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第六歩 道中

「私の言葉が分かりますか?」


久しぶりに聞く言葉だった。

良かった。不思議とそう思えた。


「あのー、もしもし? って、何で泣いてるんですか!?」

「え?」


自分の頬を触ると確かに涙が出ていた。


「いや、何でもないよ。やっと話せる人がいて落ち着いたのかも。」

「そうだったんですか。どこか悪いのかと思いましたよ。確かに昨日と今日は慣れないことだらけでしたもんね。」

「そうだったんだよ。全然言葉が通じずに大変で大変で。ん?昨日はさておき今日?君は一体?それに何でこのタイミングで話を?あと」

「ちょっと待ってください。質問は一つずつ、一つずつで! 歩きながら話しましょう。えーと、まず今話が出来るようになったことからですね。さっき食べたキャラメル覚えてますか?」


そういうと、彼女はゆっくりと歩き出した。

やっぱりさっきのキャラメルなんだ。


「さっき食べた甘いやつだよね。」

「そうです。我々精霊と会話を交えるにはこっちの食べ物を食べないといけないんです。」

「ああ、なるほど精霊ね。」

「はい、精霊です。」


ん?


「え、精霊?」

「? はい、精霊ですよ?」


精霊って凄いファンタジーな感じになってきたな。でも、天国なら精霊くらいあり得るか。


「もしかして、精霊、分からないですか?」

「初めて聞きいたよ。」

「私、この世界で精霊を知らない人がいることに驚きました。」

「そんな一般的なものなの?」

「精霊自体はあまり人と関わろうとしないので珍しいですね。ですが、名前くらい皆さん知ってると思いますよ?」


そんなものなんだ。もっと伝説の存在とかかと思ってた。それより、


「話は戻るけど、さっきの続きとかいろいろ聞いてもいい?」

「はい。えー……」


その後の彼女の話をまとめると、

・この世界には精霊含む多様な種族がいる

・自分がいたあの村は人種の村

・倒れたあと助けてくれたおじさんは別の精霊であの家も精霊の力で作り、片付けたそう


だそう。精霊すごくね?


「はい、精霊はすごいですよ!精霊はですね、小さくて見えない微精霊と私達のような人種サイズの精霊に分けられるんです。」

「精霊って皆が人みたいな感じじゃないんだね。」

「そうです。微精霊は確かに目に見えませんが、建築など様々な場所で私達を助けてくれますよ。貴方を泊めていたあの家も一晩かけずに作り、解体できたのも微精霊のお陰です。」

「すごいもんだ、微精霊。」

「ですが、たまに悪戯もしてしまうんです。昨日貴方が倒れたように。」

「あれは微精霊のせいだったのか、道理で普通じゃなかったもんな。なら、俺は微精霊に嫌われちゃってるのか。」

「いえ、それはないですよ。むしろ尋常じゃないく好かれてると思いますよ?精霊は微精霊の存在を感じられるんですが貴方の周りは凄く集まってますよ。」


なにそれ。全然分からないんだけど、良いことなのかな。


「あっ、そろそろ目的地ですよ!」


そう言われて目を凝らしてみると、確かにドアが見える。


「所でさ、君は一体?」

「私ですか?」


そう言うと同時に彼女はドアに手をかけ、思い切り開いた。久しぶりの光に目が眩む。微かに彼女がこちらに向き直りローブのフードをとるのが見えた。


「私はモミジといいます!そして、」


少し目が慣れ、彼女を見る。


「ようこそ、精霊島へ!」


黒髪を揺らしながらモミジはそう言った。

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