表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第二章 色彩能力者と千面道化

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/69

第48話 千面道化

 深い深い地下深く。

 そこにキメラ達が住む都市があった。


 地下都市〈ダストフォール〉。


 頭が猫の人型生物が、翼の生えた蛇が、メドゥーサ、ドラゴンといった怪物が混在する。


 都市の中心にある城〈ティアバンク〉の謁見の間にて、その男は玉座に座っていた。

 銀色の髪の男……アルヴィ=ロス=グランデ。又の名をグランデ伯爵。

 謁見の間に、1人の男が入ってくる。温和そうな20歳ほどの男だ。


「グランデ伯爵。ただいま戻りました」


「来たか。千面道化(せんめんどうけ)よ」


 千面道化と呼ばれた男は1人の男を抱えている。

 口と手足を縛られたその男は〈ランティス錬金学校〉の教員の1人――ウツロギ=グリーンペイ。イロハが所属するラタトスク組の植物錬金学担当の教師である。


「その者は誰だ?」


()()()のクラスの植物錬金学担当の教員です。〈ランティス〉郊外で植物採取をしているところを見つけたので、サクッと攫ってきました」


「ふむ、その者の面を借りるのか」


「はい」


 千面道化は右手に描いた合成陣をウツロギの顔に当てる。瞬間、白い炎がウツロギと千面道化を燃やしだした。


「んーっ! んーっ!?」


 ウツロギは取り乱すが、右手からは逃れられない。


「心配はいりませんよ、ウツロギさん。僕とあなたはこれから溶け合うです。溶けて解けて融けて……一緒になるんですよ。悲しいことじゃありません。あなたは僕の胎で生き続ける」


 千面道化とウツロギは白い焔と化し、混ざり合う。

 白い炎は結集し――ウツロギの肉体となった。


「ふーっ。この人の体重いですねー。運動不足だなぁ」


 肉体はウツロギだ。だが、中身は違う。


融合錬成(ゆうごうれんせい)。合成陣で触れた相手の体と(みずか)らの体を分解し、自らの肉体と相手の肉体を練り合わせ、再構築する必殺の錬金術……これほど複雑な錬金術を一瞬で成すとは、さすがは我が四大傑作(しだいけっさく)の1人だな」


「今さら褒められてもうれしくないですよ。伯爵」


「その姿ならば、〈ランティス〉に忍び込めるだろう」


「ええ。僕の変装がバレたことはありません。というか、変装と言うより変身? 変体? 合体? まぁなんでもいいか」


「では頼んだぞ、千面道化よ。我が娘をここへ連れてこい。来たる混沌のために……」


「わかってますよ。僕も母さんに会うのは楽しみです」


「くれぐれも油断はするな。〈ランティス〉は才能の宝庫、お前の正体を見破れる者も居るかもしれない」


「だから大丈夫ですって。この体はウツロギそのものですから。それに記憶中枢も取り込んでいるので、この男の記憶もちゃんとあります。演技も完璧にこなせますよ」


「ふっ、そうだったな」


 ウツロギの器を得た千面道化は部屋を出て行く。

 1人部屋に残されたグランデ伯爵は窓から空を見上げる。


 地下都市〈ダストフォール〉の天井には鎖に繋がれた巨大な卵がある。卵の亀裂から(はっ)せられる紫の光が〈ダストフォール〉を照らしている。この卵がこの地下都市において太陽の役割を担っているのだ。


 グランデ伯爵はその漆黒の卵を見て、口角を上げる。


「ヴィヴィ……お前ならば必ず、あの卵を孵化させることができる」


 グランデ伯爵は卵に手を伸ばす。


「錬金術師などという悪鬼はびこるこの世界、〈アルケー〉を……否、〈ユグドラシル〉を滅ぼす破壊竜、ニーズヘッグの卵を……お前ならば、私の最高傑作であるお前ならば! ――必ず!!」

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今後の作品の発展のためにも、ページ下部の星を【☆☆☆☆☆】から【★★★★★】にしてくださると嬉しいです。

低評価もきちんと受け入れますので【★☆☆☆☆】でも押してくださると今後の参考になります。

現時点の評価で構わないのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ