THA Happy End
現実でいうところのレストランのテラス席……
というよりウエスタン系の映画でカウボーイが屯するバーのテラス席
そんな感じの店だが和気藹々としていて雰囲気はいい
そして目の前には先程の少女
「で、お前名前は?」
「私はライム。ラープ・ライム」
「ふうん。ライムねぇ」
「あなたこそ名前は?教えたんだから教え返すのが礼儀でしょ!」
「はぁ、俺は山口竜人。お決まりの返しだなそりゃ」
「ヤマグチ……リュウト……?」
「リュウトでいいよ。それより教えてくれ。俺はさっき街を抜け草原に出た。
なのに目の前が一瞬暗くなって気が付けばさっきの路地裏だ。どういうことだ?」
「それはね、この街を出る時は開閉門って所からじゃないと出られないのよ」
「オ、オプロズ?なんだそりゃ?街の外は見えるのにか?」
「あなた何も知らないのね?この街は初めて?」
「初めても何も目が覚めたらココにいたんだ。俺にもよく分かんねぇんだよ」
「なるほどー。どおりで変な格好してるのね?何その服?そんな固い布見た事も聞いた事もないわ」
「マジ?これはレザー」
「れざー?何で出来てるの?」
「牛の革だよ」
「……っ!?つまりリュウト、あなた動物の革を剥いで着てるって事!?信じられない!」
「っていうか俺の話はどうでもいいんだ!俺はココがウェンデ国って事以外なんも知らねぇんだ!」
「はぁ、仕様がないなぁ。いいわ!教えてあげる!」
国名はウェンデ国。世界に4つ存在する大陸の内一番小さな大陸の真ん中に位置する国。
この国に限らず世界には人間と魔人と亜人の3種族が存在する。
元々は平等に暮らしていた平和な国だった。
しかし亜人が盗みや人殺しを仕事として扱うようになり人間は亜人の抑止力にでた。
それがいつの間にか亜人を忌み嫌うようになり差別化を生んだ。
それに対し魔人は人間へ亜人の差別をやめさせようと行動に出たが
原因の発端である亜人は影へ隠れる様に身を引き
話は捩れいつの間にか人間と魔人が争うようになった。
その結果、ウェンデ国国王率いる軍と魔人の大規模な全面戦争となり
勝ったのは人間だった。
だがウェンデ国国王は魔人を殺すのではなく、元通りの平等を申し
それに魔人は了承し戦争は幕を閉じた。
その戦争が終わったのはリュウトが来る3日前の話である。
「でっ!今はそのお祝いみたいな感じでお祭り状態なのよ!」
「ふぅん。戦争した割には街は荒れてねぇし倒壊した建物もねぇんだな」
「ええ、そうね。だって戦いは国の外で行われたからね」
「魔人も人間も案外考えてやってんだな」
「そりゃそうよ!人間にも魔人にも戦いを望まない、戦えない、子供に老人、一般市民だっているんだもの!」
「そりゃそうだ。それに比べて俺の世界じゃそんなの関係無しに巻き込んでやがる」
「あなたの国の王は国民の事を考えない人なのね。。。」
「王なんていねぇよ。政治家がいて法律があって、なんやかんや難しい話を……」
-----はっ!?-----
「今俺、「俺の世界」って言ったよな?……」
「ええ、私はてっきり国だと思って……」
リュウトの表情を見たライムは言葉を止めた
汗を掻き、目を見開き動揺している様子だった
「俺のいた世界とちげぇんだ……だいたい魔人だのなんだの、聞いた時点で気付くだろ普通よぉ!?」
「そういえば目が覚めたらココにいたって……じゃぁあなた!違う世界から来たって事!?」
「そうとしか考えらんねぇ……そんな話マジメに聞いてた自分に腹が立つぜ……くそおお!!」
ドンッ!!!と机を叩くリュウト、それにライムは驚き肩を竦めた
「わりぃ……俺……もう行くわ……じゃぁな」
「行くって、どこに?」
「その辺で適当に泊まるよ……」
「泊まるって、マーブルはあるの?えっとー……お金のこと!!」
「まーぶる……?それが金の単位か?そういや俺財布持ってねぇんだ。あってもそんな金ねぇしな」
困った表情をしたままリュウトはその場から立ち去ろうと足を進める
それをみてライムをあたふたと慌てた様子だ
「そ、それじゃぁ、私の家に泊まりなよ!!!」
「はい……?」