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現実と妄想の合間に

作者: 噺 角蔵

数日前から怖かった。

自分はどうしてここまで生きてきたのかわからないくらいに。普通ってなんだっけ? どうするんだっけ?

いつの日か色が無くなった教室。何かの怪物の足音みたいに響く笑い声。灰色になった私。

色が無い、かつ、怪物の住むこの場所で、私は何をしにきているんだっけ?


「…臭い…」


怖い。この言葉を聞くのが一番怖い。怖くて後ろさえ向けない。そんな日々が続いていた。


この現象はいつから始まったんだろう? いつから怖くなって、いつから学校に来るのが嫌になったのだろう?

皆で練習した音楽祭。その大イベントが終わったら、私はここから去っていこう。そう決めたのは、そのイベントが終わる前の数時間前。

私達が歌い終わり、数分が立った頃に突然起こった。


「あいつ、臭いよね…」

「あ、あの子から臭うのか…。超臭い」


そんな声が会場からちらほらと聞こえ始めた。額に滲んだ黒い汗。怖い怖い怖いやめて!

会場を出る間も無く始まった臭いコールに、思わず目を瞑る。早く終われ早く終われ早く終われ!


どうしようもなく怖くて、どうしようもなく悲しくて、どうしようもなくどうにも出来なくて。


身体を洗っても意味がない。私はきっと臭いのだろう。毎日聞こえた臭いコール、嘲笑。

右手に持った銀色のナイフだけ、私に光を示してくれる気がした。


私は、怪物が怖い。

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