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色彩能力者の錬金術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第一章 錬金術師専門学校へようこそ

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第43話 フラスコ

 イロハとフラムが買い物をしている頃、ジョシュアはとある家の中にいた。


 豪邸だ。与えられた土地を全部活かしている。レンガ造りで、ファンシーな装飾があちこちになされている。その外観から、この家を作った生徒の錬金術師としての力量が窺える。


 ジョシュアはリビングで豪奢な椅子に座っている。テーブルを挟んで反対側にはピンク色の髪で、赤い瞳の女子生徒が座っている。ヴィヴィやフラムに負けず劣らずの美少女だ。


「報告は以上だ」


 ジョシュアは手に持った資料をテーブルに投げる。


「ご苦労様。ジョシュア」


「本当に疲れたぜ。まさかあそこまでヴィヴィがお転婆娘だったとはな」


「学校に潜入した“錬国の守護者(フラスコ)”の中で、唯一ヴィヴィと同じクラスになれたのはあなただけです。これからも引き続き、厳重な監視をお願いしますよ」


「わかってるよ、ユリア嬢」


 ユリアと呼ばれた少女はジョシュアより渡された資料に目を通す。


「イロハ=シロガネ……色彩能力者の錬金術師、ですか。あなたの報告だと戦闘力はほぼ皆無、なのに警戒度が高いのはなぜですか?」


「アイツの色彩能力は思ってた以上に厄介だ。アレに“虹の筆”が組み合わさるとさらにやばい。アイツがこれからもヴィヴィの味方をするなら、面倒なことこの上ないぜ」


「やけに高く評価しているのですね」


「……間近で見ればわかる。できればアイツが敵になるのは避けたいな」


「そうなると……どうにかして彼をヴィヴィから引き離す必要がある」


「ああ。どうすりゃいいかね?」


「彼がヴィヴィに固執する理由はなんなのですか?」


「さぁな。アイツが何を考えているか正直わからん」


 ジョシュアはそう言って、小さく目を細めた。


「フラム=セイラ―については警戒度が低いですね。わたくしとしては、彼女の能力こそ恐ろしいと思いますけど」


「性格は至って普通の女の子だ。警戒する必要はない」


「そうですか。あとはコノハ=シロガネ……彼はやはり、警戒度が高いですね」


 イロハの警戒度がB、フラムがEときて、コノハはAランクの警戒度になっている。


「錬金術の腕はもちろん、アイツの立ち振る舞いには一切隙がなかった。ありゃ武術の心得があるな。あと隣に居たメイド……あの女は多分ホムンクルスだ。首に“23044”と識別番号みたいなのが見えた。常にコノハの死角を警戒していて、2人が揃うとマジで隙がねぇ」


「でも、別に彼はヴィヴィの味方というわけではないのでしょう?」


「まぁな。だけど、ヴィヴィのことは気に入っている様子だったぜ。あくまで、俺たち4人の中ではの話だけどな」


 ジョシュアは報告を終えたところで立ち上がる。


「それじゃそろそろ失礼するよユリア嬢。このあとパーティーがあるんでな」


 立ち去ろうとするジョシュアの背中を、ユリアは怪訝な目で見る。


「ジョシュア。くれぐれも、我々の目的をお忘れなきよう」


 ジョシュアは足を止める。


「必ずやグランデ伯爵はヴィヴィと接触する。いずれ、必ず。我々の目的はそのタイミングを逃さず、グランデ伯爵を――」


「わかってるよ」


 ジョシュアは再び歩み始める。



「グランデ親子は――俺が殺す」



 そう言い残し、ジョシュアは家を出た。


「……彼の憎しみも、根深いものですね」


 くすりと笑い、ユリアは手元の資料――イロハの資料を手に取る。


「イロハ=シロガネ。あらゆる色を判別できる目を持つ出生不明の謎の少年。彼の存在が、わたくしたちの利として働くか、それとも――」


 ユリアは不敵な笑みと共に、イロハの資料を破り捨てた。


「『間近で見ればわかる』、ですか。ふふっ、お会いしたいものですね」

【作者からのお願い】

ここまで読んでいただきありがとうございました!

今後の作品の発展のためにも、ページ下部の星を【☆☆☆☆☆】から【★★★★★】にしてくださると嬉しいです。

低評価もきちんと受け入れますので【★☆☆☆☆】でも押してくださると今後の参考になります。

現時点の評価で構わないのでよろしくお願いします。

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