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付与魔術師と言い張ってみたけれど

作者: 橘アカシ

 





『お前は見目が悪いから、表に出るな』



 初対面でそう言われて、はいそうですか。と返事をしたのも今となっては懐かしい。



 当時はなんだこいつ。失礼な奴だなと反感を持ったものだ。

 確かに私の容姿はさほど良くない。顔の造作自体はそこまで崩れてないと思うのだが、いかんせん目付きが悪い。もともと釣り上がり気味の三白眼に加え、愛想何それ美味しいのと言わんばかりの無表情と万年寝不足で拵えた濃い隈が相まって、凶悪な人相になっている。


 誰が言ったか魔王の鬼畜参謀とは私の事だ。

 何故に魔王の参謀?鬼畜に見える程凶悪な面してるの?とか聞いてはいけない。どうせ誰かが発した下らない冗談だ。けれど妙に嵌っていたようで、影でひっそりと広まっていたらしい。


 そんな感じで魔王の鬼畜参謀のあだ名がぴったりな私は、何の因果か上記の発言をしたやつのせいで、魔王討伐を掲げる勇者パーティーの一員になってしまった。




 *****





「いつになったら帰れるんだろう」

「そりゃあ、魔王を倒したら、だろ」

「旅を始めるまでに一年。旅が始まってから一年。二年も経つというのに、魔王のまの字も見えて来ないんだが」

「そんな事ないって!前の勇者なんて、一年経たずして魔王の配下にヤられたからな。この間は四天王のひとりを秒殺だったじゃん。あれはマジで鳥肌立った。無慈悲ってこういう事を言うんだなって。あいつ律儀に口上を述べてたのに、ガン無視なんだもん。あの時ほど俺、この勇者パーティーの一員で良かったって思った事ないぜ」


 そう言ってレイドはキラキラと輝く眼差しを私に向けてきた。褒めているようで明らかに貶している。

 何が無慈悲だ。今年で三十路を迎える私に残された二十代という輝かしい時代はあと数ヶ月しか残されていないんだ。

 その貴重な時間の中で無駄口に付き合う時間などあるわけなかろう。


 とは口に出せずに黙っていたら、ていうかとレイドは話題を変えた。


「勇者たちに加勢しなくていいのか?俺は回復士ヒーラーだからいいけど、ミコトはさぼってたら公爵様に氷漬けにされるんじゃねえの?」

「さぼってなどいない。私は付与魔術師エンチェンターだ。付与魔術なら状況に合わせてかけている。それに、この程度の魔物ならあいつらの自力で十分だろう」

「ミコトは攻撃魔術だってえげつねえじゃん。この間使った火球だって初級魔術なのに一瞬で相手を消し炭にしてたし。逆になんで付与魔術師なわけ?」

「……攻撃魔術は不得手だ」

「またまたー。あんな攻撃魔術使っといて、自分、付与魔術師ですからは通じないって」


 おい、何故そこで高倉風に言った?それはともかくとして。付与魔術師ゆえに攻撃魔術は使えませんというスタンスを取ってきたつもりだが、これはマズい。

 自身に危険が及んだ場合は防御魔術で対処しろと言われているがどうしてもとっさにだと攻撃魔術が出てしまう。

 その度に公爵様様に冷気を浴びせられ氷漬けにされかけたのは記憶に新しい。


 やはり私が付与魔術師である事は疑問に思われていたらしい。レイドに疑問を持たれているならば、他の仲間たちも当然、疑問に思っている事だろう。もともと全身フードで顔を隠しているため、怪しい奴認定されているのだ。疑問どころか疑惑の念を持たれていてもおかしくない。というか絶対怪しまれてる。

 もともとパーティーメンバーの仲はそれほど良くない。私がこうやって気楽に話せるのもレイドだけだ。公爵が目を光らせているため他のメンバーは何も言ってこないが、こうやって純粋な疑問の目を向けられるとどうもいたたまれない。他のメンバーならば公爵の威光を存分に借りるが、レイドに対してそれは出来ない。

 目が、輝いているのだ。大人の濁りきったそれではなく、純真無垢という言葉がぴったりのきらきらした眼差しを向けるられると、穢れきった心が浄化されてしまいそうな、洗いざらい話したくなるような心地になる。


 攻撃魔術についてこれ以上言及されて色々ばれたらマズい。非常にマズい。

 私の末路が氷のオブジェ一択になってしまう。


 私は心を落ち着けるために、目の前の光景に視線を向けた。


 そこで繰り広げられているのは一方的な殺戮だった。


 視界いっぱいに広がる草原を埋め尽くさんばかりの魔獣の群れ。

 上級魔族が私たちに対抗するために召喚した低級から中級の魔物共が勇者一向を屠ろうと襲い掛かってくる。けれど勇者一行の力はそれをはるかに上回り、一騎当千どころか、蟻の群れを踏み潰すような、蹂躙というに相応しい一方的な戦いだった。


 勇者は聖剣を振り回し、向かってくる魔獣をバターのように切り裂いていく。

 弓術士は弓を引くごとに百の矢を射り、すべての矢が正確に魔獣を貫く。

 魔術師は上級の火炎魔術を放ち、草原を火の海にしている。

 聖騎士は聖力を纏った盾で魔獣の群に突進し、なぎ倒していく。


 そして、奴。公爵様ことウィリアム・ラダ・マクラーゲンは片っ端から魔獣を氷漬けにする。次の瞬間には粉々に砕け散り、欠片が陽光を反射して輝く。その様は息を呑むほどに美しく、背筋を走る寒気が止まらない。


 数の不利など感じさせない、いっそ彼らに対峙する魔獣が憐れなほどに、勝敗は初めから決していた。


 魔獣を召喚した上級魔族はとっくの昔に命からがら逃げていった。そのくせ召喚した魔獣の数は半端ないため、彼らの苛立ちは相当だ。


 上級魔族は質より量を取ったらしいが、数ばかり多くても、個体が弱過ぎてお話にならない。

 心情的には戦いと言うよりも作業のようなもので、戦闘狂いの勇者も顔が死んでいる。

 マクラーゲンなどいつも凍っている表情を更に凍らせ、背景にはブリザードが吹き荒んでいる。


 こんなのは時間の浪費に他ならない。けれど、私は付与魔術以外の手出しは禁止されている。


 前回の四天王戦で頭に攻撃魔術をぶっ放し、マクラーゲンに大目玉を食らったのは記憶に新しい。


 だから、私は戦闘が終わるまで大人しく待っている。

 多少は面倒だが、あと十分もあれば終わるはずだ。


 と、観戦を決め込んで、レイドとのんきに草陰に隠れていたら……。


『何をしている。さっさと自分の役割を果たせ』

『私に攻撃魔術を使うなと言ったのはマクラーゲンの方だろう。だから私は大人しくしていたではないか』

 念話だというのにマクラーゲンの深いため息が聞こえてきた。怒られた腹いせにちょっと反抗的な態度をとってみたのだが、完全にタイミングを間違えた気がする。

 私が内心冷や汗を垂らしていると、聞いているだけで凍りつきそうな絶対零度の声が頭に響いた。


『一分以内に敵を殲滅しろさもなくば……』

『サーイエッサー!ハッシュ!広範囲魔法行くぞ!』

『やっとかよ。了解』

 草原を駆け巡っていた勇者が立ち止まり、その場で剣を一閃する。周囲十数メートルの魔獣が消し飛び、そこだけぽっかりと空間が出来た。



 勇者は聖剣を正面に構えると詠唱を始めた。

 張り上げているわけでもないのに、勇者の声が朗々と響き渡る。


「天翔ける雷竜。古の咆哮。地に還る哀しみーー」


 それに合わせて、形ばかりの詠唱を唱えながら、手のひらに忍ばせた短剣に魔力を込める。注いだ魔力は勇者が振り上げた聖剣を通して天空を貫く光となる。そこに草原を覆い尽くすほどの魔法陣が現れた。


「ーーその涙、誰を癒すこともなく触れるものすべてを焼き尽くす、いかづちとならん。雷竜の落涙ライトニング・シャワー!」


 空を劈く爆音と光の嵐。頭上から放たれた雷撃は寸分の狂いもなく草原にいたすべての魔獣の魔核を貫ぬく。貫いた場所からは黄金の炎が吹き上がり、数瞬後には灰すらも残さずに燃え尽きた。


 魔獣の海に埋もれていた草原は本来あるべき壮大さを取り戻し、何事もなかったように青々とした草を風に遊ばせる。


 散り散りに戦っていた仲間たちは戦闘態勢を解くと、やれやれといった感じで私とレイドが隠れていた場所に集まってきた。


「あんな芸当が出来るなら、初めからそうしてもらいたいものですね」

 魔術師は戻って早々、嫌味ったらしく言った。ついでにじとりと勇者を睨めつける。

「すまんすまんもう少し経験値を稼げると思ったんだけどな」

 そんな魔術師に慣れた様子で勇者はへらりと笑った。

「あんな雑魚を相手にしたところで、私たちが稼げる経験値などたかが知れています。あの程度の魔獣の相手など初心者パーティーで十分でしょう」

「さすがにそれはないよー。個々体が弱くても数が数だから。小国だったら一晩かからずに滅びるレベルのスタンビートだったからね。僕らのパーティーは規格外だし、その中でも勇者は規格外だから、君たち普通じゃないことをもっと自覚した方がいいよー」

 弓術士はゆるい笑みにゆるい口調でさらりと毒を吐く。弓術士の言葉に口の端を引きつらせた魔術師は八つ当たりの矛先を変えたようだ。

「疲れるばかりで実りのない実に無駄な時間でした。けれど、あなたたちはさぞやゆっくりと休むことができたんでしょうね?」

 魔術師の視線が私とレイドを捉える。

「いやいや俺は回復と浄化専門だから。仕事も今からだから。って言ってもあんたら怪我どころか体力もほとんど消耗してないだろ。魔物も瘴気ごと消し炭になったし。俺ってそもそも不要だよな。聖女なんて称号ちり紙と一緒に丸めてごみ箱にポイするべきだよな」

「レイド。あなたが聖女の存在を否定してはならない。聖女たるもの常に清い心と慈愛を持って」

「うるせー!普段無口のくせに聖女に関する時だけ饒舌になるんじゃねえ!てか俺は女じゃねえ!だから聖女なんて称号いらないんだよ!!」

「はいはい。女だろうが男だろうがどっちでもいいじゃないですか。というか、あなたがどっちだろうと興味ありません。今、重要なのはパーティー内における仕事量の不平等についてです」

 レイドと聖騎士のいつものやりとりをぶったぎり、魔術師は話を戻した。しかし、いつの間に仕事量の不平等なんて話になったんだ?

「聖女はまあ、いいでしょう。回復と浄化専門というのに間違いはありません。回復と浄化以外に何をやらせても人並み以下どころか我々の仕事を増やすへっぽこ具合は煎じる薬もないほどです。回復と浄化以外は何も期待していないので今さら腹も立ちません」

「うおい!まあいいとか言いつつ俺を貶すんじゃねえ!回復と浄化以外にも出来ることはあるわ!」

 レイドが噛み付くも魔術師は軽く無視し、嫌味ったらしい目を更に細めて私を見た。

「あなたはつい先日それは見事な攻撃魔術を使いましたよね?初級と言えど四天王のひとりを一発で屠るほどの。あなたがいくら付与魔術師と言えど、それほどの攻撃魔術を扱えるのなら、今回の戦闘でもさぞや活躍出来たでしょうね?」

 本当にこいつは蛇みたいな男だ。ねちねちと過去の出来事を持ち出して、こちらの痛い所を突いてくる。

 確かにその辺の主婦よりもおしゃべりが止まらない魔族にイラッときて、禁止されている攻撃魔術を使ってしまったが、その時にまぐれだと弁明したはずだ。

 私的にはこのパーティーのメンバーならばらしても構わないと思うのだが、蛇男に明かすのはなんとなく癪だし、何よりも恐ろしいのは氷柱のように突き刺さっている視線の持ち主だ。

 余計な事を言ったらぶっ殺す、とその目が語っていた。

 絶対に逆らってはいけないと私の本能が震えている。


「だからまぐれだと言っているだろう。私は付与魔術師だ。付与魔術以外は使わん」

「……大体あなたは存在から不可解です。マクラーゲンがどこからともなく連れてきた正体不明の自称付与魔術師。名前以外の一切の身元を隠し、ローブで容姿まで隠す徹底ぶり。不審に思うなという方が無理な話です」

「まあ、怪しいかと聞かれたら怪しいって答えるしかないよねぇ。魔術師よりも妖術士の方がしっくりくる見た目だし」

「…………」

「…………」

「…………」

 おいこら。聖騎士はともかく、勇者とマクラーゲン。お前たちはフォローしろ。ばれて困るのはお前らの方なんだぞ。

 ふたりにジト目を向けると、さっと顔を逸らされた。そうか。否定出来ないか。そうだよな。誰が見ても誰がみたって黒いローブで全身を覆って顔を隠した私は不審者だよな。

 って、うるせー馬鹿。誰が不審者だ。私だってこんな格好したくない。暑いし、前が見にくいし、暑いくせにマクラーゲンが放つ冷気からは守ってくれないし。

 それでも表に出るなという言葉通りこのローブを着続けている私の健気さを無にきす気か貴様ら。

 そんな風に内心荒んでいたら、レイドが私を守るように魔術師の前に立ち塞がった。

「ミコトは怪しくなんてない!姿を隠してるのだって理由があるからに決まってるだろ!」

 その声には私を案ずるが故の怒りが含まれていた。

 この子はなんていい子なんだろう。魔術師の言う通り、マクラーゲンがいなければ身分を証明することは出来ないし、黒いローブで全身を覆っている私は妖術士がしっくりくる明らかな不審者だ。

 それなのになんの偏見も持たず、まっすぐに私を慕ってくれるレイドは今時珍しいほど純粋で無垢な存在だ。さすが聖女。心まで美しい。とか言ったらレイドは怒るから口には出さないが。

 正真正銘の不審者にお菓子に釣られてついて行ってしまわないか心配にもなる。


「あなたは懐きすぎです。どうしたらそんな不審者にそこまで心を許せるのか甚だ疑問です。とにかく」


 レイドの身長は私と魔術師の肩にも届かないため、蛇のような目に睨まれたまま。


「マクラーゲンが詮索不要とするので、黙っていましたが、これ以上は我慢なりません。あなたは一体、何者ですか?

 これから先、敵はより一層力を増していく事でしょう。使命を果たすには数多の困難が待ち構えています。命の保証などなければ、いつだって死と隣り合わせの旅です。そんな中で頼りであるはずの仲間に不信感を抱いたまま、旅を続けられると思いますか?命を預けられると思いますか?あなたが正体を明かさない限り、私はあなたをパーティーの一員とは認めない。それでも隠し続けるというのなら私はこのパーティーを抜けさせていただきます」


 いつだって他人を見下し、蔑んでいる瞳はこれまでにないほど真剣で、魔術師の言葉は本気であると雄弁に語っていた。


 正論過ぎる正論に誰も口を挟めない。


 弓術士は柔和に垂れ下がった眦を更に下げ、聖騎士は聖女だけに注ぐ関心をほんの少しだけ私に向ける。

 レイドは泣き出しそうになるのをぐっと堪えて、勇者は浮気がばれた亭主のように目を泳がせている。


 マクラーゲンはと言えば。

 誰も読み解けない鉄面皮の裏で何を考えているのだろう。

 もう二年の付き合いとなるのに、眉間に皺を寄せて虚空を睨みつける彼の内側はちらりとも見せてもらえない。

 冷静。冷淡。冷徹。

 彼が得意とする氷系魔術のごとく、凍りつきそうになるほどの建前の裏にどんな真実を隠しているのだろう。


 誰にも真実を明かさず、隠し通せると本気で思っているのだろうか。


「……ミコト」


 レイドが思わずというように私の名前を呼ぶ。この世界ではあまり馴染みのない響きだと言われた。それでもこの名前を名乗れと言ったその人に答えを求めた。

 私のすべてはこの世界に来た時からマクラーゲンに託している。


 私の容姿かたちも、私の意思も、私の行動も、私の言葉も。


『お前を必ず元の世界に還してやる。だからお前の全部、私に預けろ』


 まっすぐに向けられた瞳が、故郷で見た青に似てたから、信じてもいいと思った。


 冷たい言葉の端々に、雪解け水のような温かさを見つけてしまったから、今にも砕けてしまいそうなその背中を支えたいと思った。


 私は魔王を倒してこの世界を平和にするまで帰らない。


 三十路まであと数ヶ月。こんな所で仲間割れをしている暇なんてないんだ。


 だから、さっさと答えをくれ。


 マクラーゲンはふいと私を見るとすぐに視線を反らしてため息をつく。肺がぺちゃんこになってしまうんじゃないかと思うほど長いため息を吐き切ると、心底どうでも良さそうに言った。


「勿体ぶらずにさっさとそのフードを外したらどうだ。どうせ大した面じゃないんだ。隠す必要もないだろう」


 ……………………いやいやいや。どの口がそれを言うか。突然の暴言にみんな唖然としている。珍しく真剣な顔をしていた魔術師まで、口を開けてアホ面を晒している。さっきまでのシリアスがフルスイングで場外ホームランだ。


 そりゃ、そうだろ。魔術師が私を問い詰めていても、原因がマクラーゲンであることは明白だ。

 だからと言って直接問い質すことは出来ない。なぜなら、マクラーゲンは泣く子も黙る公爵様なのだ。


 この世界には明確な身分差がある。

 平民が貴族に逆らえば、その場で首を刎ねられても文句は言えないし、許可がなければ目を合わせることさえ不敬に当たる。


 魔術師は魔術において、他の追随を許さない歴史上稀に見る鬼才ともてはやされてはいるが元は平民。

 魔術師がいくら傲岸不遜で慇懃無礼な奴だったとしても公爵様に楯突けばどうなるかなど火を見るより明らかだ。


 今は魔王討伐という目標を掲げ、同じパーティーに属しているため、身分関係なく公平な立場をということになってはいるが、根本には依然として存在している。


 今回の件もマクラーゲンではなく私に問い質しているのはそういった理由だろう。


 決して普段から魔術師が私を目の敵にしていて、いじめ倒す機会を虎視眈々と狙っていたからではない。はずだ。


 それは置いておいて私の不審者ルックの要因だと思われる人物が吐いた投げやりな暴言に一堂言葉を失っている。


「あの、えっと、公爵様がミコっちゃんにあんな格好させてたんじゃないの?ローブは陰気くさいけど、ミコっちゃんの中身は陰気とは程遠いし」


 いつもなら朗らかな口調に多分な毒を含む弓術士でさえ、困惑してまともなフォローをし始めた。

 そうだそうだ!もっと言ってやれ!


「そこまでやれとは言っていない」


 おまっ!?ここにきて何、屁理屈坊やみたいなこといってんだ。


 今まで散々な事を言われ尽くしてきたが、ここまで理不尽なのはなかなかないぞ。


 しかし、魔術師に負けず劣らず傲岸不遜で実に偉そうな……実際に偉いのだが、こいつのこんな子供っぽい所は始めて見た。


 マクラーゲンの意外な一面になんとなく感心していると、呆然としていた魔術師が復活したらしく、わざとらしく咳払いし、再度私を睨んできた。


「……あなたの飼い主の許可も出た事ですし、顔を頑なに隠す理由はもうないでしょう。さっさとそのフードを取りなさい」


 マクラーゲンはそっぽを向き、他のみんなは私を凝視する。

 ……こうも凝視されると外しにくいのだが。


 しかし、もったいぶればもったいぶるほど外した時の残念感が増すわけで。


 ええい、ままよ!と私はフードに手をかけて、頭部を晒した。


 誰かが息を呑む。


 しばしの沈黙を経て魔術師が口を開いた。


「……黒髪に黒瞳」

「まさかフードの下にそんなものを隠していたなんてね」

「すげー!ミコト、伝説の勇者みたいだ!」

 魔術師に続いて弓術士が感心したように言い、レイドは興奮してうさぎみたいにぴょんぴょんと飛び跳ねた。


 日本人としてはありきたりな黒髪と黒い瞳はこちらの世界では滅多にいないらしい。


 そして、黒色を宿すものは総じて桁外れの魔力を有しており、その時代のキーパーソンになっている。

 レイドが言った伝説の勇者は、大昔に魔王を倒した英雄で、子供たちの寝物語に語られるほど、根強い人気を博している。

 他にも世界中に大流行した疫病を沈めた聖女だったり、泥沼化した大国間の戦争を和平に導いた青年だったり、それぞれに偉業を成し遂げ、歴史に名が刻まれている。


 なぜ、黒髪黒瞳の人々がそんな大層な力を有しているのかというと、神に愛されているから、らしいのだが、長くなるから割愛する。


 とにもかくにも、この世界の人々にとって黒を身に宿しているというのは大層な事なのだ。


 それに該当してしまった私がこの世界を無難に渡りきるには、髪と瞳を隠すしかないという事で、全身フードに落ち着いたのである。


 ちなみに、髪と瞳の色を変える技術がこの世界にもあるにはあるのだが、黒髪黒瞳厨の神のせいで、変更不可だ。

 染料で髪を染めようとしても染まらないし、姿を変える魔術を使おうとしてもかからない。

 加護とか祝福というよりもはや呪いだなと思ったのは秘密だ。信仰心の篤いこの世界の人々には口が裂けても言えない。


 そんな状況下で黒髪黒瞳を隠す手段など限られてくるし、マクラーゲンが言ったのは“表に出るな”だ。

 表に出るな、すなわち、姿を見られてはいけないという事だ。


 たどり着いた結論が全身フード(変質者ルック)だっだとしても仕方ないと分かっていただけるだろう。


 じゃあ、勇者パーティーに入らなきゃ良かったじゃんと言われそうだが、そこにはやむにやまれない事情があるというか、そもそもの話がそこに起因するというか。


「なるほど。あなたが本来の勇者という事ですか」


 魔術師はあっさりと正解を出した。


「ええっ〜!!?ど、どういう事だ!?ミコトが勇者?え?勇者がふたり??」

 レイドが混乱したように、私と勇者を交互に見る。大丈夫か。首を振りすぎてもげたりしないか。

「……あぁあ〜。ばれちゃったか。勇者の身代わりってのも案外楽しくて気に入ってたんだけどな」

 バレた事で開き直った勇者はつまらなそうに、地面に座り込む。胡座をかいた膝に頬杖をついて、完全にふてくされモードだ。

「お前の役割はまだ終わっていない。こいつらに知られたとしても、他の者にまで知られる訳にはいかない」

「ふーん。公爵様はミコっちゃんの存在を世界から隠しておきたいんだねぇ。なんでって聞いてもこれは答えてくれないのかな」

 マクラーゲンと弓術士の視線が交差する。それはほんの一瞬だったが、確かに空気が凍った。相変わらず無表情のマクラーゲンとにこやかな笑みを浮かべる弓術士だが、薄ら寒さが止まらない。

 そんなやりとりを見て固まってしまった私と対照的に、『訳わかんね〜!俺にも分かるように説明してくれよ!』と騒ぎ立てるレイドに魔術師が簡潔にまとめてくれた。


「要するに、私たちが勇者だと思っていたそこの男はただの戦闘狂で、付与魔術師と言い張っていた変質者が、本来の勇者だったと言う事です。

 身代わりと言っていたので、マクラーゲンがその男を雇ったのでしょう。

 黒髪黒瞳の勇者となれば、伝説の勇者の再来ですからね。無用な騒ぎが起きるのは必定。いらぬ熱気は大衆に混乱を招きかねません。

 それならば、代役を立て、天命を果たせず朽ちた歴代の勇者たちの存在に埋没させた方が、事は円滑に進むというものです」


 おお。さすが鬼才。一を聞いて十を知るとは。性格はあれでも、やっぱりおつむの出来はいいらしい。


 私も概ねこのような説明を始めの頃に受けた気がする。気がするというのは、勇者とか黒髪黒瞳とかいう存在にいまいちぴんとこなかったからだ。

 まあ、目立ちたくないしいいけどくらいにしか考えていなかったため、すっかり記憶の奥底に転がっていた。

 そういえばそうだったと私がうんうん頷いていると、魔術師が初めて見るような眼差しを向けてきた。蔑みとも、苛立ちとも違う、優しいとも言い難い。それは……憐れみ?


「それに……」


「分かっただろう。勇者パーティーだというだけで街に着けば、余計な歓待をしようとする輩が湧いて出るんだ。そんなものに構っている暇は私たちにはない」

「勇者っていうか、公爵様のせいって気がするけどな」

「仕方ないよー。媚びを売るのが仕事の人たちもいるんだからさ」


 何か言いかけた魔術師を遮ってマクラーゲンは話を締めくくる。


 いつもの打ち解けているような殺伐としているような空気が戻ってきて、私もほっと溜息をついた。


 私の存在はこのパーティーにきちんと受け入れられたらしい。

 マクラーゲンと勇者と私で結託して仲間に嘘をついていたのだから、糾弾されたって文句は言えない。けれど、そんな空気はなく、各々が納得したようだ。魔術師は微妙な顔をしていたが、言葉の続きは口にしなかった。


「……でもさ、でもさ!!」


 と、思ったのだが。意外な所から、反発の声が上がった。

 レイドは悔しいと言わんばかりに口を引き結び、キッと私を睨んだ。


「ミコトはそれでいいのか?だって、ほんとは勇者なのに、ほんとはすごいやつなのに、誰にも知られないでそれでいいのかよ!?」


 私を魔術師の追及から守ろうとした時と変わらない。たとえ栄誉を手に入れたとしても、日陰の存在にならざるを得ない私に憤り、悲しんでいる。

 この子は本当にまっすぐでいい子だ。


「いいんだよ。別に勇者になりたくてなった訳じゃないし。目的を果たせるなら、どんな扱いだろうと構わない」


「でも……!!」


 勝気な瞳に涙をにじませるレイドの頭をくしゃりと撫でてやる。


「栄光も称賛もいらない。ただひとり、私という存在を受け入れてくれる人がいればそれでいいんだ」


 私に出来る、精一杯の笑みを顔に乗せる。

 レイドが憤り、悲しむ理由はないのだと伝わるように。

 もちろん、魔王を倒す勇者という役割を果たさなければ、私は帰れない。けれど、私の目指す場所はその先にあるのだ。

 だから、魔王を倒すために努力するし、どんな困難だって乗り越えてみせる。


 私には欲しいものがある。


 ちらりとマクラーゲンを見ると、すでに興味はないと言わんばかりに愛馬のもとへ向かっていた。

 まだまだ先は長そうだと、心の内で嘆息していると、ひゅうと弓術士が口笛を吹いた。

「やるねぇ、ミコっちゃん」

 何がだ?と思い、手を置いたままだったレイドの顔を見て、首をひねった。

「レイド、どうした?顔が真っ赤だぞ?」

「べ、別になんでもねえ!子供じゃないんだから、頭を撫でるなよ!」

 ぱしっと腕を払われる。さっきまで柔らかく温かな感触があった場所に冷たい風が吹き付けて、喪失感が煽られる。

 え?なんで?突然の反抗期か?前までは逆に嬉しそうに擦り寄ってきてくれてたじゃないか。なんで急に顔を真っ赤にして怒るんだ?

 手を伸ばしたままショックで硬直した私に、レイドははっと我に返ったように「ごめん!」と謝った。

「……私こそ、すまない。気軽に頭を撫でる、なんて」

 そうだよな。レイドだって男の子なんだから、子供扱いされたら怒るよな。ちょうどいい位置に頭があるからついつい撫でてしまうとか言ったらもっと怒るよな。

 本気で落ち込んだ私に、さっきまでの憤りやら悲しみはどこへやら、レイドは顔を真っ赤にしたまま、ああーとかううーとか唸りながら、口を開いた。

「あの、違くて。頭を撫でられるのは嫌いじゃないけど……じゃなくて、えっと。あの。……ああー~っ!!イケメンなミコトが悪いんだ!ばーか!ばーか!!」

 レイドはそう言い捨てて、草原の向こうへ走っていってしまう。嫌いじゃないと言われて浮上しかけた気持ちは宙ぶらりんのまま行き場を失った。

 え?馬鹿って言われた?やっぱり反抗期?もしかして嫌われた?というかどこまで走って行くんだ?そっちには何もないぞ。

 豆粒になっていく後ろ姿を見送ったまま何もできない私の肩をぽんと叩く誰かの手。振り返るとにこやかな笑顔の弓術士がいた。慰めてくれるのかと思ったら違ったようだ。

「いけめんってどういう意味?」

「は?イケメン?私の故郷の言葉でイケてるメンズの略だ。イケてるはカッコいい。メンズは男という意味で、顔が整っていたり、男前な奴に使う言葉だな」

「ふーん。イケメン(・・・・)ねえ」

 顔は笑っているが、その目の奥は猜疑的な光を宿している気がする。見目が悪いと直球で言われるより、なんとなくイラっとした。

「分かっている。お前たちイケメンからしたら私はどうせ、不細工だろ」

 そうなのだ。実はこいつら揃いも揃ってイケメンなのだ。マクラーゲンは彫像のように整った顔立ちと怜悧な瞳を持ったザ・正統派イケメン。魔術師は知識の女神ミネルヴァと例えられる美貌を持ったイケメン。聖騎士は男の理想と女の理想を詰め込みましたと言わんばかりの綺麗な筋肉を身に付けた男前イケメン。レイドは聖女という言葉がぴったりの薄幸の美少女、ではなく将来有望な美少年だ。

 パーティーを組んですぐ、ここはイケメンばっかだなと漏らした私の言葉をレイドは覚えていたらしい。その時もイケメンってなんだと聞かれて、今のように答えた気がする。

 ちなみに目の前のこいつ。うねった長髪を片口で軽く結んで、目元には黒子。街娘いわく女子を一目で悩殺するフェロモンだだ漏れ系イケメン。らしい。はっ。ただのチャラ男だろ。

 僻む私に気づいているのかいないのか、弓術士は意味ありげな表情を浮かべて、私の髪に手を伸ばした。

「そんな事ないよ。君はとっても綺麗だ。この黒い髪も黒い瞳も。それと対比するような白い肌も。それに……」

 弓術士の手が髪から頰に移る。そして頰を撫でながらゆっくりと下へ降る。そこにあるのは。

「おい。いつまで無駄話をしている。さっさと出発の準備をしろ」

 弓術士の手がぱっと離れる。意外なほど近い場所から声がして、振り返るとすぐ目の前にマクラーゲンがいた。

「ああ、すまない。すぐに準備する」

 やばい。マクラーゲンが冷気を纏っている。これは確実に怒っている。無駄話をして出発を引き伸ばしていた私たちに怒っているに違いない。こんな時だけ分かりやすいマクラーゲンに複雑な気持ちになりつつ、氷漬けにされる前にそそくさとその場を離れ、馬たちのもとへ向かう。すると外してあったはずの鞍や鎧はすでに装着済みで、荷物も全て括りつけられており、はてと首を傾げた。

 旅は基本的に馬での移動だ。戦闘中は聖女たるレイドが結界を張り、流れ弾が飛んでこないようにしている。初めから危険な地区に赴く際は手前の街に預けたりするのだが、流石にすべての行程を徒歩という訳にはいかず、他に移動手段もないためそれぞれで馬に乗っている。

 実は私とレイドが待機していた場所の後ろで馬たちは呑気に新鮮な草を食んでいたりする。

 馬の世話は自身でするのがこのパーティーのルールになっている。

 野宿していたので当然、馬たちの鞍も鎧も外してあった。今回の襲撃は朝食を取って、野宿の後片付けをした直後だった。故に馬の準備が残っていたはずなのだが、準備万端で、すぐに出発できる状態になっていた。

「ミコト様。これまでの非礼どうぞお許しください」

 まさか、マクラーゲンが?……んな訳ないか。そんな親切心は持ち合わせていない。断然する。

 じゃあ勇者、もありえない。勇者が乗っている馬以外、馬たちは触られるのを極端に嫌がる。戦闘狂である勇者を本能的に怖がっているのだ。

「女神の化身たるあなた様に気づけなかったのはひとえに私の不徳の致すところ」

 弓術士は私と話していたから無理だし、魔術師は論外だし、レイドも未だに帰ってこない。どこまで行ったんだろう。この大草原で迷子になってない……よな?

「聖職者として女神の貴色を拝謁する栄誉に賜れましたこと、恐悦至極にございます」

 まあ、レイドが馬に鞍を着けようとしてもしても体格的に無理だろうが。ちなみにレイドは聖騎士とタンデムをしているため、馬の世話は免除されている。

「これからは誠心誠意あなた様に仕えさせて頂きます。なにとぞよろしくお頼み申します」

 しかし、そうなると一体誰が私の馬に馬具を装着したのだろう。一体、誰が……?

「ああ、なんと美しい。星の瞬く夜闇を溶かし込んだような艶やかな黒色に何物にも染まらぬ、染められぬ高潔さと、全てを包み込み、受け入れる慈悲深さを兼ね揃えている。聖典にある通りだ」


 …………。


 準備万端な馬を凝視する私の視界の隅で誰かがにじり寄ってくる。膝を地面につけて、両腕を胸の前で交差しこうべを垂れるのが、神殿の最敬礼だと聞いた気がする。王都を出発する前の祭典で神官長がそうやって祈りを捧げているのを見た気がする。それとまったく同じ体勢をした饒舌な誰かが、私に向かってやっている気がする。

 ……いやいや気のせいだろ。なんせ、奴は聖女厨だ。今まで興味のカケラも示さなかった私にまさか、そんな。

「ミコト様。ミコト様。私の夜の女神。どうか、その美しいご尊顔を私に向けてはくれませんか?」

 ぎぎぎっと首を向けたその先にいたのは、目を潤ませ、蕩けきったと評するにはおこがましいほどに、デレデレに顔を崩壊させた聖騎士だった何かだ。


「……聖女を崇拝してたんじゃないのか?」

「聖女を?私は神に仕える身です。聖女を窘めていたのは、神の恩恵を得る者として相応しい立ち居振る舞いをと。……まさか、聖女に嫉妬していたのですか?」


 ぞぞぞっと背筋に悪寒が走る。私の本能が告げている。こいつはやばい奴だ。ゆるゆるに緩みきっている聖騎士の唇の端が不気味に釣り上がる。喜びを隠しきれないというように。

「すべてはあなた様にだけ。あなた様に出会った瞬間から私の身も心も魂もあなた様だけのものです」


 私は、逃げた。全力で。


 そのセリフどっかで聞いた気がする。いや、気のせいだな。うん。おんなじような事を思った事があるとか、そんなのない。絶対にない。


 どうしてこうなったのだろう。

 この世界に召喚されて、勇者になれ、魔王を倒すまで帰れないと言われて、そのくせ表に出るなと不審者ルックを強制されて、仲間になった者たちにすら沢山の隠し事をして。

 私に落ち度なんて一つもない。というか、完全な被害者だ。


 地球という星の中にある平和な日本に生まれた結婚適齢期を逃しかけているごくごく普通の会社員だったのに。


 この世界に召喚されて始めに約束させられた。

 この三つは決して他人に明かしてはならないと。


 その一、黒髪に黒瞳であること。


 その二、異世界から召喚された異世界人であること。


 その三、性別が女であること。


 一つ目は仲間にばれてしまった。それは仕方のない事だ。色を変えられず、寝食を共にしている以上、ばれるのは時間の問題だった。隠し通す方が無謀というものだ。


 けれど、たったひとつの秘密がばれてしまっただけでこの有様だ。


 魔術師は気持ち悪い態度を取るし、マクラーゲンと弓術士は仲良く冷気を発しているし、レイドは走り去って姿を眩ますし、聖騎士はクリーチャーになるし、身代わり勇者は呑気に昼寝をしているし。

 ……いや、結構いつも通りだわ。こいつら元々こんな感じだったわ。


 それはまあ、とにかくとして、残りの二つの秘密がばれてしまったらどうなるのだろう。


 間違いなく言えるのは、マクラーゲンに氷漬けにされるのは確実だということだ。


 久々にフードを外した顔面に心地よい光と風を浴びていた私は後から追ってきていた勇者パーティーに回収され、その後、迷子になって泣きべそをかいていたレイドを回収して、魔王討伐を掲げる日常に身を投じるのだった。


 はあ。せめて三十路になる前に終わるといいのだがな。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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