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第八歩 戦いの後

「そこの部分はこの木材を使ってください。」

「はい、分かりました!」


俺は戦闘後の門修復の指揮をしている。

あの戦闘のあとカツトシさんは用事があるとここの修復隊長を任された。門は魔物の突進を食らったりと至る所がボロボロになっている。でも破壊された訳じゃないから簡単な補修だけで済んでいる。


「ユウさーん。」

「ん?モミジさんか、どうかした?」

「そろそろ休まれたらどうかと思いまして。ここに来てからずっと動いてますから」


そういえば向こうの村では既に日が暮れてたもんな。もう日が昇っちゃってるし。道理で体がダルい訳だ。


「だけどまだ修理の途中だし……」

「ユウさん、あとは我々でやりますんで任せてください!戦闘は役に立ちませんが、これくらいなら慣れてますから!」

「分かりました、あとお願いします。」


そう言って残りの人にあとを任せモミジのあとに付いてカツトシさんの家に向かった。

家に上がるとカツトシさんは三八式歩兵銃を分解し、手入れをしていた。


「カツトシさん、お疲れ様です。」

「おお、ユウか、お疲れ様。」


手を止めて挨拶してくれた。


「武器の手入れですか?」

「ああ、いつでも使えるようにしとかないと次はいつか分からんからな。そうだ、お前さんの三八も貸してみろ。どうせ軍人と言えど昔の銃は触ったことがないだろう?」

「その通りです。すみませんがお願いします。」


肩にさげていた三八を渡す。


「それにしても不思議なことだ。微精霊がその場で作ってくれたなんてな。」

「本当ですよ?」

「実際にここにあるから疑ってはない。だがそんな話初めて聞いたよ。」

「普通はこんな感じではないんですか?」

「ああ、微精霊の気まぐれだな。こっちから頼んでも関係なしだ。たまに家ひとつ建てようとした時に次の日に行くと既に建っていた、そんな感じだな。だから目の前で作ってくれたのは本当にすごいことだな。」


そう言われると何かすごいことをした気がするが、別段努力した訳でもないので居心地が悪い。


「自分はあの場で頼んだだけですよ?」

「それがすごいことなんだ。モミジが言っていた微精霊に好かれていることとやはり関係があるのか……。」

「はぁ……」

「おっと、すまんな。君に聞いても分からんことだな。さぁ、上のベットで休んでくれ。今日はありがとう。」

「いえ、失礼します。」


モミジに別れを告げ、お言葉に甘えて二階のベットを使わせていただく。

微精霊に好かれていると言っても自分じゃ何も分からないのが悔しいよな。

ベットに腰掛け、寝る仕度をして布団に入る。

そのうち微精霊と会話出来たりとかするか?ご主人とか言ってくれたり。そんなわけないか。

そんな半信半疑の期待を抱いたまま夢の世界へ旅立つユウだった。



次の日は何事もなく普通に起床した。強いて言えば外は完全に日が昇っていたことがいつもと違った。


「やっば……」


今日も門の修繕を手伝う予定だった。

急いで仕度をして……と思ったら迷彩服がない。代わりに精霊達が着ていた服が置いてあった。

これを着てくれってことか。靴も無くなってるし。

何とか服を着て下に降りる。


「おはようございます。」


しかし、帰ってくる声はない。不思議に思っているとモミジが家に帰ってきた。


「あっ、ユウさん!おはようございます。良かったです、ちょうど起こしに行こうと思っていたので。」

「おはよう、モミジさん。そうだったんだ。ありがとね。」

「いえいえ、服の方は大丈夫でしたか?」

「ああ、ぴったりだよ。これはモミジさんが?」

「はい、そうです。似合っていて良かったです!」

「何から何までありがとう。所で、カツトシさんはどこか分かる?」

「はい、一緒に来て下さい。」


モミジの後について家を出る。なんか付いていくことばっかりだな、ここに来てから。

連れていかれたのは門。


「おお、ユウ!」


カツトシさんがこっちに気づいた。それよりも村中かもしれない精霊が集まっていた。それより、なんか門大きくなってない?


「どうしたんですか?これ。」

「なんでも昨日の補修の続きに来てみたらこうなってたらしい。恐らく微精霊だな。」


ここに来て微精霊パワー発揮しまくりだな。


「いやー、ここまで微精霊が力を貸してくれるとは。」


自分でもビックリである。


「ユウさん、ありがとう!!」

「これで村は安心だ!」

「あんたが来てくれたお陰だ!ありがと!」


村人は口々に褒めてくれた。微精霊フリーダムだな。ちょっと引きぎみになっていると、モミジが後ろに来て呟いていた。


「よかったですね、ユウさん!」


……モミジにそう言われると悪い気がしないよね。




まぁその後も建てていた途中の建物が立ったりといった事が多発した。その度に村の人は自分のことを持ち上げた。遂には、


「ユウにこの村を任せたいのだが?」


カツトシさんにそこまで任されてしまった。


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