ひとつの道
僕は歩いている。
長い一本道をただ一人で歩いている。
その道には何も無い。ただの道。
しばらくすると分かれ道。
右は、ただの一本道。左は、綺麗な景色がいっぱい。
僕は右を選んだ。
すると隣の道を歩いていた人に話し掛けられた。
「どうして、つまらない道を歩いているの?」
僕は「その方が楽だから」と答えた。そしたら、
「そういうのも良いけどさ?たまには楽しい道にも行ってみない私が案内してあげる!きっと楽しいよ!」
と言いながら僕をのぞきこんだ。
そして彼女は僕を色んな所に連れ回した。
僕は正直めんどうだった。
だけど、しだいに彼女と居るのが楽しく感じる様になった。
そして気が付くと、彼女と僕は同じ道を歩いていた。
彼女と色んな話しをして、色んな事をした。
僕はとても幸せだった。
しかし、彼女は歩くのが遅くなった。
時間がたつ度に彼女は弱っていった。
ついに彼女は動けなくなった。
そして彼女は最後に「私、あなたと居て幸せだった、楽しかった。
あなたは、私と居て幸せだった?楽しかった?」と聞いてきた。
僕は泣きながら微笑んで頷いた。そしたら彼女は笑顔で、
「良かった」と言って目を閉じた。
これもひとつの『道』ジンセイ