2話 『勇者にぃ!なりたいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
スマホで自分の文章読んだら、岩みたいでした。
なので空白多めにしてみました。
「え...マジかよ...」
僕は佐倉さんが指差したドアを開けた。暗がりの中に見えたのは通路だった。気にせずに先へゆっくりと2〜3散歩ほど進む。すると立ち眩みが起きたときみたいに視界が一瞬グラッとなり思わず目を閉じてしまう。
(うわ、なんだこれ)
再び目を開くと視界に広がった光景は通路ではなく佐倉さんが言ってた通り、本当に【講堂】だった。自分に起きた状況の把握が出来ず、(はっ)振り返る。
---つい今しがた入って来たドアは忽然と消え、僕は席と席の間の通路に立っていた。
(...意味が分かんないよ)
思考が追いつかないままキョロキョロっと講堂を見回す。映画が始まる前のような雰囲気で講堂は音もなく静かで明かりも少くない。薄暗くて注意して歩かなければ躓きそうな感じだ。けれどそんなことは少し後に気がついたことだった。間違いなく最初に僕が目で追ってしまったのは最前列だった。
---最前列の3席にマチマチな間隔でスポットライトが天井から当たっていて、確かに3人座っている。
(とりあえず、最前列に座らなきゃな...)
僕は改めて講堂を見回しながら最前列に向かう。講堂の造りは簡単に言うとほぼ映画館そのままの感じだ。最前列より後方の席が高く段々と上がっていて、席と席の間の通路は階段のようになっている。
(いやいや、なんでこんなんなってんだろ...)
席の並びも映画館と同じ並び。違うのは席の端から端にかけてゆるく扇状に並んでいて、壇上の演台を向いている。何よりこの空間が想像以上に広く、後ろが確認出来ない。
(うわっ、気まず...)
通路をトコトコ下り最前列へ向かう。最前列に着くと、先に居た3人が僕の方を見た/睨まれた気がした。そして自然とその3人へ順々に目を合わせていく。
《一人目は明るめの色で少しウェーブのかかった髪にツインテールの女の子》
(...あぁ、心なしかギロッと睨まれてる気がする)
《二人目は短髪で前髪を上げている茶髪の男》
(なんか目があったら、ニッコリされた。なんか良いヤツそうだ)
《三人目は少し暗めの茶髪でゆるふわボブヘアの女の子》
(あ...目があった瞬間に目そらさた。あ、モジモジしてる。なんか可愛い和む)
とりあえず僕は軽く会釈(あはは...って感じで)して、3人と同じように間隔を空け席に座ってみる。
---その瞬間《パシャッ!》っと僕の座った席に、上からスポットライトが当てられた。
「うわぁ!?」
「...やっぱビックリするよなー、俺ん時もおんなじでさ。俺もお前と同じ反応したんだぜ」
「あはは...そうだったんだぁ...」
ビックリしてしまい思わず声を上げた僕をみて共感を得たのだろうか?短髪茶髪の男に話掛けられた。声のした方を振り向くと短髪茶髪の男はニッコリ笑顔だった。とりあえず愛想笑いで返答する。
「俺がさ一番最初だったからさー、マジ怖いのなんのって」
「そっか、そうだったんだね」
なんとなく短髪茶髪の男のことを改めて良いヤツそうだなぁって思うと、他の2人方は?っと目で追ってみる。無愛想ツインテ女の方は我関せずって感じでスマホをイジり、ゆるふわボブの可愛い女の子はまた目があって再びすぐ反らされた(なにこの子、可愛い) 僕の3人への第一印象はこんな感じだ。
「つーか、まだ始まんねぇのかな?入学式さぁ。だーれも、来ないし」
「あ!僕、時間ギリギリに着いて最後みたいだし。さくっ..事務の人が、もうすぐ始まるって言ってた」
「わ、マジかよ!最後だったら入学すんの4人だけかよ!?」
短髪茶髪の男との会話はスポットライトの話の流れで続いた。言われてみればそうだ。4人なんて少なすぎるって同じく思う。急な状況に頭ん中が飛んで考えらんなかったけど、この講堂もおかしなことだらけだ。
「って言うかさ、この講堂も変じゃない?」
「そうそう!俺も思ってたわ!」
「まぁ、急に光も当てられるしね...」
「な!こんな雰囲気じゃん?...なんか声かけづらいし」
と短髪茶髪の男に疑問に思ったことを聞いてみたら、こんな状況で聞くもなにも察してくれという感じで2人の女の子たちを方をチラッと見ながら答えてくれた。(だよなぁ)急にこんな状況が身に降りかかって、雰囲気もこんなだったら同じ境遇の初対面には遠慮するし話掛け辛いよなぁと思った(わかる、わかるよ!)
---短髪茶髪の男との会話を遮るように《ビィーーーーーー!》っと放送が開始されるようなブザーが鳴り、女性の声でアナウンスが始まる。
《---これよりエクレツィア勇者学院、入学式を開始致します---》
---その瞬間にファンファーレのような音楽が大音量で講堂に鳴り響く。
僕らはサッと壇上の演台に注目する。30秒ほどの音楽が鳴り止んで講堂が再び静かに(シンと)なる。少しの空白のあと、壇上の袖(下手)から一人の女性が足音を立て(コツコツコツと)演台にゆっくり向かって歩いてきた。
(ん?誰か出てきた...)
その女性はアニメやゲームなんかでよく観る魔法使いが着ているようなローブではないっぽいけど、ドレスに近い白い何かを着ていた。ところどころ細かい刺繍や細工が施されていて豪華な雰囲気だ。なによりその女性が歩く度、ふわりと腰まである長い銀髪と裾が揺れてドレスのように見え、どこかの国のお姫さまか女王さまって感じする。
---そして言葉に表せないほど容姿が綺麗/神秘的な女性だった。
しかしすぐ気付いた。この女性はきっと僕らと同じ人間ではないと。俗にいう【エルフ耳】が顔の左右から美しい銀髪を掻き分け伸びていた。女性は演台の後ろで立ち止まり僕らの席の方に振り向いて、順々に僕らと目を合わせて行った。そんな壇上の女性に対して僕らは4人それぞれ思う。
ひとりはその女性の美しさに見惚れ、ひとりはその女性のオーラ/雰囲気に萎縮し、ひとりはその女性に漠然と恐怖を覚え、ひとりはその女性になにかを破壊され歓喜したのであった。
---その女性は演台に設置されたマイクを手に取り、息を軽く(スゥ)吸い込んで...
『勇者にぃ!なりたいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
---と拳を天に突き上げ、思いっきり叫んだ。
うん、4人とも((((ポカーーーーーーーーーン))))となった。
マイクもハウリング(キーンと)して響いてる。鳩が豆鉄砲をくらったみたいにダメだ何にも考えらんない!僕も含めてみんな開いた口が塞がらない。女性がいま行った行動は昔TVでやってたアメリカ横断を目指す某クイズ番組のオープニングのようなものだ。
(うわっ!なに言っちゃってんの?このひと!)
再び起きた唐突な状況に意味も分からずただ勢いに圧倒され過ぎた僕らは声も出なければ、頭ん中がただでさえグチャグチャなのにもっとグチャグチャしだして思考もなにも追いつかなかった。誰もが呆気に取られたまま一言も発せずにいると、壇上の女性が一言。
「もぅ。なんだよぉ、君たちぃノリ悪いなぁ。しょうがないな、も一回ね♪」
---再度、意味わかんない系銀髪女は手に持ったマイクを口に近づけ【TAKE2】
「ゆ・う・しゃ・にぃ、なぁぁぁりったい、かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
---と拳を天に突き上げ、思いっきり叫んだ【TAKE2】
「...あぅぅぅ。お、おぉー」
(えぇっ!?だれか反応したよ!?)
僕は声のした方を見る。するとゆるふわボブの可愛い女の子がギュッと目をつむり精一杯勇気を振り絞りましたって感じで若干震えながら控えめに拳まで上げている。
「あ...あうぅ.../// あ、あれどうして? う...うぅ....(ぐすん)」
自分以外の周りの反応が無かったことに気がついたのか、ゆるふわボブ可愛い女の子が目を開け左右に座っている僕らをキョロキョロ見て確認をする。みるみる顔が真っ赤になって今にでも泣きそうになって下を向いてしまった。
頑張った、君は頑張ったよ!と心の中で僕はエールを送り視線を再び壇上に戻す。...意味わかんない系銀髪女はドヤ顔。それはもう満足気に。
「ふふん♪ ありがとう、キミ。わたしは満足だ!! しっかしながら...ふぅ。他の3人は、この子を見習いたまえ。何事も率先してやるってもんが勇者だぞぅ、Boo!だょBoo!」
---意味わかんない系銀髪女は話を続ける。
「まぁ諸君、とりあえずは入学おめでとうだ。我がエクレツィア勇者学院へようこそ! わたしは学院の校長 ノイン=エクレツィアだ。君たち4人は本日より2年間、我が学院にて勇者になるための勉強と準備をしてもらう」
---意味わかんない系銀髪女ことノイン校長の言葉を聞いて奥からなんか込み上げてくるものがある
(あぁ、そうだ...)
「魔法を覚え、剣を覚え、知識を得て尚!必ず道に迷い、上手く歩けず悩み苦しみ辛いことも...君たちが想像している以上に多々起こるだろう! 気にするなよ...そんなことは当たり前だ!! 君たちは勇者になるんだ!簡単になれるだなんて思うなよ。まだ始まってもいないのにいま悩んでなにが出来る? この場にいる友と共に助け合い、がむしゃらに吸収し己の糧とし... ここではない世界、異世界を救う。それが君たちだ!!」
---ゆっくり、ゆっくりと。僕の中のなにかが変わっていってる気がする。
「これをもって、わたしからの挨拶とさせて頂く...まぁ、こんな入学式にゆっくり時間割いてるわけには行かないな。さぁ!行こうじゃないか異世界へ!!! 君たち自身が体験して見た方が早い!」
そう言うと、ノイン校長は手のひらを自身の頭上にかざす。すると光の粒子のようなものがたくさん周りに現れ、かざした手に集まってゆく。集まったたくさんの光の粒子は徐々に棒状のものに形成されいく。
(お、なんか出た)
一瞬眩しい光を放つと、ノイン校長の手の上には先端に水晶のような宝石のようなものが付いた杖がプカプカ浮いていた。浮いていた杖をグっと握った瞬間、杖の先端が先ほどより強く光り輝いた。
---同時に光を浴びた僕らの身体は指/髪/つま先が光の粒子になり空中に溶けていく。
遠退いてゆく意識の中、ノイン校長はニッコリと優しい笑顔で僕らを見て微笑んでいた。
試行錯誤、大事◎