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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第二章 色彩能力者と千面道化

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第59話 絶対絶命

 放課後。

 学校の玄関門の所にメイド服を着た女性が立っていた。


「お迎えにあがりました。ご主人様は1番通りの噴水広場にてお待ちです」


 ラビィさんに連れられ、その噴水広場に行く。

 コノハ先生は噴水広場のベンチに座って、道行く人たちを鋭い視線で見ていた。


「来たか」


 ゆったりと立ち上がる。


「お前の役目は目に映る全員を鑑定し、千面道化を見つけ出すことだ」


「わかってますよ」


 俺はストレージポーチからクリスタルエッジと虹の筆を出し、背負う。


「ラビィは背後を警戒しろ」


「承知しました」


 コノハ先生と共に1番通りを歩く。


「この通りが(もっと)も人が多い。ゆえに当然の如く千面道化が居る可能性が高い」


「もし千面道化を見つけたとして、コノハ先生とラビィさんで無力化できるんですか?」


「舐めるな。俺があんな道化に負けるわけがないだろう。あと、勘違いするなよ。俺は奴を無力化する気なんてない。見つけ次第殺し、解剖してやる。奴の体には興味がある」


「……殺すのかよ」


「なんだ、なにか問題あるか?」


「野蛮だなと思いまして」


「善人のフリか。くだらん」


「ご主人様」


 ラビィさんが後ろから声を掛けてきた。


「どうした?」


「我々を尾行している人物がいます。どうなさいますか?」


 コノハ先生は歩くスピードも表情も一切変えない。


「いつからだ?」


「気配を感じ始めたのはイロハ様と合流してから。確信に変わったのはつい先ほどです」


「拘束しろ」


「……申し訳ありません。たったいま、索敵範囲から脱しました」


 コノハ先生は小さく舌打ちする。


「勘の良い相手だな」


「千面道化ですかね」


「可能性は低い。奴がラビィに気取(けど)られるほど杜撰(ずさん)な尾行をするとは思えん。コソコソと隠れることだけは得意な奴だからな。ラビィ、次からは俺に確認を取らずに捕えてよし」


「承知しました」


 千面道化じゃない。だとしたら誰だって話だけどな。

 考えたくはないが、千面道化の仲間とか。俺たちは相手を勝手に単体だと想定しているけど大丈夫だろうか。


 気を取り直してすれ違う全員の肌を見る。

 中々疲れる……常に首を動かし、周囲を確認しなくちゃいけない。そして一瞬で千面道化か否かを判断しなければならない。

 とてつもない集中力を使うな……。


 探索を開始して一時間、


「ぐっ!?」


 頭痛と眼痛が同時にきた。


「ちっ、もう限界か」


「仕方ないでしょう。コノハ先生が思っている以上に、キツいんですよ、コレ」


「ご主人様、近くに目薬を売っているファクトリーがあります」


「……なんだラビィ、まさかコイツのために目薬を買えと言うのか? この俺が?」


「任務達成のためです」


 コノハ先生は大きくため息をして、


「足手まといが……そこのベンチで待っていろ」


 道端にあるベンチに腰を落ち着ける。


「ご主人様、私はどちらにつきましょうか?」


「俺について来い。この大通りで融合錬成を仕掛けるほど奴も馬鹿ではない」


「承知しました」


「すみませんラビィさん。目薬お願いします」


「はい」


 一瞬だが、ラビィさんが口元を笑わせた気がした。

 コノハ先生とラビィさんは目薬が売ってるらしいファクトリーに向かっていく。


 俺は1人、ベンチで佇む。

 目の上にラビィさんがくれたタオルを置き、上を向く。


「すみません」


 と、女性の声が耳に届いた。

 タオルをどけ、声の主を見る。


「少し、道を尋ねたいのですか。よろしいですか?」


「っ!!?」


 俺は目の前の女性を見て、慌てて立ち上がり、距離を取る。


「……どこまでの道を聞きたいのでしょうか」


 俺は剣に手を添える。


「――千面道化殿」


 俺が言うと、女――千面道化はにっこりと笑った。


「もちろん、母さんの居場所までの道さ」


 俺は勝手に千面道化を男だと思っていたが、そうか、コイツは別に異性に化けることもできる。男か女かは定かではない。って今はそんなことはどうでもいい。


――大ピンチだ。


「やっぱり、やっぱり、君にはわかるんだねっ! やった! やっぱり君だと思ったんだ! 1人目で当たりだよ!」


 千面道化は20代前半程の女性の体で、顔を紅潮させる。


「僕が、僕がわかるんだね! 君には僕がわかるんだ! ははっ、嬉しくて涙が出るよ!」


 なぜか千面道化は涙を流している。

 なんだコイツ……不気味だ。今まで会った人間の中で、圧倒的に不気味で気持ち悪い。


「僕がどんな姿になっても! 僕が何者になっても! 君には僕がわかるんだ! 僕だってわかるんだ! こんなに幸せなことはないよ!!」


「なにを、言ってやがる? 俺はお前の敵だぞ……!」


「敵?」


 一瞬だった。

 一瞬で俺は距離を詰められ、首に手を掛けられた。


「――っ!!?」


 警戒していた。

 臨戦態勢だった。

 目でその動きは捉えられていても、体はまるで反応できなかった。


「そんな寂しいこと言わないでよ……僕と君はこの世で唯一の仲間だよ。何者にも成れるのに、何者にも認識されない」


 千面道化の手の合成陣が、俺に当たる。

 あっさりと――詰んだ。


「……僕ね、今凄く悩んでいるんだ……君を殺したくない。でも君と溶け合いたい……! どうしよう、ねぇどうしようか!? イロハ=シロガネ君っ!!」

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今後の作品の発展のためにも、ページ下部の星を【☆☆☆☆☆】から【★★★★★】にしてくださると嬉しいです。

低評価もきちんと受け入れますので【★☆☆☆☆】でも押してくださると今後の参考になります。

現時点の評価で構わないのでよろしくお願いします。


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