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世界シリーズ

この世界は心臓のように。

作者: 時無紅音

 誰かが言った。世界は心臓で、僕らが動くことで、呼吸をしているのだと。

 心底馬鹿らしいと思った。

 世界を壊したのは僕らなのに、僕らが世界を動かしているだと?酷いエゴだな。ゴミみたいな自己保身だな。生きてる理由が分からないよ、この世界は。

 なのに、どうして生きているのだろう。

 ふと思うことがある。僕は一体なんなのだろう。なんのために生きているのだろう。なんのために死んでいないのだろう。

 誰かは言った。君にも、夢があるだろう。と。

 僕は答えた。夢なんてない。見るだけ馬鹿になるから。

 誰かは息をゆっくり吐いた。白く濁っていたのに、次第に空気に混じり見えなくなっていく。

 君もいずれこうなるんだよ、と笑った。

 知らない誰かに紛れて、知らない世界を見ずに、知らないものを馬鹿にする。大衆心理にまみれた人間にはなるなと、僕に伝える。

 頬に触れた手は熱を持ち、熱が僕を包み込むように体に流れた。

 君が最後の望み。そう言って、地球に存在する生物の最後の二人のうち、一人が朽ちた。

 ああ、僕ももう一人だ。

 心臓も、一人じゃ動かせない。

 鼓動をやめて、僕も呼吸をやめた。血まみれの服がおかしくて、笑いながら、意識を消した。

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