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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第二章 色彩能力者と千面道化

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第50話 襲来

 ジョシュアは顔色を変えない。

 驚いているはずだが、一切顔には出さない。


「……ほぼ間違いなく、アレはウツロギ先生じゃない」

「……なぜわかる?」

「……目の色も、皮膚の色も、髪の色も違う。日が()てば誰だって微かに色は変わるが、そんな生半可なレベルじゃない」

「……俺には色の違いはわからない。だが、確かに立ち姿が前と比べて隙が無いな」


 俺は色を顔のように捉えることができる。

 奴の色の顔は……人間のそれとかけ離れ過ぎている。色相、色の流れ、色味。どれもこれもが気持ちが悪い……縫い目だらけ、ツギハギの顔だ。


 不快でしかない。


「……わかった。お前を信じる。後はオレに預けろ」

「……どうする気だ?」

「……隙を見て無力化する」


 こと戦闘に関してはジョシュアの判断に任せるのが吉か。


「……了解だ。お前に任せる」


 それから授業が始まる。


「それではまずは回復薬の錬成をしてもらいます。材料はこちらで用意しているので、廊下側の生徒から順に取りに来てください」


 廊下側の生徒から回復薬調合セットを取りに行く。


 順々に生徒が立ち、調合セットを取って座っていく。そしてジョシュアの番がやってくる。

 ジョシュアは自然な足取りで侵入者の元へ向かう。


 恐らく俺だけが、ジョシュアの緊張を感じていた。――やる気だ。


 ジョシュアは薬草などの素材を掴み、そして――侵入者の眼前に向けて投げた。


「なにを!?」


 侵入者の視界を封じた後でジョシュアは背後に回り、侵入者の手と頭を掴んで床に押し込んだ。


「お、おいなにやってんだよ!」


 騒然とする教室内。


「ジョシュア君……?」

「ジョシュア!?」


 ヴィヴィとフラムもジョシュアの行動に対して驚いている。

 ジョシュアは冷静な面持ちでナイフを取り出し、侵入者の首に添える。


「動くな。何者か知らねぇが、動くと斬るぜ」

「……ビックリしたな~、もう。どうして僕の変装を見破れたのかな?」


 やっぱりウツロギ先生じゃなかったか。

 確信を得たことでジョシュアの殺意が色濃くなる。


「テメェ、何者だ?」

「教えてあげるけどさ、その前に……拘束が緩いよ、君」


 ジョシュアは完璧に関節を決めていた。なのに、侵入者はジョシュアを背に乗せたまま立ち上がった。


「なに!?」


 侵入者は無理やりな態勢からジョシュアを教室の後ろの壁まで投げ飛ばす。


――ゴォン!!


「がはっ!?」


 教室の前から、後ろまで、一瞬で投げ飛ばした。

 ありえない腕力だ。


「うわ、すげ! 強そうだなぁ、お前!」


 ジョシュアが投げ飛ばされたのを見て、戦闘狂のフォックスがストレージポーチから槍を抜き、飛び出した。


「最近の若者は血気盛んだね」


 フォックスの槍による一突きを、侵入者は素手の手のひらで止めた。


「この程度の槍じゃ、僕に傷はつけられないよ」


「……これは予想外……!」


「君たちに用はないんだ」


 侵入者は槍を引っ張ってフォックスを引き寄せ、フォックスの腹を殴る。フォックスは天井まで殴り飛ばされた。

 しかしアイツ、まだ相手が何者かわかってないのに容赦なく槍を突き立てたな……だがそれでも奴の肌に傷はない。化物か。

 刃物による攻撃は効きそうにないな。だったら、


「きゃああああああああああっっ!!」

「なんだ、なんなんだコイツ!?」

「逃げろ! 先生を呼ぶんだ!!」


 悲鳴を上げ、逃げまどう生徒たち。

 侵入者の目線はある場所に一直線に向かっていた。


「迎えに来たよ。()()()


「え……?」


 視線は、ヴィヴィに向いていた。


「狙いはヴィヴィか……!」


 ヴィヴィは後ろ手に杖を、ライトニングロッドを持っている。


「雷錬成、【アギド】!!」


 ヴィヴィの杖から放たれる雷光。

 侵入者は雷を両腕で防御する。


「眩しいなぁ」


 効いてはない。防御した両腕が微かに焦げている程度。

 だが、足は止まった。


(虹の筆……!)


 俺は虹の筆を抜き、高速で床に合成陣を描く。

 自分の机を蹴り、合成陣の上に机を倒す。


「フラム!」


「はい!」


 合成陣から引っ張った円にフラムが手を突っ込む。

 フラムの手により、机が白い炎に包まれる。


「合成? 一体何を……」


 侵入者は動かない。合成術を警戒したのだろう。

 白い炎が収まり、机は木製の槍になった。


 しかし、ただの木の槍ではない。


「お返しだクソが……!」


 いつの間にか復活していたジョシュアが槍を手に取る。

 すでに侵入者の周囲に生徒はいない、条件は整った。

 ジョシュアが槍を持ち、侵入者に向けて投げる。


「だーから、こんなの効かないって。

――っ!!?」


 木の槍が侵入者と接触した瞬間、周囲一帯をぶっ飛ばす爆発が巻き起こった。

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今後の作品の発展のためにも、ページ下部の星を【☆☆☆☆☆】から【★★★★★】にしてくださると嬉しいです。

低評価もきちんと受け入れますので【★☆☆☆☆】でも押してくださると今後の参考になります。

現時点の評価で構わないのでよろしくお願いします。

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