手に集中し過ぎたフォックスは腹に蹴りを喰らった。怯んだフォックスに向かって千面道化は右拳を振りかぶる。フォックスは千面道化の拳を槍の柄で受けるが、受けきれず、槍は折れ、フォックスの顔面に拳が当たる。


 ごきゅ!! と鈍い音が鳴り、

 フォックスは大きく吹き飛び、道端のゴミ箱に突っ込んだ。


「僕は融合錬成で多くの人間の記憶、経験を抽出した。中には拳法家や柔道家、剣士や槍士も居たんだよ。例え君の攻撃が僕に効こうとも、例え融合錬成がなくとも、僕の有利は変わらない」


「だっはっはぁ! やっべー。コイツ、マジ強いな。逃げるぞイロハ。武器なきゃさすがに無謀だ」


 鼻血を流し、よろけつつもフォックスは立ち上がる。


「いいや、もう大丈夫だよ。フォックス」


 ゴオォン! と天より飛来したメイドさんが千面道化の背に膝蹴りをくらわせ、そのまま地面に押し込めた。


「ごはっ!?」


 ラビィさんはバク転して、主人の側に戻る。


「お初にお目にかかる。千面道化」


 千面道化は血を吐きながらも笑顔で立ち上がる。


「コノハ=シロガネ……こんなすぐに2人目の神樹の守護者(フレースヴェルグ)に会えるとは。あと5人でコンプリートですよ」


「ラビィ、殺せ」


「承知しました」


 ラビィさんは地面に指を突っ込み、巨大な岩塊を持ち上げる。

 岩塊を千面道化に向けて投げる。


「さすがはホムンクルス。馬鹿力だね」


 千面道化は大きく飛び上がる。近くの一軒家よりも高くだ。

 だが、その跳躍が最高点に達した瞬間に、コノハ先生が千面道化に向かって缶詰を投げた。


「これは……!?」


 ドオオォン!!!!! という激しい轟音と共に、缶詰が爆発した。

 黒煙が空を覆う。


「熱に弱いという情報はヴィヴィより聞いている」


 そう言ってコノハ先生はほくそ笑む。

 この爆発の規模じゃまず無事じゃないはず。例え生きていても虫の息だろう。


「出てくるぞ!」


 フォックスが言う。

 黒煙から、影が1つ飛び出す。全員がそれに視線を奪われた。


 煙から飛び出してきたのは……右腕、千面道化の右腕だった。


「腕!?」


 一瞬の動揺、一瞬の視線誘導。その一瞬の隙に、誰かがすぐ近くに着地した。

 俺がその着地した人物を視界に収めたのは、すでにそいつがラビィさんとの距離を20メートルまで詰めた時だった。


「ラビィ! C級以下の武装の使用を許可する!」


 コノハ先生が叫ぶ。

 ラビィさんは両手の袖から十口に及ぶ銃口を出し、銃弾を千面道化に浴びせた。銃弾は千面道化の喉を撃ち抜き、腹を撃ち抜き、全身に穴を空けるも、千面道化は止まらない。


 無防な特攻だ。完全に防御を捨てている。


「まずい……!」


 アイツにとってもう致命傷すらどうでもいいんだ。


――融合錬成を使えば、新品の体を用意できる。


「ラビィさん!!」


「頂くよ、君の体」


 千面道化の左手が、ラビィさんの顔を掴んだ。

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今後の作品の発展のためにも、ページ下部の星を【☆☆☆☆☆】から【★★★★★】にしてくださると嬉しいです。

低評価もきちんと受け入れますので【★☆☆☆☆】でも押してくださると今後の参考になります。

現時点の評価で構わないのでよろしくお願いします。


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