転移者会
冒険者をしながら、聖樹の北を探索して、週明けにはマルト商会に獲物を売る。
タキガワに食事に行ったり、ユーコで買い物をして、なんとなく日曜の夜の転移者会にも顔を出す。
そんな生活のリズムができてきた。
何度目かの転移者会で、沢井さんが、来週の水曜日に、魔法学院の研究室に、来ないかと
誘ってくれた。
正直なところは、帰還にはまだ乗り気ではないが、魔法学院には興味がある。
高木さんは、私が気にくわないようだが。
約束の場所と時間を決めて、行くことにする。
月曜はマルト商会。火曜日に、冒険者依頼と、北への遠征をして、水曜日、待ち合わせの場所は、私が分かる、魔術ギルド前。
朝八時に、沢井さんが来た。
そう遠くない、魔法学院に案内されて、予め話をしていたようで、門を通過する、
魔法学院は、広い。
学院なので、学生がいて、授業もある。
国中から生徒や、研究者が来るので、寮もあるし、食堂や、勿論図書館もあるそうだ。
沢井さんの研究室に行く。
研究室専用の建物みたいだ。
五階建てで、大きい。
二階の奥に、帰還研究室はあった。
案内されて、入る。
室内には高木さんと、もう一人いる、橋本さんだろう。
疲れた雰囲気が漂っている。
「雪乃さんを連れて来たよ」
「ああ、例の魔法が凄い人か」
「研究に役立つのか」
「雪乃さんは、100年くらい前に、帰還の研究をしていた話を知っているそうだ」
「丁度100年くらい前の記録が無いんだ」
「やはり、そうですか」
「何を知ってるんだ」
「高木くん、もう少し、優しく話しては」
「ふん、言葉も文字も分かって、魔法の能力も高いような恵まれたヤツに」
高木さんは、辛いのだろうとは思う。それでもやはり、傷つく。
それより、橋本さんの顔色の悪さが気になる。聖樹の果実を取り出す。
「初めまして、橋本さん。この果実を食べてもらえませんか」
「あ、ありがとう。これは?」
「これから、私がこの世界に落ちて来てからのことを話します。その果実の話もありますが、変な物ではありませんから」
「落ちて来たとは、優雅だな」
「文字通り、落とされましたから」
「ほう、私たちはリンダース付近に現れた者ばかりだ。話を聞こう」
姿の無い、声を聞いて、空中に放り出されたところから、話し始める。
森しか無く、魔法の使い方も分からない。
聖樹に辿り着かなければ、生きていられなかっただろうこと。
アンデッドの森に入り、師匠と出会い、家を作って、雨季を凌ぎ、なんとか生きていられたこと。
師匠から聞いた、100年くらい前の話。
そして、リンダースへの道程。
「転移者が、召喚の魔法陣をか」
「この果実、美味しい。元気が出そうだ」
「まあ、それなりに苦労はしたのか」
「歴史を隠した可能性が高いと思います」
「その辺りの魔法の歴史が分かれば、あるいは、帰還に繋がるかも知れないね」
「はい、師匠の話では、転移者が急に姿を消すこともあったそうですから」
「魔法学院の図書館は蔵書も多い。まだ調べることはある」
「全滅した軍の子孫が分かれば、そこから何か手繰れるかも知れません。貴族でしょうから難しいですけど」
「それは私たちの仕事だね。魔法学院には貴族もいる。私は数学の講義もしている」
「教授ですか」
「あっちでは、准教授だったけどね」
「魔術ギルドなら、もっと何か分かるかも知れませんが、まだ魔石を売るだけの関係しかありません」
「確かに、魔術ギルドなら、色々研究しているからね」
「私がもし、魔法を極めたら」
「まあ、焦っても仕方無いさ」
橋本さんは、机に凭れて眠ってしまったようだ。高木さんが毛布をかけている。
高木さんは、本当は優しい人なのだろう。
一応の目標ができたと、沢井さんは言ってくれた。
師匠の生きた時代が、鍵になる。
学院の門まで送ってもらい、少し離れた場所から、移動して、狩りに行く。
聖樹から北へ、山のある方に飛ぶ。
北の小国はあるだろうか。
時々、森に降りて、狩りをしたり、採取をしたり、休憩したりする。
夕方前には、聖樹の泉の水を汲み、王都に移動する。
日曜日、冒険者ギルドの依頼を受けて、門を通る。
Aランクの依頼は、数が少ない。
護衛の依頼があるが、それはできない。
馬車の旅に、付いて行くような余裕は、まだ無いからだ。
魔物討伐くらいしか、受けられない。
冒険者ギルドの仕事は、今の私には、儲かるわけでもないし、レベルアップにもならない。
でも、冒険者ギルドとの繋がりが、大事なので、依頼はできるだけ受ける。
依頼を済ませたら、王都の前に移動して、門を通る。
日曜日は、タキガワに行く日だ。
ゆっくり歩いて、暖簾を仕舞っている店に入る。
「雪乃さん、いらっしゃい」
「今晩は、皆さん。橋本さん?」
「ああ、この前は果実をありがとう。何年ぶりかに、外に出た」
「じゃあ、はい、果実、食べてください」
「ありがとう。聖樹の果実か、信じられないくらい、調子が良くなった」
橋本さん。良かった。
「えっ、何?聖樹とか?」
木下さんが聞く。
「ああ、そうか、みんなは知らないんだね」
「雪乃さん、もう一度話してくれるかな?」
橋本さんと沢井さん。
「はい、いいですけど」
「雪乃さん。話してくれ」
高木さんまで。
「話します。けど、皆さんの話も聞きたいです。辛いかも知れませんが、何かのヒントになるんではと思います」
「それも、そうだね。じゃあ、雪乃さんの話を聞いたら、私が来た時のことも話そう」
沢井さんが、言ってくれたので、また、姿の無い、声を聞いて、空中に放り出された話をする。
リンダースに辿り着くまでの話を。
話を終えたら、暫く沈黙が続く。
「半年で、そんなに強くなるまで、女の子なのに」
木下さんが、呟く。
「ああ、本当に、何かの試練みたいだと、最初に聞いた時に思ったよ」
「沢井さん、試練だなんて」
「私の場合はかなり違う。話そう」
沢井さんの話が始まる。
沢井さんは、10年も前に、数学の准教授をしていて、家に帰る途中、不意に光に包まれた。
車のヘッドライトかと思ったら、全く知らない草原にいた。
車に跳ねられて死んだのか?生きているようにしか思えないが。
城壁が見えたので、外国かと思った。
そうだとしても、おかしい。ワープなど科学でも説明がつかない。
城壁に向かうと、門があって、門番がいる。
古めかしい格好をした人だが、英語とドイツ語ができるので、話しかけた。
そうするしかないから。
しかし、言葉は通じなかった。
言語形態が、さっぱり分からない。
そんな馬鹿なと思ったが、暫くして、どこかへ連れて行かれた。
タキガワだ。
日本語を目にして、何かのサプライズ企画かとさえ思った。
タキガワで、滝川さんと話して、頭を抱えた。違う世界など、到底信じられない。
滝川さんの家に泊めてもらい、翌朝目が覚めても、夢ではなかった。
知らない間に、首から下げていた、金属のカード。
触れると、ステータスが浮かぶ。
子供とゲームをしていたから、ステータスみたいだと分かった。
魔力なんて、どんな冗談かと。
しかし、生きているなら、生きて生活をして、帰る方法を見つけなければいけない。
滝川さんから言葉と文字を教わりながら、学校の教師をしようとした。
沢井さんは、魔力がそこそこあり、魔法も使えることが分かった。
元准教授なら、と魔法学院に入り、数学の講義をする代わりに、言葉や文字を正確に学びながら、寮に住み、やがて研究をするまでになった。
簡単に、さらりと語られた話。
しかし、みんなそれぞれ、思い出すことが色々ある。
沈黙だ。
「今日は、そういう話はそこまでにしましょう。皆さん、夕食はしっかり食べてくださいよ」
滝川さんが、声をかけ、みんな子供ではないから、気を取り直し、雑談や、食べたり飲んだりする。
「帰還の研究のために、皆さんの話は、これから少しずつ聞いていきましょう。辛いですが、仲間ができたから、尚更に、帰る方法を見つけたいですから」
沢井さんが、言う。
情報の共有は必要だと、雪乃も思う。
その日の転移者会は、少し遅くに終わった。
さまざまな疑問はある。
ひとつずつ、調べられることは、調べよう。
翌日は、マルト商会に、獲物を売り、疑問のひとつを調べる。
リンダースには、教会がある。大きな教会だ。別に問題はない。
でも、師匠が言っていた、神殿はどうなったのだろう。
ギルドマスターは、聖樹も精霊の契約も、伝説みたいなものだと言った。
聖樹はあるし、師匠と契約もした。
地図をくまなく見て、街の外れ、貴族街から下町に向かう辺りの、西の端に、神殿を見つけた。
あまり大きくない、ひっそりとした建物。
古びているが、歴史を感じる彫刻が刻まれた神秘的な建物だ。
小さな門を潜ると、身体や頭の中に、何かの気配が通り過ぎる。
不愉快な感じではない。
門を潜ると、柱の立つ、神殿らしい建物が見えた。部屋もいくつかあるようだ。
「こんにちは、どなたかいらっしゃいませんか」
声を出してみる。
少し待つと、神殿から、人が出て来た。
若い、女性だ。
「まあ、お客さんは、珍しいわ」
おっとりと微笑む女性。
「初めまして、ユキノと申します。えっと」
「何か聞きたいことがおありですか」
「はい、信者というわけではありませんが」
「そう。あなた、ユキノさんは、神々に愛されているようですよ」
「そうなんですか?」
「ふふ、こちらへ、どうぞ」
部屋のひとつに案内される。
神秘的な雰囲気が、全体的に漂う。
「さて、私はリンダースの神殿を任されています。ファリアと言います」
「他には?その、神官などはいらっしゃらないのですか?」
「小さな神殿ですから、私が任されているだけです」
「そうですか。少し話を聞いて頂けますか」
「はい、時間ならあります」
聖樹のこと、精霊の契約をしたこと、その時に神殿の存在を知ったことを話す。
「リンダースに来てみたら、大きな教会がありました。神殿が力を持っていると思っていたので、不思議に思いました」
「そうですね、教会と神殿が共存するのは、何百年も前からだと教えられました」
「そんなに前から、ですか」
「はい、神殿は、もっと昔、何千年もの歴史があるそうです」
「そんな昔、ですか」
「教会は、一神教です。神殿は、多数の神々が祝福を与える場所です」
「祝福ですか?何か儀式があるんでしょうか?」
「神話はご存知ではないですか?」
「書物に触れる機会がありませんでした」
遥か昔、何千年か、何万年か、ひとつの大陸が生まれた。
神々は祝福を与えた。
火の神は温かい火を、水の神は大地を潤す。
氷、風、土、雷、聖、闇、それぞれの神がそれぞれの祝福を与え、植物や、生き物が生まれた。
神々が見守るなか、一番弱く、しかし知恵を持つ生き物が現れた。
人の誕生だ。
神々は、大陸の中央に、聖なる木を植えた。
今の中央大陸のことだ。
人々は、神々を讃え、繁栄していく。
文明というものができ、神々から力を借りて、魔法を使いながら、人々は大陸中に住み始めた。
しかし、知恵を持ち、魔法を操るうちに、傲る者が現れる。
自分たちは、選ばれた種族だと。
より強い力を求め、強い者が弱い者を従える。
争いが起きたり、奴隷制度ができたり、神々は憂えた。
大陸に、四つの大国ができ、ついに戦争の時代になる。
神々が愛した人々が争う。
神々の悲しみの祈りが、続く。
五千年くらい前、神々の祈りが、届いた。
記録には、詳細の分からない、神がいた。
この世界全てを操れる神。
大神と呼ばれる神。
大神は、大陸を四つに分けた。
それぞれの大陸に聖なる木を植えて、人々も数を減らし、文明も後戻りした。
神話大戦と呼ばれるそうだ。
四つの大陸は、それぞれ独自に発展した。
時々、争いは起き、その度に、文明は停滞したり、後戻りした。
それでも人々は生きていた。
500年ほど前、神はひとりであると言う教会ができ始めた。
疫病が流行り、病人を保護して、孤児院を作った教会は、人々に受け入れられるようになり、力をつけてゆく。
この500年にも、争いはあった。
100年前、疫病が流行り、その後にも争いがあり、求める者には祝福を与える神殿は、人が手を差し伸べる教会に、力を奪われ、小さくなり、聖なる木も忘れられていった。
「と、まあ、そんな感じの話です」
「本当に、神話ですね」
「神殿は求めないと与えられないし、与えられたものは奇跡ではありません。努力がなければ意味がないのです。教会は、救護院や孤児院があり、救いが分かり易いですから」
「なるほど、私は宗教はあまり分かりませんが、聖樹には守られたと思います」
「ユキノさんには、神々の祝福を感じます」
「そうなんですか?よく分かりませんが」
「神殿に行きましょうか」
ファリアさんが立ち上がる。
ついて行く。
彫刻が美しい、柱が立つ場所。
正面には祭壇だろうと思う場所がある。
ファリアさんが、跪き、祈る。
私も跪く。聖樹や師匠との出会いを感謝する。
続いて、両側に四つずつ、八種類の彫刻の前に行く。
それぞれが、八柱の神の彫刻らしい。
ファリアさんが、ひとつずつ、跪いていく。
私もそうする。
最後に立ち上がり、神殿の中央に戻る。
「お分かり頂けたでしょうか」
「はい。不思議で、信じ難いですけど」
ファリアさんが跪くと、四つの彫刻が光った。火、水、風、聖の神らしい。
私が跪くと、全て光った。
「私の魔法は、全部持ちだそうです。やはり関係があるのでしょうか?」
「全ての神々の祝福を受けていますから、魔法も使えるのでしょう」
「そんなことがあるんでしょうか」
「ユキノさんがいるからあるんでしょうね」
また、部屋に戻り、お茶が出された。
神殿に、歓迎されているなら、思い切って全てを話そうと考える。
「ファリアさん、私は転移者です。しかも来たのは半年くらい前です」
「転移者ですか。不思議ですね」
「こちらに来る前、姿の見えない声を聞きました。全て与えると」
「全て、与える?」
「能力を使い、生きてみよと、言われました」
「ユキノさんからは、強い力を感じます。不愉快なものではなく。大神?まさか大神が」
「そんなことがあれば、神話ですよ」
「全てを与えられたなら、神話みたいなものです」
「いずれ、大陸を巡り、帰還を望む転移者の役に立とうと思っています」
「そうですか。あなたには、何か使命があるのかも知れません」
「使命ですか、やはり神話みたいですね」
「また時々来てください。旅立つ前には必ず」
「はい、分かりました」
門で見送られ、神殿をあとにした。
何か大きな話になってきたな。
この世界を巡るのは確定だ。
神々がいる世界か、信じられないけど、不思議な現象を見たし、信じてみようか。
一週間後の転移者会まで、北へ遠征を続け、山の麓まで辿り着いた。
火吹きシリーズの魔物が溜まる。
この山を越えたら、他の国があるだろうか。
来週は、山越えだ。多分、空の魔物がいるだろう。
聖樹の泉の水を汲みながら、瓶を増やすことを考える。
魔力は増えているけど、無限ではない。
瓶をラッパ飲みする姿は、笑えるけど。
王都に戻り、夕食を食べてお風呂に入る。
明日は日曜日だ。
転移者会で、何か進展があるといいな。
翌朝、冒険者ギルドに行く。
丁度良い依頼がない。こんな日もある。
街に出て、瓶を買いに行く。
魔道具屋にも行ってみる。
魔法の袋を買い足す。念のため。
魔道具には、魔石が使われている。
魔術ギルドが連絡してこないな。
100個で充分なんだろうか。
まあ、いいや。
聖樹の泉の水を、新しい瓶に汲んで、北の山を目指す。
山の麓から飛ぶ。
切り立った山を見ながら、上空へ。
凄い山だな。空気とか大丈夫かな。
ローブのフードを被り、秋の薄い雲を抜ける。山頂が見えた。が、魔物がいる。
三体、飛竜とでも言うような、強そうな魔物だ。
火球ではなく、炎のブレスを吐く。
氷の壁で消す。
剣に氷を纏わせ、間合いをつめる。
一気に仕掛けないと焼肉にされそうだ。
ドラゴンではなさそうだから、そんなに硬くないはずだ。
首を狙う。三対一だ。ブレスを躱しながら、一体目。
首を落とす。
凄いな、師匠の剣。
二体目も、撃破。
三体目。左手から氷を出し、ブレスに対抗して、懐に飛び込み、一気に斬る。
落ちた獲物は浮遊させて、袋に吸い込む。
山頂を抜け、山の北側に出る。
森しか見えないけど、高度を下げて飛ぶ。
適当に、森の開けた場所に降りる。
山越え成功だね。
結界を張り、昼食休憩。
見たことの無い、果実がある。
結界を解き、探知する。
果実は取れるだけ取る。
飛翔しようと思った時、探知に反応があった。この辺りの魔物はどんなものだろう。
近づいてくるのを待つ。
木々の隙間から見えたのは、巨大な熊。
色が、銀色みたい。何か吐くだろうか。
果実を取りながら、待つ。
気付いたようだ。
唸り声をあげながら、向かってくる。
地面を蹴る。
氷の玉が飛んできた。
さすが北。氷ですか。
躱しながら、一気にいく。
一撃で倒す。
新しい魔物を手に入れたぞ。
今度こそ飛翔して、北へ向かう。
森が続く。自然豊か過ぎるなあ。
適当に降りて、場所を覚える。
聖樹に寄ってから、王都に移動した。
タキガワに行く。
「今晩は」
「雪乃さん、いらっしゃい」
橋本さんも来ている。
また、聖樹の果実を渡す。
椅子に座り、お茶を飲んで雑談。
それぞれ、料理もいただく。
「さて、今日は私の話をしましょうか。お店に来てくれた人には話してるけど」
優子さんが、話し始める。
服飾専門学校の四年生、卒業製作を始めた頃、友達と夕食を食べて、一人暮らしのマンションに帰る途中、車も、人通りも無いのに
眩しい光に包まれた。
気が付くと、大きな城壁の側にいた。
専門学校生らしい大きな鞄は持ったまま。
城壁には門があった。
中世か、それ以前か、変わった服装だなと思いながら、ここはどこなのか聞こうとした。
とりあえず、近づいて話しかけたら、言葉が分からない。
暫くして、タキガワに連れて行かれた。
優子さんは、若いので、ファンタジーや、異世界転生などの話は知っていた。
滝川さんと川本さんがいた。滝川さんと話して、転生じゃなくて転移かと思った。
首に下げた、自分のアクセサリーとは違う物に気が付き、ステータスが見えて笑ってしまった。
滝川さんの世話になりながら、言葉や文字を覚え、タキガワを手伝う給料を貯めて、布や糸を買い、服を作り始めた。
最初は手縫いで、苦労したけど、着心地の良い服は、高く売れた。
魔道具のミシンを買い、タキガワの前で服を売り、お金を貯めて、小さな住居兼店舗を手に入れた。
五年前の話だそうだ。
優子さんは、ポジティブな人だ。暗い話には思えないくらい、さらっと話した。
鈴木さんも、話す。
優子さんより前、沢井さんより後の八年くらい前、農業大学を卒業して、関東近郊で、実家の農業を手伝っていた。
農家の青年会に苗や種を交換しながら話しに行った帰り、眩しい光に包まれた。
気が付いたら城壁、言葉が分からない。
タキガワに行く。
これは共通点だ。
異世界物の話を知っていたので、馬鹿なと思いながらも、それしか考えられない。
滝川さんの勧めで、せっかくの種や苗を育てる場所を探してもらい。
言葉や文字を習う。
滝川さんが、出資して、リンダースの側に、農地を買い、今はタキガワの専属農場を経営している。味噌や醤油の研究をしたのも鈴木さんのところだ。
首にかけられたステータスプレートも同じ。
今日はそれくらいにして、また雑談したり、食べて飲む。
みんな少し魔力はあるそうだ。
魔道具を使うのに困らないほどは。
私だけが違う気がする。
宿屋に帰り、お風呂に入る。
ユーコ製の服は馴染むな。
寛ぎながら、久しぶりにステータスを見る。
ユキノ、19歳
職業、冒険者、ランクA
レベル、400
体力150000
知力150000
俊敏150000
魔力150000
スキル、【体術】【短剣】【剣】【槍】【言語理解】【文字認識】
【魔法】火、水、風、土、雷、氷、
聖、闇、無、時空、重力、付与
誕生日、過ぎてたか。
北の小国は、冬になる前に探したい。
頑張ろう。




