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勇者学院へようこそ!  作者: 遣ラズ野 アメ
7/8

6話 『ひぁっ!...は、はい!』

後半部分退屈に感じるかもです。

食堂から教室に戻り僕らは各々の席に着く。教室に入った時に僕は九条の方を眺めたが、先ほどの食堂でのことは気にしていないのだろうか? 彼女はボーッと窓の外を眺めていた。


目が合えばさっきのことを謝るきっかけになるかなと思っていた僕だったが、九条とは目も合わないどころか九条からは最初から居ないものと思われているような気がした。



---僕は結局、また外に変化を求めていた。



「さぁ、みなさん。食事の後だからといって眠たくなってしまうかもしれませんが、居眠りしないように残りも頑張りましょうね♪」


マリア先生が両手を(パンッ)と両手を合わせると張り切っていきましょう!と僕らに声を掛ける。さて何から話しましょうか? と考えるように手を当て、学生証の話からしましょう♪と話を始めた。


「先ほどノイン様も仰っていましたが、みなさんにお渡しした学生証にはたくさんの機能があります」

「せんせーい!どれくらいあるんすか?」

「そうですねぇ...色々あるので、今日は全部はお話出来きそうにありません」

「えー!」

「ひとつずつこれからお話するので、わからない部分があれば質問してくださいね♪」


そう言うとマリア先生は、まず基本的なことを教えてくれた。この学生証は僕らの世界でエクレツィア勇者学院がちゃんと法人登録を行っている為、定期券を買ったり学割などにもちゃんと使えるということ。


(良かった、電車通学だから助かる。うん。帰りに買ってこう)


先ほどハルくんがやってみせたようにファミルディアでの紛失は問題ないが、僕らの世界で紛失した場合は再発行にものすごく時間が掛かるのと、銀髪脳筋残念女にめちゃくちゃ怒られるとのこと。


(それだけは面倒なので、ものすーーーっごく避けたい)


「...と、言うことでこの学生証は貴方がたの世界でもなんの問題なく普通の学生証として使っていただけますよ♪ さぁ、次はこのファミルディアにおいての【学生証の使い方】についてお話いたします」

「使い方ですか?」

「そうですよ♪ まず明日になりますが、みなさんと先生とでギルド協会へ行きメンバー登録をしていただきます。っと言っても既に仮登録は済ませた状態になりますので、ギルド協会で本人確認を行い書類に署名するぐらいなんですけどね」

「せんせーい!やっぱギルドに入らなきゃ、ばしばしモンスター倒しに行けないってことっすか?」

「いえいえ、ハルくん。そういうことではないんですよ。魔物は基本的に誰でも倒して良いんです」

「おぉ!そうなんすか!」

「しかし魔物を倒した際に得られる魔石という物と毛皮/骨など、ファミルディアにおいて日用品や嗜好品に利用される素材はギルド協会に登録をしているメンバーでしか換金/取引が出来ないんですよ」

「はい!マリア先生。じゃあギルド協会に登録をしないと、モンスターを倒してもどうにもならないってことですか?」

「そうですね、セイくん。言い方が悪くなってしまいますが、無駄骨やタダ働きという扱いになってしまいます。なのでまずメンバー登録をしていない方は、下手をすれば命にも関わることなので魔物を倒そうなんて考えません」


マリア先生はそう言うと、ギルド協会でメンバー登録してそんなすぐに僕らをモンスターがいる場所へ行かせたりはしませんよと(ふふふっと)微笑みながら言った。


「えー、俺早くモンスター倒して見たっす!」

「ハルくん気が早いです!ちゃんと学校で剣術や魔法を学んでからですよ」


ハルくんにちゃんと釘も刺していた。


「...とそういった理由でギルド協会でのメンバー登録は必須事項になります。ゆくゆくの話になりますが勉学に励み術を身につけたのち貴方がたは各教科の課外授業で魔物討伐を行っていただきます。そしてここで大事なのが、倒した魔物の輸送手段について説明いたします。...うん!見てもらった方が早いかな♪ マコさん、後ろの棚の本を取ってこちらに来て頂いてもよろしいですか?」




『ひぁっ!...は、はい!』




急に指名された柊さんは案の定あたふたしている。柊さんはいそいそと後ろの本棚から適当に一冊本を取り、本を大事そうに胸に抱えマリア先生の方へ向かっていく。僕の席を通り過ぎるところで軽い段差に躓いたのか(あわわわっと)よろめいて顔を赤くしていた。


「ありがとう、マコさん。ではその本を床に置いていただいてよろしいですか?」

「あぁっ!...はいっ! どうぞっ!」

「ふふふ/// 緊張しなくて大丈夫よ。ではマコさん、手のひらを床の本にかざして【ストレージ】と唱えてみてください。」


「はっ...はい!! ...ス、ストレージ(ボソッ)」


マリア先生が説明した通りに柊さんは床に置いた本に手をかざしストレージと唱える、すると本はポゥッと青白く光り端から粒子になり空気中に溶けるように消えていった。


「うわっ、魔法だ!」

「うわっ!見たかセイ? 消えたぜ!」


「セイくんも、ハルくんもお静かに。」


これは本が消えたのではなく、学生証に【収納】された状態だとマリア先生は僕らに説明する。


「...あわわわわわ、あぅぅ」

「ふふふ。大丈夫よ、マコさん。落ち着いてね(ニッコリ) 」

「はっ...はいっ!」

「じゃあ次に学生証を手に取って【リスト】と唱えてみてくれるかしら?」


「はっ...はいっ! ...リッ、リスト!」


ハルくんは興奮し僕に同意を求め、突然消えた本に柊さんはあたふたし泣きそうな顔でマリア先生の顔を伺うように覗く。マリア先生は大丈夫よ。と優しく微笑んで柊さんの頭を軽く撫で諭す。そしてマリア先生は学生証を手元に用意してリストと唱えるようにと柊さんへ促す。


「...わ、わぁっ!!」


柊さんがリストと学生証に向かって唱えると、また青白く学生証が光りだす。するとアニメやゲームでよく観るような立体ホログラムの画面がポゥと光と一緒に伸びるように現れた。


遠目に見ている僕らには詳細まではわからないが、画面の項目の一番上に先ほど消えた本のタイトルだろうか?何か文字が表示されている。


「ふふふ。【リスト】と学生証に唱えると学生証に収納された物が項目として閲覧できるようになるんですよ♪ みなさん、とっても便利な機能です♪ これを使って魔物を倒したときは魔物を解体せずに学生証に収納出来るので持ち運びに楽チンです♪」

「うわぁ、すっげぇ!」

「...あ、そうです!この画面を消す/閉じる時は【クローズ】と唱えてくださいね!よろしいですか? ...じゃあマコさん、最後に先ほど学生証に収納した本を頭の中に思い浮かべ、手のひらを床にかざして【ピック】と唱えてみてください」


「...はわわわ、わっ...わかりました!ピッ...ピック!」



---床に青白い光の粒子が集まり、先ほど消えた本が現れる。



「ふふふ♪ よく出来ました、マコさん/// お手伝いありがとう。それとみなさん【リスト】を開かなくても【ピック】は行えるので、収納した物を確認したい時などにリストを使って確認をしてくださいね♪ ではマコさん、申し訳ありませんが本を棚に戻して着席してくださいね」


「...ははは、はいっ!...あ、ありがとう...ござっ、ございました!」



マリア先生は頑張ったねぇという感じで優しく微笑み再度柊さんの頭を軽くよしよしと撫でる。柊さんは顔をまた赤くし(えへへへっと)モジモジしながら照れて床の本を拾い、マリア先生と僕らにお辞儀をして席へ戻っていった。


「さぁ、みなさんがいまご覧になった【ストレージ】【リスト】【クローズ】【ピック】の一連を総称して【ボックス】とわたしたちは呼んでいます。ちなみにこの【術式】はファミルディアにおいてノイン様オリジナルの術式になるので、わたしたち学院の関係者しか持っていません。またこのように術式が付属/組み込まれた道具のことをファミルディアでは【魔導具/リブ】と呼んでいます」


あの銀髪脳筋残念女のことはすごい人なんだろうなぁと思ってはいたが(うん、実感ない(キラッ☆))うーん、マリア先生の話を聞くとすっごく繊細なもののように思えてきた。しかしこの不思議学生証が本当に銀髪脳筋残念女の発明品だと信じきれず、僕は心の中でマリア先生の手柄を横取りしたんじゃね?と思い学生証を顔の前でペラペラしてみた。


「せんせーい! じゃあコレを持ってないギルドの人はどうしてるんすか?」

「ふふふ。ハルくんちょうどお話しようと思っていたところです♪ 通常ギルドのメンバーが魔物を倒して魔石や素材などを得る場合は、魔物の死骸をギルド協会に持ち込み解体を行うか、その場で魔物を解体し素材のみをギルド協会に持ち込むかになります」


「じゃ、デッケェモンスターとか...あぁ、うん!腐ったりはしないんですか?」


「大型の魔物を討ち取った場合は、ギルド協会に連絡を入れ現地に解体屋さんに来て頂いたり、元々のパーティーに解体技能を持つ方を組み込んだりします。もちろん素材の劣化に関してはギルド協会で換金/取引を行う際に重要な項目にもなります。やはり鮮度が良いものは高値で換金/取引されますので魔物を倒した際には基本的に防腐処理を行います。しかし解体や防腐もまた知識が必要となりますので、ハルくんが希望されるなら補習授業を行うことは可能ですよ」


「お、俺はこの便利道具があるから、補習は結構っす!」

「ふふっ。少しややこしい話になりますが【ボックス】に入れたものがどうなるかについてもお話いたします」



---マリア先生はボックスについての解説を始めた。



① ストレージは生命を持たない対象物を魔力へと強制的に分解し同じく強制的にボックス内に保存する術式 (人間や魔物のように生命がある全てものは大なり小なり魔力を持っており魔力が体内を循環している。

この魔力が循環している状態の対象物に対してはストレージは行えない。しかし対象物が魔力を持っていてもその循環が止まっている状態=死の状態であればストレージは行える)


② 魔力は腐ったりしないのでボックス内の対象物は腐りはしない。


③ ストレージを行なった対象物の質量/重量に関しても魔力に分解する為、もともとの対象物の質量/重量というボックス内において一時的に概念がなくなるとのこと。


④ ピックはボックス内にストレージされた対象物を復元させる術式とのこと。


僕はなんとなくマリア先生に(じゃあ人間と戦うことになったら相手の武器や防具をストレージで奪っちゃえば楽ですね!)と言ってみたら対象物を生命が持っている場合、少なからず魔力の循環が身につけているものにも流れる/影響される為ストレージは出来ないですよと言われ、もしセイくんに悪知恵が働いてお店なんかで強盗/万引きしようものなら即退学ですよと顔はニッコリ笑顔だった目が笑っておらず、僕は初めてマリア先生に恐怖を覚えた。


「...と、ボックスについての説明は簡単にお話しさせて頂いて以上になりますが、みなさん何か他にご質問はありますか?」

「...いや、もう俺の頭が難しくてついていけねぇっす。...あぁ、頭ぐちゃぐちゃっす」

「ふふふ。そんなに難しく考えずに【いっぱい収納出来て、すぐ取り出せる便利な道具】って思えば良いのよ、ハルくん♪ 」

「は、はいっす...」


「じゃあ次はみんなが不思議に思っていると思う、入学金と授業料や食事がどうして無料なのかってお話をしましょう♪」


ハルくんはボックスの説明がややこし過ぎて随分前に諦めたのか疲れで机に突っ伏して頭から煙が出そうな勢いだ。


僕もマリア先生の話が途中から何かの呪文に聞こえて深くは考えずに学生証のことを便利な【収納道具】と思うことにした。


そんな少しだらけてきた僕らを見抜いてか、しれっと話し始めた入学金/授業料無料の詳細に(おっ、それ!すごく気になってた!)と若干倒れかかっていた身体を起こし注目する。そんな僕らをみてマリア先生は微笑んだ。


「ふふふ♪ 先ほど討ち取った魔物から得た素材はギルド協会で換金/取引すると言うお話しましたよね? 後々みなさんが課外授業で外へ行き、魔物を討ち取って得た素材をギルド協会で取引して換金して頂きます。そこで得たお金を貴方がたは学校へ寄付というかたちで納めてくださいね」

「えぇ!? 全部っすかぁ、せんせーい!!」

「うーん、そうですねぇ。過去例をみてみても、みなさん大体6〜7割ぐらい寄付して頂いてますかね? ...あっ!ノイン様の言葉をお借りすると《タダで生きる術を学べて飯も食えて、まして授業中にバイトも出来るんだから文句を言うな!崇めろ、わたしをっ!》って前に仰ってましたよ///」



---いかにもあの銀髪脳筋残念女が言いそうなことだ。



「あのマリア先生! ファミルディアの通貨で頂いても僕らにはそんなに使い道のない気がするのですが...」

「あ、セイくんもみなさんも大丈夫ですよ!こちらの通貨をみなさんの世界の通貨に換金することも可能ですから。まぁ、このお話はまだ少し先の話になりそうなのでまた改めてお話しさせて頂きますね」


まぁ、確かにそうだ。まだ入学初日のモンスターすら見たことがない僕らに換金の話をしても想像もつかない意味のない話になりそうだ...でも銀髪脳筋残念女の言葉通り、学校に通いながら授業のついでにお金も貰えるなんて素晴らしい。


---じぃちゃんとばぁちゃんから借りているお金のことを思い出す僕だった。






バカな頭を使ってボックスというものの設定を考えてみました。

でも結局便利な「魔力」という便利単語に頼ってしまいました...辛い。

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