俺たち冒険者
俺は、デュークと言う冒険者だ。
元はリンデル王国の田舎貴族の三男だった。
もう、貴族の身分は捨てて、冒険者仲間と結婚もした。
だから、姓は無い。
ただのデュークだ。
冒険者になるために、10歳の時にリンダースの冒険者学校なんてところに入学した。
貧乏な貴族だったから、小さい頃から狩りはしてた。
得意な武器は剣だ。
田舎だから、みんな狩りくらいする。
剣の師匠には困らなかったな。
狩りの獲物は食べる以外は、売れる。
貴族だったから、町があって、商店もあった。
リンダースから隊商が来たりもしてた。
獲物を売って、小遣いを貯める。
それで、学校に入学できたわけだ。
寮があって助かった。
冒険者学校だから、冒険者登録をして、狩りとか採取とかして、収入はあった。
学校の費用とか食事代とか、最初の頃はあんまり余裕はなかったな。
俺は、冒険者に向いていたらしい。
まあ自分で言うのも何だけどな。
五年の学校生活で、冒険者ランクも上がったし、武器を買ったりする余裕もできた。
俺の知ってる範囲じゃこの国だかこの世界だかの人は、魔力なんてものを持っている。
その魔力を使って魔法が使える。
学校で習ったし、自分でも分かるが、俺は魔法が得意じゃない。
学校で習ったのは、魔法は生まれつきで得意なやつがいて、俺みたいなのは、水を出したり火をつけたりくらいなものだということだ。
学校でも剣を習った。
こっちは才能があったみたいだ。
卒業したら成人になってるし、仲の良かったやつらと組んで、冒険者として活動し始めた。
寮は出たから、最初はみんなで安宿を拠点にして頑張った。
卒業してから冒険者ランクがCランクになって、護衛の仕事もできるようになった。
近い場所から始めて、護衛に慣れていった。
野営したり、獣を討伐するのはなんてこと無いんだが、初めて盗賊に会った時は、苦戦したな。
特に大人数でも、手練の相手でもなかったが、人を殺すんだから、色々簡単じゃない。
でも、殺さないと殺される。
仕事だから、慣れるしかない。
普段は、狩りや採取。
魔物の討伐をする。
獣じゃなくて、魔物は手強い。
魔力の濃い場所、森なんかにいる。
魔物が現れる仕組みは分からないが、魔力の濃い場所が生み出すって説が多いな。
20歳になる頃には、冒険者ランクもBランクになった。
仲間のうちで、気になってた娘と結婚する約束もした。
冒険者ランクは、Sランクが最高で、滅多にいないらしい。
リンダースにいるのかどうか、聞いたことも無いくらいだ。
Aランクも滅多にお目にかかれないらしい。
俺たちが頑張っても、Aランクになれるかどうか、そんなところだ。
そんなわけで、Bランク冒険者は、結構有難がられる。
学生と違って、毎日冒険者だから、収入もまあまあ、悪くない。
宿屋暮らしの仲間もいるが、俺は結婚して、小さいが家を買った。
Bランク冒険者のパーティーとして、リンダースでは、結構知られた存在になった。
いい気になったら命取りだからと、仲間内ではお互いに諌め合い、仲間の一人も死んだりせずに、やってこられた。
仲間には恵まれたと思うな。
嫁さんは、槍使いだったけど、結婚してから冒険者をやめた。
話し合って決めたからだ。
同じパーティーに嫁がいると、どうしても庇ってしまう。
最初は冒険者を続けたいと言ってたけど、結局、納得してくれた。
俺たちのパーティーは五人が基本になった。
魔法が得意な後衛が二人、前衛が三人、仕事によっては、顔馴染みに声をかけて、パーティーを組む。
リンダースから、リンデル王国の北西の村までの隊商が、半年に一度出る。
この護衛が、馴染みの仕事になった。
他の方面の護衛もたまに、受ける。
俺が生まれ育った辺りには行かない。
何となく、行き難い。
別に家族と仲が悪いとかってわけじゃないが、まあ、照れくさいみたいなもんだな。
他の大陸に、腕試しに行きたいかって言われたら、どうだろうな、守るものができたから行かないだろうな。
リンデル王国の仕事でも、冒険者は危険が付き物だ。油断はできない。
一生できる仕事じゃないし、地道に稼いで何か店でも持つくらいが、妥当な生き方だろうな。
夏の頃、いつもの北西へ護衛で行った。
行きは、あまり危険はなく、済んだ。
帰りの途中、幾つか村に寄っていた時、最近盗賊が出るって噂を聞いた。
結構な人数だって噂だった。
あまり高価な物を扱わない隊商しか通らない方面だ。
盗賊団なんて、ちょっと信じられないが、油断はしてなかった。
丁度、帰ったら子供が生まれる頃で、何かそういうことを言うとよくないらしい。
帰ったら告白するとか、帰ったら結婚するとか、あんまり言うもんじゃないらしい。
よく分からないが。
来るなら野営の時だと思っていたら、白昼堂々と襲ってきた。
20人くらいいた。正直まずいと思ったな。
こっちは8人、死者が出てもおかしくない状況だった。
そしたら、あれだ。
空から何か飛んで来たんだ。
盗賊団に、何かの魔法を撃って、賊の頭に剣で斬りかかった。
剣は正式に訓練したようには見えなかったが、あっという間に盗賊は瀕死になってた。
そいつは振り返って、盗賊は殺すのかどうか聞いてきた。
とりあえず殲滅だと答えたら、また一瞬だ。
何かの魔法で全滅させたらしい。
また振り返って、怪我人はいるか聞いてきた。怪我人も一瞬で治した。
Sランク冒険者かと思った。
よく見たら、若い、成人してあまり経たないくらいの娘だった。
盗賊団をどうするのかも聞いてきたから、冒険者じゃないことは分かった。
少しは怖がるかと思って、死体は焼いて埋めるって教えたら、分かったって言って、また凄いことになった。
死体を空中に浮かせてひとまとめにした。
信じられない威力の炎で死体は炭化した。
でもって、その真下の土を掘って死体を落として、掘った土を上から被せて終わりだ。
ほんの10分もかからない。
しかもその間、飛んだままだ。
聞いてみたら、これから冒険者になるとか言うんだから、わけが分からない。
人じゃないって言われたらみんな信じてたと思うな。
これからリンダースへ行って、冒険者になるから、先を急ぐからと言っていた。
かなり綺麗な娘だったな。
名前を聞いたらユキノって言ってた。
にっこり笑って、また空を飛んで行った。
隊商のやつらは腰抜かしてた。
その後、リンダースまで、獣くらいしか出なかった。
みんなでユキノの二つ名を考えたりした。
女神とか戦神とかな。
リンダースに着いたら、すぐにギルドに報告した。
リンダースの若い門番が、凄いステータスの若い娘が来て、ギルド特例の冒険者になったって言ってたからユキノだなって思った。
あの門番、そんなこと言いふらして大丈夫なのかは疑問だった。
俺は家に帰って、無事に子供も生まれた。
頑張って稼ぐから、家には手伝いの人を雇って嫁と子供を安心させた。
次にギルドに行ったら、何か騒がしいから見たら、Cランクの連中が、ユキノに絡んでた。
悪い奴らじゃないけど、ちょっと柄が良くない連中だ。
ユキノがキマイラ討伐を受けようとしたから、女の子一人じゃ無理だと思ったみたいだ。
だから、ユキノは戦神だって教えてやった。
連中も噂は知ってた。
女神だか戦神だから、大人しくなった。
ユキノは何か微妙な顔をしてた。
もっといい二つ名を考えた方が良いのかも知れないな。
ユキノは、一緒にキマイラ討伐に行こうと誘ってくれた。
俺たちは必要無さそうだけど、まあ、一緒に行った。
凄かったな。
魔物の森だけど、魔物のいる場所まで分かるみたいだし、昼の休憩は、結界を張ったとかで安全だし、ピクニックみたいだった。
キマイラなんて、可哀想なくらい簡単に倒されてた。
俺たちなら、前衛後衛の連携で、時間をかけて倒すくらいしかできない。
その後も驚きだ。
迎えの馬車を断ってたから、どうするのかと思ったら、みんなを集めて、一瞬でリンダースの前にいた。
瞬間移動とか言う魔法だ。
討伐報酬も山分けだった。
よく分からないが、ユキノは何か特別な人だな。神とか言うと恥ずかしいらしいから、まあ、目の前では言わない。
でも、二つ名は増えるだろうな。絶対気に入るような二つ名を考えてみせるからな。
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