エピローグ 前へ、進め
空をたくさんの戦闘機が飛んでいった。
海ではいっぱいの軍艦が並んでいた。
陸も人と車両で溢れかえっていた。
集合がかかる。皆、自分達の戦車に乗り込んでいく。それに続いて俺も乗り込む。
操縦手席に座り無線を確認してから、準備よしと報告する。いつも通りの流れだった。
評論家はこの戦争に負けることはないと言っていた。
車長がこっちを見てきっと大丈夫だと言い切ったが、その手は震えていた。とりあえず、そうですねと返した。
首相は我が国の防衛力は高いと言っていた。
「前進用意、前へ」
号令と共に前進を開始した。
それからすぐのことだ。装填手が上空の複数の敵機に気がついたのは。
同盟国は我が国を助けると言っていた。
悪態をつきながら車長がキャリバー50を上空に撃ちだした。
俺も直ぐに回避行動を開始させる。が、同時に敵機から黒い塊が落ちて来るのが見えた。
小隊長は援軍が助けに来ると言っていた。
何も来なかった。
何も来やしなかった。
「なんで誰も来てくれないんだよ……」
鉄の棺桶から這い出て来たのは自分だけだった。
目が霞む。頭から血も出てるみたいだ。
薄く見える周りは燃える人と戦車だけ。
聞こえる音も人の悲鳴と敵機のジェット音だけだ。
そのうち一機がこちらに向かって来た。
「俺に何が出来たんだよ……」
意識を失うのと同時に機銃を撃つ音が聞こえた。